2016年診療報酬改定を振り返る(3)…在宅歯科診療
今回の診療報酬改定で、医科・歯科ともに最も注目されているのが、「在宅医療専門の医療機関の新設」と、それによって生じる既存の訪問診療クリニックへの影響です。
今回の診療報酬改定で、医科・歯科ともに最も注目されているのが、「在宅医療専門の医療機関の新設」と、それによって生じる既存の訪問診療クリニックへの影響です。
今回の保険診療報酬改定は、「2025年モデル」と呼ばれる地域包括ケアシステムの基礎造りという意図が強く見える内容となっています。地域包括ケアシステムの構築には、地域内の医療機関による相互補完体制が必須となります。そのなかで診療所に期待される役割として「予防診療」「在宅診療」があり、今回の改定に合わせて、それぞれの機能を強化するための制度が設けられました。
保険診療報酬の改定は2年に一度、4月に実施されます。改定前後には、医療書籍を扱った書店の棚で、「傾向と対策」といった受験参考書のようなタイトルがついた書籍を多く見かけます。歯科医院の経営にとって、診療報酬の改定は重要です。事前に対策を練っておけばよいのですが、改定の詳細確定がぎりぎりになることもあり、なかなか対策を立てられないのが現状です。診療報酬の増減がはっきりする改定前年の夏から秋に、やっと真剣に考え始める、という医院も少なくありません。 また、施設基準などの経過措置期間が終了するのは改定翌年の3月末です。そのため改定後の夏から秋にかけて、多くの医院では少しずつ焦り始めてきます。あらためて2016年4月に実施された、診療報酬改定の内容を振り返ってみましょう。
各地方自治体が実施している歯科健診は、大人ばかりではなく乳幼児を対象としたものもあります。今回は、乳幼児歯科健診の結果をまとめた「地域保健・健康増進事業報告」という資料を見ていきます。 この資料では、毎年全国で行われている1歳6ヵ月児と3歳児を対象とした歯科健診の結果を、都道府県ごとに比較して見ることができます。2004年と2013年の資料から「3歳児の『う蝕有病者率※』」を抜き出し、ここ10年の変化を比較してみましょう。※う蝕(虫歯)を持つ人の割合
毎年6月に厚生労働省が公表している統計資料に「社会医療診療行為別調査」というものがあります。この資料からは、平均的な診療行為別の1日当たりの点数を知ることができます。 今年の6月15日に平成27年の集計が公表されたので、その内容を見てみましょう。この統計によると、平成27年の1日当たり総点数の平均は667.1点となっています。平成26年と比較すると、総点数は13.4点増加しています。点数が増加した主な診療行為としては「医学管理等」の4.3点、「処置」の3.9点があります。
厚生労働省が昨年の11月に公表した統計資料に「平成26年医療施設(静態)調査」というものがあります。この中にある「在宅医療サービスの実施状況」を見ると、訪問歯科診療を提供している診療所の数と、診療内容ごとの実施件数がわかります。 この統計によると、平成26年9月の1ヵ月間で6万8,592施設ある歯科診療所のうち1万4,069施設(20.5%)が、少なくとも1件以上の訪問診療を実施しています。20%の歯科診療所が訪問診療を行っていると考えると、十分に多いようにも思えます。実際にはどうなのか、見てみましょう。
いま小売業界では、「オムニチャネル」といった言葉をよく耳にします。オムニとは「全…」とか「総…」という意味を表す言葉で、これまでの“マルチチャネル(複数の経路)”という考えではなく、より複合的な“オムニチャネル(あらゆる経路)”において顧客にアクセスする、という考え方です。これは歯科診療所も同様です。
厚生労働省が平成28年3月に公示した統計の中に「平成26年度 地域保健・健康増進事業報告(地域保健・老人保健事業報告)」というものがあります。 この統計には、各自治体が行っている保健・健康を増進するための事業に関するデータが掲載されていますが、年々健診や保健指導の数が増加していることがわかり、健康に対する意識の高まりを見て取ることができます
スーパーやコンビニエンスストアといった小売業は、少子化による人口減のために市場が縮小し、店舗の生存を賭けた熾烈な争いが繰り広げられています。 この争いは、歯科診療所にとっても他人事とはいえません。争いの要因となった少子化による人口減は、小売業だけに関係ある特有の現象というわけではなく、日本で事業を行う限り避けて通れない現象です。当然、歯科診療所にも降りかかってくる、いわば「天災」といえます。
厚生労働省の「医療施設調査」で発表された平成27年末の歯科診療所数は68,756施設で、昨年とほぼ変わらずの数値となりました。ここ10年ほど歯科診療所数は7万施設に届かない数で微増微減を繰り返していることになります。 この状態は、安定と見てよいのでしょうか、それとも頭打ちと見るべきでしょうか。その判断を下すには、もう少し長い期間にわたって歯科診療所数の変化を見ていく必要があります。