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採用難時代に人員を確保するにはパラダイムシフトを図ろう

16.11.11
ビジネス【人的資源】
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未曾有の採用難時代は、採用募集をかけてもなかなかいい人材が集まりません。

これからは、人員確保に関するパラダイムシフトを図ることが不可欠です。

パラダイムシフトとは、「ある時代・集団を支配する考え方が、非連続的・劇的に変化すること」を指します。(引用:goo辞書)

中小企業の採用は「新卒」か「中途」か、「経験者」か「未経験者」かなどと、えり好みできないケースがほとんどです。

即戦力となる経験者の採用は難しい状況が続いています。

従来とは異なる考え方で人材を確保する必要があるのです。

今回は、従来とは少々異なった視点による、人材確保の方法をお伝えします。
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<人が会社を辞める理由> 

まず、人材確保においては、既存の人材が辞めないための工夫を凝らす必要があります。

そのために会社が何を考えるべきかについて説明します。

厚生労働省の平成28年転職者調査によると、人が会社を辞めた理由でもっとも多かったのは「労働条件がよくなかったから」と「仕事内容が満足できなかったから」でした。もうひとつ大きな理由は、「会社の将来が不安だから」でした。

なお、男性で最も多かった理由は「会社の将来が不安だから」で、女性で一番多かった理由は「労働条件がよくなかったから」でした。 

会社としてできることは以下が挙げられます。 

・3~5年先までの会社としての目標(業績、業容等)を掲げ、目標を達成するための経営計画を立案して社員にリリースし、会社のビジョンを示す 
・労働条件の改善は、賃金や労働時間といったピンポイントの問題に着手するのではなく、労働問題全体を見据えたうえで取り掛かる 
・どの社員も満足して生き生きと仕事に打ち込めるよう、業務の役割と内容を随時見直す仕組みをつくる 


<縁故採用は悪いことではない> 

現在、標準的な人材募集の方法は、ハローワークのような公的紹介機関、就職情報誌・Webサイトの利用、求人チラシなどがあります。

求人広告を出す費用は甚大です。

1回広告を出しても、希望する人材を1人も採用できないことが珍しくありません。

そこで最近は、昔は多かった縁故採用を見直している中小企業が、少しずつ増えています。

縁故採用というと「コネ入社」といった悪いイメージを抱く人が少なくありませんが、決して悪いことではありません。 

従来の採用面接だけでは、応募者の人柄や能力を完全には把握しきれません。

しかし、従業員の知人・友人ですと、ある程度の人柄や能力を知ることができます。

また、応募者は、紹介してくれた従業員を通じて会社の情報を得られるので、企業文化の早期理解が期待できます。

縁故採用は求人広告の費用がかかりません。

紹介してくれた従業員に謝礼を支払ったとしても、採用コストを低く抑えられます。 

ただし、縁故採用は、一度に大人数の人員を獲得できません。

欲しい職種・スキルの人材をタイミングよく採用できるとは限らないので、従来型採用の補助的な意味合いで試してみる価値はあるかと思われます。 


<従来とは逆の考えに目を向ける> 

「このポジションは男性」「この職種は女性」「この作業は若手」「この業務は高齢者」というように、人員を確保する際は、いつの間にか無意識な固定概念にとらわれてしまいがちです。

しかし、昔ながらの考えにこだわる必要はありません。

人員を確保する際には、従来とは異なる発想で考えてみましょう。 

「男性でなく女性」「日本人でなく外国人」「若者でなく高齢者」「正社員でなくパート」「中途でなく新卒」「直接雇用でなく業務委託」「出勤でなく在宅勤務」というように選択肢を広げると、採用難を解決するヒントが生まれるかもしれません。


企業成長のための人的資源熟考


●プロフィール● 
佐野陽子 さの・ようこ 
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。


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