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有期雇用者の健全な活用方法とは?

16.08.12
ビジネス【人的資源】
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戦後、日本の経済発展は、優秀な労働力によって支えられてきました。

企業が養成した正社員が屋台骨となって働いていると同時に、非正規労働者が正社員を助け、車の両輪のように生産活動を支えてきたのです。

ところが近年の景気の長期停滞を経て、非正規労働者が年々増え続けており、問題視されています。

なぜ問題かというと、非正規労働者は、雇用が不安定な上、待遇がいいとは限らず、必ずしも本人がその立場を希望したわけではないからです。
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<なぜ非正規の有期労働者が増えるのか?> 

若者の場合、趣味や特技を活かすため、全力投球をしなくてもいい仕事を探すケースがあります。

女性の場合、家事や育児や介護の時間が欲しいこともあるでしょう。

高齢者の場合、フルタイムでなく、ペースを落として仕事を続けたい人がいます。

このような要望が労働者側にある反面、企業側では労働力を必要としているところが増えてきています。 

特に労働力を必要とする分野は、商業やサービス業です。

この業界の現場の労働時間は、9時~17時の定型的労働では成立しません。顧客のニーズに合わせるため、朝よりも夜に取り掛かる仕事が多いでしょう。

特に都市化が進んでいる地域は労働時間が多様化しています。また国際化が進むと、24時間対応をしなければならないでしょう。 


<営業時間帯と労働時間帯のギャップ> 

典型的な9時~17時労働は役所の支配下にある労働法制のベースとなっており、工場や役所、大企業の非現業部門に残っています。

労働法制は、有期労働を例外扱いにしてきました。今はその「有期雇用契約」の修正や、政府による「同一労働同一賃金」の掛け声などで、非正規労働問題に立ち向かっています。 


<盛り場の活性化は有期労働者が支えている> 

街の盛り場にある老舗の個人店舗は、赤字でも頑張っているケースが多いです。

けれども経営者の高齢化が進み、跡継ぎがいないと店を閉めるという問題が起きています。閉店したお店の跡地には、全国チェーンの新店舗が替わってオープンすることがよくあります。

全国チェーンの店舗は、だいたい夜遅くまで営業しています。多忙なのは夕方から。居酒屋など各種飲食店のような業態で働く人たちは、当然のことながら交替制の有期雇用です。

以前あった個人店舗と比べると、チェーン店は規模が大きくなり、働く人も増えています。有期雇用者が地域経済の活性化に寄与しているという見方もできるのです。


企業成長のための人的資源熟考 


[プロフィール] 
佐野 陽子(さの・ようこ) 
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。 


[記事提供] 

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