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広告会社最先端現場の「チーム運営術」からマーケティングプロセスを学ぶ。その4

16.05.13
ビジネス【マーケティング】
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これまで3回にわたってお届けしてきた「僕が広告会社で苦労して培ったチーム運営術を通じて、マーケティングのプロセスを学び取っていただく」という記事も、今回がラスト。

トラブル時にリーダーがするべき振る舞いについて、お伝えしていきます。
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ビジネスにトラブルは付き物です。トラブルを恐れていてはチャレンジできず、成果の挙がる仕事もおぼつきません。

そしてチームリーダーにとっては、メンバーの数だけトラブルのタネができるわけで、1プレーヤーだった時代に比べて、対処すべきトラブルの数は格段に増えることになります。トラブルへの対処は、リーダーの主要な仕事の一つと言えるでしょう。 

そんなトラブルへの対処法ですが、重要なことは3つあります。

第一には、「とにかく早く動くこと」です。初動は結果を分けます。まずは状況を把握し、謝るべきときはしかるべき人に会って謝りましょう。

トラブルはトラブルを呼びます。3日間放っておいたら、傷口は広がるだけです。

もちろん、あなたは忙しい。たいていは他の予定が入っているはずです。それでも予定をキャンセルしてでも、火消しを優先すべきです。 

第二には、「先頭に立って、引き受けること」です。イザというときの対応は、周囲から見られていて、リーダーとしてのあなたの信頼度を決定づけていきます。 

僕の経験でも、そういうことがありました。

深夜も1時を過ぎたころ、「それでは後はお任せします」と言って、クライアントの課長が帰るやいなや、テレビCMの編集室でパチパチと拍手が起こりました。

その拍手は僕に向けられていて、部下だけではなく、外注先のCM制作会社の人もニコニコと手をたたいていました。 

それは、先方の無理な要望を僕が拒否し続けたことに対する反応でした。制作業務の知識の少ないクライアントが、悪気のないまま対応不可能な要望を出し続けていたのです。

「できないことは断ればいい」と思われるかもしれませんが、広告業界ではそうもいかないのです。

断り方が下手だと怒らせかねないし、逆に対応不可能な要望にうかつに「ハイ」と答えてしまい、ニッチもサッチもいかなくなってしまうことも、少なくありません。 

そのとき僕は先頭に立って、即座に「あ、それは技術的に無理なんです」とニコニコしながら応対しました。そのクライアントも単に知識がなかっただけなので、こだわり続けることもなく、ことなきを得ました。

部下や外注先の人には好ましい姿に映ったようで、そのことに対して彼らは深夜に拍手をしてくれたわけです。 

第三は、「解決に集中すること」です。

飲食店などで店員を怒鳴りちらしているマネージャーを見かけますが、気分のいいものではないし、部下を叱責することでは、そこで起こっているトラブルはなんら解決しません。

こんなときは、愚痴は言わず(怒鳴るのはもちろん厳禁)、部下に反省を求めるのもトラブル回避後に回して、その場はトラブルの解決に集中します。 

また、指示の数を減らすことも重要です。切羽詰まった状況での大量の指示は、ミスを誘発します。トラブル解決に最も必要な、1つか2つの指示に絞って命じましょう。 

さて、次回からは、言いたいことを短くまとめる「1行の力」についてお話ししていきます。 

次回は『コピーライターの技を、日々のビジネスに活かす。「1行の力」について。その1』です。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


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