いま、シティプロモーションが熱い!都道府県 / 市町村の広告・広報の現在。その1
「シティプロモ―ション」という言葉をご存知でしょうか?
一言で言えば、都道府県や市町村が行う広告や広報、マーケティング活動のことを指します。担当大臣が任命されるなど地方創生が叫ばれる中で、いま「シティプロモーション」に多くの関心が集まっています。
一言で言えば、都道府県や市町村が行う広告や広報、マーケティング活動のことを指します。担当大臣が任命されるなど地方創生が叫ばれる中で、いま「シティプロモーション」に多くの関心が集まっています。
毎年大会が開催され、ひこにゃん(滋賀県彦根市)、くまモン(熊本県)、さのまる(栃木県佐野市)などで知られる「ゆるキャラ」も、その一環。全国的な広がりを見せていて、2015年の「ゆるキャラグランプリ」には、なんと1,092もの地方自治体のゆるキャラが集まったといいます。
シティプロモーションの定義について、「シティプロモーション自治体等連絡協議会」のHPを参考に、もう少しご紹介していきましょう。
シティプロモーションには、地域再生、観光振興、住民協働など、さまざまな概念が含まれています。
まず、そこに住む地域住民の愛着度形成があって、その先に地域の売り込みや自治体知名度およびイメージの向上があり、それによる経営資源の獲得を目指すものと考えられます。
そして、この活動には、従来の自治体にはなかった営業やマーケティングという要素が多々あるため、民間企業の活動から多くを学ぶ必要がある、といいます。
実際、現在では多くの自治体が「シティプロモーション課」といった部課を設けているようです。
また、この分野を対象とする学会である「公共コミュニケーション学会」も立ち上がり、僕も参加しています。この学会は、そういった業務を担当することになった地方自治体職員の方が参加して、民間企業の専門家から知見や事例を学ぶ場にもなっています。
事例セミナーや研究発表会に行くと、参加者の半数近くは、さまざまな地方の自治体職員で行われる発表に熱心に耳を傾けています。
こうした自治体の具体的な課題としては、人口減少の歯止めや定住者増加促進があります。地方創生の流れの中で、ある程度の予算も設定され、自治体の職員も関わり、PRの専門家や広告代理店とも協力しながら、さまざまな試みが行われていて、ある意味で「熱い」分野になっています。
その中から今回は、千葉県流山市のシティプロモーションをご紹介しましょう。
流山市は、都心まで電車で20分という立地と緑の多さを魅力とし、「都心から一番近い森のまち」を標榜しています。
数年前からは、「母になるなら、流山市」「父になるなら、流山市」というポスターを制作。東京駅や渋谷駅などの主要駅に掲出し、子育て世代を対象に、他地域から流山市への転入者の増加を図っています。
その結果、平成17年と比較して10年で人口が2万人以上も増加。特に30~40代が最も多く増えていて、4歳以下の子供の数も増え、出生率も全国平均より高くなるという、好調な成果に結びついています。
次回は、くまモン活用の裏側をはじめ、ゆるキャラについて、もう少し詳しくお話していこうと思います。
次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『いま、シティプロモーションが熱い!都道府県/市町村の広告・広報の現在。その2』をお届けします。
佐藤達郎のマーケティング論
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
シティプロモーションの定義について、「シティプロモーション自治体等連絡協議会」のHPを参考に、もう少しご紹介していきましょう。
シティプロモーションには、地域再生、観光振興、住民協働など、さまざまな概念が含まれています。
まず、そこに住む地域住民の愛着度形成があって、その先に地域の売り込みや自治体知名度およびイメージの向上があり、それによる経営資源の獲得を目指すものと考えられます。
そして、この活動には、従来の自治体にはなかった営業やマーケティングという要素が多々あるため、民間企業の活動から多くを学ぶ必要がある、といいます。
実際、現在では多くの自治体が「シティプロモーション課」といった部課を設けているようです。
また、この分野を対象とする学会である「公共コミュニケーション学会」も立ち上がり、僕も参加しています。この学会は、そういった業務を担当することになった地方自治体職員の方が参加して、民間企業の専門家から知見や事例を学ぶ場にもなっています。
事例セミナーや研究発表会に行くと、参加者の半数近くは、さまざまな地方の自治体職員で行われる発表に熱心に耳を傾けています。
こうした自治体の具体的な課題としては、人口減少の歯止めや定住者増加促進があります。地方創生の流れの中で、ある程度の予算も設定され、自治体の職員も関わり、PRの専門家や広告代理店とも協力しながら、さまざまな試みが行われていて、ある意味で「熱い」分野になっています。
その中から今回は、千葉県流山市のシティプロモーションをご紹介しましょう。
流山市は、都心まで電車で20分という立地と緑の多さを魅力とし、「都心から一番近い森のまち」を標榜しています。
数年前からは、「母になるなら、流山市」「父になるなら、流山市」というポスターを制作。東京駅や渋谷駅などの主要駅に掲出し、子育て世代を対象に、他地域から流山市への転入者の増加を図っています。
その結果、平成17年と比較して10年で人口が2万人以上も増加。特に30~40代が最も多く増えていて、4歳以下の子供の数も増え、出生率も全国平均より高くなるという、好調な成果に結びついています。
次回は、くまモン活用の裏側をはじめ、ゆるキャラについて、もう少し詳しくお話していこうと思います。
次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『いま、シティプロモーションが熱い!都道府県/市町村の広告・広報の現在。その2』をお届けします。
佐藤達郎のマーケティング論
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)