いわゆる「経審」とは?
建設、建築、設備会社にとって、縁が近くて遠いもの。それが経審です。正式名称は「経営事項審査」といいます。
公共工事の下請け、孫請けをしたことはありませんか? あれを公共団体から直接請け負っている元請けさんは、この「経審」を受けています。でも世の中のほとんどの建設、建築、設備会社のほとんどの方は、経審のことを知りません。今回、基礎的なものになりますが、解説させていただきます。
公共工事の下請け、孫請けをしたことはありませんか? あれを公共団体から直接請け負っている元請けさんは、この「経審」を受けています。でも世の中のほとんどの建設、建築、設備会社のほとんどの方は、経審のことを知りません。今回、基礎的なものになりますが、解説させていただきます。
いわゆる「経審」とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受ける審査です。競争入札っていうものがありますが、経審は、それに入るために必要な手続の一つです。(他にも必要な手続がありますがまた別の機会に説明いたします)
なお、競争入札に入るためには、建設業許可を持つことが前提になります。金額も規模も大きく、公共性が高いものになりますので当然といえば当然です。
公共工事を発注する発注機関(公共団体が主)は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。発注機関は「客観的」事項と「主観的」事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けを行います。
つまり、いろいろな面から点数をつけ「工事を発注するための基準」を設けています。公共工事ですから、「仲がいいから発注する」とか「会社の規模が大きいから発注する」では問題が出てくるからです。
国民の生命や安全が直接関わることですから、最後まで工事を終えてもらわないといけませんし、20年後、50年後のメンテナンスもあります。
それゆえ、客観的事項と主観的事項で審査されるうちの「客観的事項での審査」が経審になります。
客観的事項とは「経営状況」「経営規模」「技術力」「その他の審査項目(社会性等)」などで点数がつき、評価されるものになります。
この中で「経営状況の分析」は、民間の経営状況分析機関が行うものになります。
経審を受け、いくつかの手続を経ると、最終的には「ランク」がつき、格付けされます。通常、AからDで区別されます。都道府県、発注機関によっては、別の区別もあります。これらのランクによって、工事業種別に、受注できる規模が決まります。
ある県を例に出してみます。この県は、経審で出た点数によって、下記のような取り扱いになっています。
・土木工事の場合
1,020点以上→Sランク→5,000万円以上の工事発注がOK
780点以上1,020点未満→Aランク→3,000万円以上10億円未満の工事発注OK
660点以上780点未満→Bランク→500万円以上1億5千万円未満の工事発注OK
570点以上660点未満→Cランク→4,000万円未満の工事発注OK
570点未満→Dランク→1,500万円未満の工事発注OK
このように、土木工事だけではなく、建築、舗装といった工事の種類別にそれぞれ定められています。
ここで意外に思われるかもしれませんが、「自社はBランクだ」という会社については、基本的には、Cランクの工事に入ることはできません。つまり、自社の当てはまるランクの範囲の工事しか受注できないのです。
ランクが高ければ良い、というわけではないのです。点数が高すぎて金額の張る工事しか取れず、業績が落ち込んだ会社がたくさんあります。ただ点数を取ればいいというものではありません。
ランクが決まる根拠となる要素の大部分は経審の点数です。経審は、注意して受ける必要があるということになります。
今回、経審そして受注できる工事について、わかりやすさを優先し、大ざっぱに書いております。会社の存続にかかわることですので、受注したい工事を発注する公共団体の基準を確認し、専門家に相談した上で行動に移すことをお勧めします。
建設業の経営安定講座
[プロフィール]
崎田 和伸(さきだ・かずのぶ)
行政書士法人Asumia 代表社員、あすみあグループ代表。行政書士。1973年生まれ。広島県出身(在住)。コネなし・カネなし・経験なしという状況で2000年開業。前職がレンタルDVD店フリーターという珍しい経歴を持つ。現在、一人親方から完成工事高400億円の建設会社まで、幅広い顧客を持つ。建設業に関わる許認可分野において、中国地方5県トップクラスの実績を有している。
ホームページ
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
なお、競争入札に入るためには、建設業許可を持つことが前提になります。金額も規模も大きく、公共性が高いものになりますので当然といえば当然です。
公共工事を発注する発注機関(公共団体が主)は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。発注機関は「客観的」事項と「主観的」事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けを行います。
つまり、いろいろな面から点数をつけ「工事を発注するための基準」を設けています。公共工事ですから、「仲がいいから発注する」とか「会社の規模が大きいから発注する」では問題が出てくるからです。
国民の生命や安全が直接関わることですから、最後まで工事を終えてもらわないといけませんし、20年後、50年後のメンテナンスもあります。
それゆえ、客観的事項と主観的事項で審査されるうちの「客観的事項での審査」が経審になります。
客観的事項とは「経営状況」「経営規模」「技術力」「その他の審査項目(社会性等)」などで点数がつき、評価されるものになります。
この中で「経営状況の分析」は、民間の経営状況分析機関が行うものになります。
経審を受け、いくつかの手続を経ると、最終的には「ランク」がつき、格付けされます。通常、AからDで区別されます。都道府県、発注機関によっては、別の区別もあります。これらのランクによって、工事業種別に、受注できる規模が決まります。
ある県を例に出してみます。この県は、経審で出た点数によって、下記のような取り扱いになっています。
・土木工事の場合
1,020点以上→Sランク→5,000万円以上の工事発注がOK
780点以上1,020点未満→Aランク→3,000万円以上10億円未満の工事発注OK
660点以上780点未満→Bランク→500万円以上1億5千万円未満の工事発注OK
570点以上660点未満→Cランク→4,000万円未満の工事発注OK
570点未満→Dランク→1,500万円未満の工事発注OK
このように、土木工事だけではなく、建築、舗装といった工事の種類別にそれぞれ定められています。
ここで意外に思われるかもしれませんが、「自社はBランクだ」という会社については、基本的には、Cランクの工事に入ることはできません。つまり、自社の当てはまるランクの範囲の工事しか受注できないのです。
ランクが高ければ良い、というわけではないのです。点数が高すぎて金額の張る工事しか取れず、業績が落ち込んだ会社がたくさんあります。ただ点数を取ればいいというものではありません。
ランクが決まる根拠となる要素の大部分は経審の点数です。経審は、注意して受ける必要があるということになります。
今回、経審そして受注できる工事について、わかりやすさを優先し、大ざっぱに書いております。会社の存続にかかわることですので、受注したい工事を発注する公共団体の基準を確認し、専門家に相談した上で行動に移すことをお勧めします。
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崎田 和伸(さきだ・かずのぶ)
行政書士法人Asumia 代表社員、あすみあグループ代表。行政書士。1973年生まれ。広島県出身(在住)。コネなし・カネなし・経験なしという状況で2000年開業。前職がレンタルDVD店フリーターという珍しい経歴を持つ。現在、一人親方から完成工事高400億円の建設会社まで、幅広い顧客を持つ。建設業に関わる許認可分野において、中国地方5県トップクラスの実績を有している。
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