アイディアは、つくるより選ぶのが難しい? アイディアの選び方、その3
アイディアを選ぶための8つのテクニック。今回は、その(3)と(4)をご紹介しましょう。
まず、(3)は「そのアイディアのダメなところは何かを、言葉にしてみる」です。前回ご紹介した(2)で良いところを言葉にした“応援タイム”がひと段落したら、次は“このアイディアのダメなところは何か”を言葉にしてみましょう。
ここでは、一見文句のつけようがないアイディアに対してでさえ、あえて“ダメなところ”を探して、言葉にしてみます。いじわるオヤジのような目線でいきましょう。できれば、目つきも少し悪くして、何か悪いところがあるはずだという目線で、頭を働かせましょう。
まず、(3)は「そのアイディアのダメなところは何かを、言葉にしてみる」です。前回ご紹介した(2)で良いところを言葉にした“応援タイム”がひと段落したら、次は“このアイディアのダメなところは何か”を言葉にしてみましょう。
ここでは、一見文句のつけようがないアイディアに対してでさえ、あえて“ダメなところ”を探して、言葉にしてみます。いじわるオヤジのような目線でいきましょう。できれば、目つきも少し悪くして、何か悪いところがあるはずだという目線で、頭を働かせましょう。
このテクニック(4)には、3つの意味があります。
1つ目は、もちろん、ダメなところも承知のうえで“最適な案”を選ぶということです。ものすごく良いところがあっても、それを上回るダメなところがあれば、そのアイディアを採用するべきではありません。
2つ目は、最終的に“選び・決めて”実行する案を、のちのちブラッシュアップすることです。この段階で“ダメなところ”が洗い出され、言語化されていれば、実行案を詰めて行く時に、ダメなところを減らすことができるはずです。
3つ目は、上層部や他部署やお客様企業の決定を受ける際に重要になります。決定権を持つ人は多くの場合、“ダメなところはないか”という視点で検討するものです。そこで欠点を指摘されても、自分達でダメなところを検証しておけば、その対応策などをしっかりと述べることができます。
さて、次は(4)の「外資企業のPros&Consという考え方。ポジとネガ」に進みましょう。
(2)と(3)で見てきたように、どんなアイディアにも良い点とダメな点があります。一見パーフェクトに見えるアイディアでもネガティブな点はあるし、逆に箸にも棒にもかからないように見えるアイディアにも、なにがしかポジティブな点はあるものです。
日本の会議では「ポジ・ネガ」などと呼ばれるこの考え方。英語では、つまり外資ではPros&Cons(プロズ・コンズ)と呼ばれ、何かを“選び・決める”際には検討するのが普通になっています。Prosが良い点で、Consがダメな点ですね。
そもそも、物事にはすべて、良い点とダメな点、光と影が存在する、と考えた方が、アイディアを“選び・決める”プロセスはうまくいきます。ダメな点も勘案したうえで良い点があるから、その案を選ぶのです。あるいは、良い点を活かしたいから、ダメな点を承知で、ダメな点を低減する措置を取りながら、そのアイディアに決めるのです。
誰が見ても良いアイディアであれば、何も選ぶのに苦労をすることはないし、“選び・決める”テクニックを学び、磨く必要はありません。しかし、多くのビジネスシーンでは、“絶対にコレ”と誰もが思えるアイディアなんて、出て来ないのが普通です。
このあと、(5)の「戦略コンサルのMECE(ミッシー)も、ゆる~く参考に」に進みます。次回も、引き続き8つのテクニックについて、ご紹介していきたいと思います。
佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
1つ目は、もちろん、ダメなところも承知のうえで“最適な案”を選ぶということです。ものすごく良いところがあっても、それを上回るダメなところがあれば、そのアイディアを採用するべきではありません。
2つ目は、最終的に“選び・決めて”実行する案を、のちのちブラッシュアップすることです。この段階で“ダメなところ”が洗い出され、言語化されていれば、実行案を詰めて行く時に、ダメなところを減らすことができるはずです。
3つ目は、上層部や他部署やお客様企業の決定を受ける際に重要になります。決定権を持つ人は多くの場合、“ダメなところはないか”という視点で検討するものです。そこで欠点を指摘されても、自分達でダメなところを検証しておけば、その対応策などをしっかりと述べることができます。
さて、次は(4)の「外資企業のPros&Consという考え方。ポジとネガ」に進みましょう。
(2)と(3)で見てきたように、どんなアイディアにも良い点とダメな点があります。一見パーフェクトに見えるアイディアでもネガティブな点はあるし、逆に箸にも棒にもかからないように見えるアイディアにも、なにがしかポジティブな点はあるものです。
日本の会議では「ポジ・ネガ」などと呼ばれるこの考え方。英語では、つまり外資ではPros&Cons(プロズ・コンズ)と呼ばれ、何かを“選び・決める”際には検討するのが普通になっています。Prosが良い点で、Consがダメな点ですね。
そもそも、物事にはすべて、良い点とダメな点、光と影が存在する、と考えた方が、アイディアを“選び・決める”プロセスはうまくいきます。ダメな点も勘案したうえで良い点があるから、その案を選ぶのです。あるいは、良い点を活かしたいから、ダメな点を承知で、ダメな点を低減する措置を取りながら、そのアイディアに決めるのです。
誰が見ても良いアイディアであれば、何も選ぶのに苦労をすることはないし、“選び・決める”テクニックを学び、磨く必要はありません。しかし、多くのビジネスシーンでは、“絶対にコレ”と誰もが思えるアイディアなんて、出て来ないのが普通です。
このあと、(5)の「戦略コンサルのMECE(ミッシー)も、ゆる~く参考に」に進みます。次回も、引き続き8つのテクニックについて、ご紹介していきたいと思います。
佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)