M&Aを持ち掛けられた時の適切な対応とは
取引先との交渉や面談中に、M&A(Mergers and Acquisitions)、つまり企業の合併と買収に関しての提案をされることがあった場合、提案を受けた側(売り手側)はどのように対応すべきでしょうか。
今回は、企業の経営に関わる重要な決断を迫られるM&Aの提案を受けた場合の対応方法や進め方について紹介します。
今回は、企業の経営に関わる重要な決断を迫られるM&Aの提案を受けた場合の対応方法や進め方について紹介します。
即答厳禁。状況によっては株主の確認も
取引先との交渉や商談中にM&Aの提案があった場合、まず、その場ですぐに返事をしないことが重要です。
M&Aは、買い手側はともかく、売り手側の企業は検討すらしていない場合もあり、その場で即決できるものではありません。
仮にその話に興味があったとしても、即答はせず「一度社内に持ち帰ります」といった返答でよいでしょう。
前向きに検討していく場合は、株主への確認が必要になります。
M&Aは取締役(会)のみで決断して実行することはできません。
自身が代表取締役兼100%株式保有者であれば、自身ですべて決めることができますが、株主が数名いる場合などは、株主総会決議にて可決が必要な場合もあります。
したがって、株主への確認は、M&Aの前提事項となります。
事業の領域拡大や人員補充などがメリット
基本的に、代表取締役が筆頭株主であることが多いと考えられるため、今回はその前提で注意点などを整理していきます。
M&Aの提案を受けた場合、売り手側として検討すべき主な事項はさまざまな観点があります。
まずメリットについて整理しましょう。
●対価が得られる
M&Aは企業(事業)自体を売却することになるため、その対価を得ることができます。
対価は企業の財務状況などさまざまな事情を考慮して判断されます。
したがって、その対価が数億から数十億円となるケースもあります。
●事業の範囲や企業規模の拡大が見込める
買い手側の傘下に入ることで、自社単独では難しかった領域への事業範囲を拡大することや、既存事業の規模を拡大することができます。
事業や企業の経済的相性がよいと『シナジー効果』と呼ばれる相乗効果により、互いの会社にそれぞれが単独で行動したとき以上の大きな利益をもたらすこともあります。
●人手不足の解消や組織の強化
後継者が不在の場合や従業員が不足している場合、人員の補充や組織をより強固なものにできる可能性があります。
従来のような経営ができなくなる可能性も
一方、デメリットとしては、以下のようなものが考えられます。
●事業方針が変更される
買い手側が支配権を得るため、それまでの企業の方針・制度を、半ば強制的に変更しなければならなくなる可能性があります。
●組織変更や裁量の縮小などがある
役員の取り扱いは、取り決めにもよりますが、それまでの体制を維持できず、変更される可能性があります。
仮に同じポジションのままだったとしても、決裁権限などに関して相当な制約が付加される場合もあり、それまでと同じようには企業経営ができなくなるおそれがあります。
●文化の違いによる軋轢が起こる可能性も
買い手企業の社風や規則が従来の企業と異なる場合、従業員が退社することも少なくありません。
特に異業種間でのM&Aや、たとえば上場企業などコンプライアンスが厳しい企業とのM&Aの場合、軋轢が起こる可能性があります。
安心できる相手に相談して最適な結論を
M&Aを行った場合、対価を得る代わりに、それまでと同様の形で企業経営ができなくなる可能性もあると考え、そのうえで、買い手と話を進めていくとよいでしょう。
なお、企業にとっては極めて重要な事項であり、必要な情報は遠慮せずに確認し、懸念点や疑問点はその都度相談をして解決していくことが大切です。
M&Aについては、従業員はもちろんのこと、家族にすら相談しにくい内容です。
万が一情報がもれてしまうと、M&Aの計画自体が立ち消えてしまう可能性もあります。
また、M&Aは上記のメリット、デメリット以外にも検討事項がさまざまあり、一人では答えを出せない場合もあります。
そのような時は、弁護士や税理士などM&Aに精通した専門家に相談をしてみるのも一つの手です。
自分一人では持ち得なかった視点や一般的なM&Aの流れなど、詳しく聞くことができます。
一人で悩まず、相談できる相手に可能な限り相談をして、最適な結論を出すことが重要です。
※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。
取引先との交渉や商談中にM&Aの提案があった場合、まず、その場ですぐに返事をしないことが重要です。
M&Aは、買い手側はともかく、売り手側の企業は検討すらしていない場合もあり、その場で即決できるものではありません。
仮にその話に興味があったとしても、即答はせず「一度社内に持ち帰ります」といった返答でよいでしょう。
前向きに検討していく場合は、株主への確認が必要になります。
M&Aは取締役(会)のみで決断して実行することはできません。
自身が代表取締役兼100%株式保有者であれば、自身ですべて決めることができますが、株主が数名いる場合などは、株主総会決議にて可決が必要な場合もあります。
したがって、株主への確認は、M&Aの前提事項となります。
事業の領域拡大や人員補充などがメリット
基本的に、代表取締役が筆頭株主であることが多いと考えられるため、今回はその前提で注意点などを整理していきます。
M&Aの提案を受けた場合、売り手側として検討すべき主な事項はさまざまな観点があります。
まずメリットについて整理しましょう。
●対価が得られる
M&Aは企業(事業)自体を売却することになるため、その対価を得ることができます。
対価は企業の財務状況などさまざまな事情を考慮して判断されます。
したがって、その対価が数億から数十億円となるケースもあります。
●事業の範囲や企業規模の拡大が見込める
買い手側の傘下に入ることで、自社単独では難しかった領域への事業範囲を拡大することや、既存事業の規模を拡大することができます。
事業や企業の経済的相性がよいと『シナジー効果』と呼ばれる相乗効果により、互いの会社にそれぞれが単独で行動したとき以上の大きな利益をもたらすこともあります。
●人手不足の解消や組織の強化
後継者が不在の場合や従業員が不足している場合、人員の補充や組織をより強固なものにできる可能性があります。
従来のような経営ができなくなる可能性も
一方、デメリットとしては、以下のようなものが考えられます。
●事業方針が変更される
買い手側が支配権を得るため、それまでの企業の方針・制度を、半ば強制的に変更しなければならなくなる可能性があります。
●組織変更や裁量の縮小などがある
役員の取り扱いは、取り決めにもよりますが、それまでの体制を維持できず、変更される可能性があります。
仮に同じポジションのままだったとしても、決裁権限などに関して相当な制約が付加される場合もあり、それまでと同じようには企業経営ができなくなるおそれがあります。
●文化の違いによる軋轢が起こる可能性も
買い手企業の社風や規則が従来の企業と異なる場合、従業員が退社することも少なくありません。
特に異業種間でのM&Aや、たとえば上場企業などコンプライアンスが厳しい企業とのM&Aの場合、軋轢が起こる可能性があります。
安心できる相手に相談して最適な結論を
M&Aを行った場合、対価を得る代わりに、それまでと同様の形で企業経営ができなくなる可能性もあると考え、そのうえで、買い手と話を進めていくとよいでしょう。
なお、企業にとっては極めて重要な事項であり、必要な情報は遠慮せずに確認し、懸念点や疑問点はその都度相談をして解決していくことが大切です。
M&Aについては、従業員はもちろんのこと、家族にすら相談しにくい内容です。
万が一情報がもれてしまうと、M&Aの計画自体が立ち消えてしまう可能性もあります。
また、M&Aは上記のメリット、デメリット以外にも検討事項がさまざまあり、一人では答えを出せない場合もあります。
そのような時は、弁護士や税理士などM&Aに精通した専門家に相談をしてみるのも一つの手です。
自分一人では持ち得なかった視点や一般的なM&Aの流れなど、詳しく聞くことができます。
一人で悩まず、相談できる相手に可能な限り相談をして、最適な結論を出すことが重要です。
※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。