要注意! ロゴやグッズに使ってはいけないマーク
昨今、企業ロゴなどのデザインは、さまざまな工夫やこだわりを施し、個性豊かなものが多くなりました。
しかし、ロゴやマークには、著作権などのルールに加え、いくつかの理由で使用が禁じられていたり不適切だったりするデザインがあります。
近頃では、デザインが不適切であるとするSNSの書き込みなどを発端に、いわゆる『炎上』し、対応を余儀なくされるケースが多くなりました。
企業がロゴやマークを考える際は、こういった事態を招かないようくれぐれも注意しなければなりません。
今回は、安易に使うと問題を起こしかねないデザインと、その注意点について解説します。
しかし、ロゴやマークには、著作権などのルールに加え、いくつかの理由で使用が禁じられていたり不適切だったりするデザインがあります。
近頃では、デザインが不適切であるとするSNSの書き込みなどを発端に、いわゆる『炎上』し、対応を余儀なくされるケースが多くなりました。
企業がロゴやマークを考える際は、こういった事態を招かないようくれぐれも注意しなければなりません。
今回は、安易に使うと問題を起こしかねないデザインと、その注意点について解説します。
炎上リスクも? 何気ないデザインの落とし穴
身の周りには、さまざまな色や形のロゴマークが使われています。
自動車メーカーやファストフード店の名前を聞いただけで、そのシンボルマークをイメージする人も多いでしょう。
商品や販促グッズにデザインされたマークをきっかけに、興味を持つこともよくあります。
このように、ロゴマークは企業がマーケティングやブランディングを考えるうえで欠かせない要素の一つといえます。
しかし近年、そのマーク自体のデザインや使い方が問題となるケースが相次いでいます。
SNSで物議を醸し、炎上した末に企業の謝罪や販売中止へと追い込まれるニュースも時折報じられてきました。
不適切なデザインは、企業の姿勢そのものに結びつけられ、世間からのイメージダウンを招きかねません。
具体的な事例をみていきましょう。
2022年10月、あるアーティストのグッズに描かれたマークが問題視され、事態はアーティスト側のデザイン改定と関連アルバムの発売延期に至りました。
発端となったのは、SNSへの投稿です。
赤と白の特徴的な色使いと形状であしらわれたデザインが、公共的な役割を持つ『ヘルプマーク』や『赤十字マーク』に酷似しているとして、多くの批判が寄せられました。
ヘルプマークは元々、外見からは分かりにくい障害などがある人が、援助を受けやすくするために携帯するものです。
別のマークとの見誤りがあれば、混乱を招いたり、本来受けられるはずの援助が受けられなくなったりする心配があります。
また、赤十字マークは、戦争や紛争で傷ついた人を救護する際に使われる国際的な目印です。
条約や法律によって使用が厳しく制限され、たとえ同一の色合いや形状ではない類似のデザインであったとしても、自由に使うことはできません。
違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
このような点から、SNS上では「命にかかわる問題」「意図的なマーケティングでは?」などと公表直後から批判が巻き起こりました。
ヘルプマークを作成した東京都や日本赤十字社からの対応要請もあり、アーティスト側は謝罪したうえでデザインを改定するとともに作品の発売延期を決めました。
国際的に使用を避けるべきマークやデザイン
不適切なデザインになる可能性があるため注意が必要なのは、ヘルプマークや赤十字マークのように、なじみのあるデザインばかりではありません。
国内では問題ないと思われていても、海外では受け入れられないものもあります。
2015年、あるアパレル企業が洋服とセットで販売したアクセサリーには、ナチス・ドイツの鉤(かぎ)十字がデザインされていました。
日本の地図記号である寺院と類似しており、『まんじ』マークにも見えるため、国内では見逃されるデザインかもしれません。
しかし、歴史的なバックグラウンドを抱えた海外の人の視点に立つと、国際的な問題に発展しかねないマークであるといえます。
このアパレル企業は消費者からの指摘を受け、該当商品の販売中止を決めました。
使用してしまうと誤解を招きかねないデザインや扱いに注意するべきデザインは、ほかにもあります。
以下は、一例です。
●旭日旗(きょくじつき)
太陽および太陽光を意匠化したデザインで、旧日本軍の象徴としてとらえられ、近隣諸国の人が嫌悪感を抱く可能性があります。
●ケルト十字
円形に十字を組み合わせた形状です。白人の文化的優位性を表すシンボルともいわれます。
●古代文字のSS
直線的にSを2つ表現したデザインで、ナチス親衛隊が使ったバッジを連想させるものです。
●アイアンクロス
端が広がった十字で、ドイツでは鉤十字との組み合わせが禁止されています。
●六芒星
上下の三角を重ねたようなマークで、ユダヤ教における重要なモチーフのため、軽率な利用は不適切とみなされます。
●地球儀
領土問題をイメージされる可能性があり、細部まで注意したうえでの利用が求められます。
このように、誤解を生むようなマークやデザインの使用は、見た人によっては不快な気持ちになったり、差別を思い起こしたりする危険があります。
何気ないデザインも、組み合わせによっては問題となる場合もあるため注意が必要です。
SNSが普及した現代では、一度炎上すると『認識の違い』だけでは収集しきれず、国際的な批判にまで発展しかねません。
企業においては、これらの『炎上リスク』を十分に理解したうえで、ロゴマークなどのデザインを決定することが大切です。
また、炎上した場合の対応や対応体制などを、専門家に相談しながら事前に決めておくことも検討してはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年1月現在の法令・情報等に基づいています。
身の周りには、さまざまな色や形のロゴマークが使われています。
自動車メーカーやファストフード店の名前を聞いただけで、そのシンボルマークをイメージする人も多いでしょう。
商品や販促グッズにデザインされたマークをきっかけに、興味を持つこともよくあります。
このように、ロゴマークは企業がマーケティングやブランディングを考えるうえで欠かせない要素の一つといえます。
しかし近年、そのマーク自体のデザインや使い方が問題となるケースが相次いでいます。
SNSで物議を醸し、炎上した末に企業の謝罪や販売中止へと追い込まれるニュースも時折報じられてきました。
不適切なデザインは、企業の姿勢そのものに結びつけられ、世間からのイメージダウンを招きかねません。
具体的な事例をみていきましょう。
2022年10月、あるアーティストのグッズに描かれたマークが問題視され、事態はアーティスト側のデザイン改定と関連アルバムの発売延期に至りました。
発端となったのは、SNSへの投稿です。
赤と白の特徴的な色使いと形状であしらわれたデザインが、公共的な役割を持つ『ヘルプマーク』や『赤十字マーク』に酷似しているとして、多くの批判が寄せられました。
ヘルプマークは元々、外見からは分かりにくい障害などがある人が、援助を受けやすくするために携帯するものです。
別のマークとの見誤りがあれば、混乱を招いたり、本来受けられるはずの援助が受けられなくなったりする心配があります。
また、赤十字マークは、戦争や紛争で傷ついた人を救護する際に使われる国際的な目印です。
条約や法律によって使用が厳しく制限され、たとえ同一の色合いや形状ではない類似のデザインであったとしても、自由に使うことはできません。
違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
このような点から、SNS上では「命にかかわる問題」「意図的なマーケティングでは?」などと公表直後から批判が巻き起こりました。
ヘルプマークを作成した東京都や日本赤十字社からの対応要請もあり、アーティスト側は謝罪したうえでデザインを改定するとともに作品の発売延期を決めました。
国際的に使用を避けるべきマークやデザイン
不適切なデザインになる可能性があるため注意が必要なのは、ヘルプマークや赤十字マークのように、なじみのあるデザインばかりではありません。
国内では問題ないと思われていても、海外では受け入れられないものもあります。
2015年、あるアパレル企業が洋服とセットで販売したアクセサリーには、ナチス・ドイツの鉤(かぎ)十字がデザインされていました。
日本の地図記号である寺院と類似しており、『まんじ』マークにも見えるため、国内では見逃されるデザインかもしれません。
しかし、歴史的なバックグラウンドを抱えた海外の人の視点に立つと、国際的な問題に発展しかねないマークであるといえます。
このアパレル企業は消費者からの指摘を受け、該当商品の販売中止を決めました。
使用してしまうと誤解を招きかねないデザインや扱いに注意するべきデザインは、ほかにもあります。
以下は、一例です。
●旭日旗(きょくじつき)
太陽および太陽光を意匠化したデザインで、旧日本軍の象徴としてとらえられ、近隣諸国の人が嫌悪感を抱く可能性があります。
●ケルト十字
円形に十字を組み合わせた形状です。白人の文化的優位性を表すシンボルともいわれます。
●古代文字のSS
直線的にSを2つ表現したデザインで、ナチス親衛隊が使ったバッジを連想させるものです。
●アイアンクロス
端が広がった十字で、ドイツでは鉤十字との組み合わせが禁止されています。
●六芒星
上下の三角を重ねたようなマークで、ユダヤ教における重要なモチーフのため、軽率な利用は不適切とみなされます。
●地球儀
領土問題をイメージされる可能性があり、細部まで注意したうえでの利用が求められます。
このように、誤解を生むようなマークやデザインの使用は、見た人によっては不快な気持ちになったり、差別を思い起こしたりする危険があります。
何気ないデザインも、組み合わせによっては問題となる場合もあるため注意が必要です。
SNSが普及した現代では、一度炎上すると『認識の違い』だけでは収集しきれず、国際的な批判にまで発展しかねません。
企業においては、これらの『炎上リスク』を十分に理解したうえで、ロゴマークなどのデザインを決定することが大切です。
また、炎上した場合の対応や対応体制などを、専門家に相談しながら事前に決めておくことも検討してはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年1月現在の法令・情報等に基づいています。