変形労働時間制を導入するメリットと注意点
『変形労働時間制』とは、時期による繁忙に合わせ、社員の勤務時間の配分を取り決める制度です。
労働時間を月単位や年単位で調節できるため、繁忙期と閑散期で労働時間にばらつきのある業種を中心に採用されています。
あらかじめ定めた労働時間を超えなければ残業代が発生しないため、残業代を抑えることができます。
また、従業員も忙しいときに集中して働き、業務が少ないときは長期休暇を取得できるなど、メリハリのある働き方が可能になります。
変形労働時間制を導入する方法や、注意点などを説明します。
労働時間を月単位や年単位で調節できるため、繁忙期と閑散期で労働時間にばらつきのある業種を中心に採用されています。
あらかじめ定めた労働時間を超えなければ残業代が発生しないため、残業代を抑えることができます。
また、従業員も忙しいときに集中して働き、業務が少ないときは長期休暇を取得できるなど、メリハリのある働き方が可能になります。
変形労働時間制を導入する方法や、注意点などを説明します。
変形労働時間制を適用できる業種
労働基準法(32条)では法定労働時間を定めており、使用者は原則として労働者を1日8時間、1週間で40時間を超えて働かせてはいけないことになっています。
もし、この労働時間を超えて働かせる場合には、労働者と時間外及び休日労働協定(通称36協定)を結び、時間外労働分については、残業代などの時間外手当を支払う必要があります。
しかし、時期によって忙しさにばらつきのある企業は、業務が決められた労働時間に収まらなかったり、逆に労働時間が余ってしまうこともあります。
たとえば、繁忙期は忙しいので1日10時間は働いてもらいたいが、閑散期は1日6時間の労働で済むこともあります。
このような、労働時間のばらつきを調整し、長時間労働を防止するために、繁忙期と閑散期のある多くの会社が変形労働時間制を取り入れています。
変形労働時間制には、1年単位、1カ月単位、1週間単位があります。
このうち、1週間単位の変形労働時間制を導入できるのは、規模が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店に限られています。
1カ月単位の変形労働時間制を導入する場合
1カ月単位の変形労働時間制を導入するには、まず対象の労働者を決定し、その上で、1カ月のはじまりの日(起算日)と対象期間(1カ月)を決定します。
定めた対象期間を平均して、1週間当たりの労働時間が平均して40時間を超えないように法定労働時間の範囲内で日ごとに労働時間を振り分け、カレンダーなどで具体的に定めます。
法定労働時間は1日8時間、1週間40時間と決められているため、1カ月の法定労働時間は『暦日数×40時間÷7日』という計算式で求めることができます。
たとえば、毎月1~10日に繁忙期を迎える会社であれば、1~10日の労働時間を1日10時間に設定し、それ以外の日を1日7時間労働にするなどします。
また、割増賃金は、あらかじめ協定で定めた日や週の所定労働時間または1日8時間、週40時間を超えた時間に対して算出します。その上で月の法定労働時間を超える時間を算出して支払わなければなりません。その際、時間が重複しないように計算して支払う必要があります。
労働時間を設定したら、その内容を労使協定または就業規則で定め、労働基準監督署へ届け出ます。
就業規則には変形期間中の始業・終業時刻などを記載しましょう。
1年単位の変形労働時間制を導入する場合
一方、1年単位の変形労働時間制は、1カ月を超え1年の法定労働時間の範囲内で、出勤日数や労働時間を定めます。
たとえば繁忙期には週6日間などの長期勤務にして、閑散期には勤務日数や労働時間を減らして短期勤務にするなど、調整を行います。
ただし、繁忙期だからといって労働者に過度な労働を課さないよう、1年単位の変形労働時間制では、いくつかの制限が設けられています。
労働日数の限度は原則として1年間に280日までと決められており、連続労働日数も最長で6日間までになります。
閑散期の月にまるごと休日を与えて、繁忙期に20日連続で働かせることはできません。
しかし、労使協定によって特に忙しい時期を『特定期間』として定めておけば、最長で12日連続の労働が認められています。
特定期間中の休日は、「1週間の中でどこか1日は休日を確保する」という定めしかないため、たとえば特定期間の第1週の日曜と第2週の土曜に休日を設定することで、第1週の月曜から第2週の金曜までの12日間を就労日にすることが可能です。
ただし、「1年間すべてを特定期間とする」といったような、極端に長い期間を特定期間に設定することはできません。
また、1日・1週の労働時間の限度が定められており、1日10時間、1週間で52時間を超えて働かせることはできません。
週の労働時間の設定については、設定できる範囲に制限が定められていますので、注意が必要です。
1年単位の変形労働時間制を導入するには、労使協定を結んだうえで、変形期間中の始業・終業時刻などを記載した就業規則を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
変形労働時間であっても、就業規則で定めた1日の労働時間を超えた場合は、時間外労働となり残業代等が発生します。
1年単位の変形労働時間制度の場合、1カ月単位の変形労働時間制と同様、労使協定で定めた1日・1週の労働時間を超えた場合、それ以外は1日8時間・1週40時間を超えた場合、法定労働時間の総枠を超えた場合に、割増賃金の支払いが必要となります。ただし、日と週の上限時間があるなど、どの変形労働時間制度を採用しているかによって異なる点がありますので、導入する制度を踏まえて賃金計算は十分に注意しましょう。
導入のポイントは、1カ月もしくは1年の法定労働時間の範囲内で、うまく1日の労働時間を配分することにあります。
会社の業務内容や繁閑のスケジュールを洗い出し、適切な労働時間を設定しましょう。
※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。
労働基準法(32条)では法定労働時間を定めており、使用者は原則として労働者を1日8時間、1週間で40時間を超えて働かせてはいけないことになっています。
もし、この労働時間を超えて働かせる場合には、労働者と時間外及び休日労働協定(通称36協定)を結び、時間外労働分については、残業代などの時間外手当を支払う必要があります。
しかし、時期によって忙しさにばらつきのある企業は、業務が決められた労働時間に収まらなかったり、逆に労働時間が余ってしまうこともあります。
たとえば、繁忙期は忙しいので1日10時間は働いてもらいたいが、閑散期は1日6時間の労働で済むこともあります。
このような、労働時間のばらつきを調整し、長時間労働を防止するために、繁忙期と閑散期のある多くの会社が変形労働時間制を取り入れています。
変形労働時間制には、1年単位、1カ月単位、1週間単位があります。
このうち、1週間単位の変形労働時間制を導入できるのは、規模が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店に限られています。
1カ月単位の変形労働時間制を導入する場合
1カ月単位の変形労働時間制を導入するには、まず対象の労働者を決定し、その上で、1カ月のはじまりの日(起算日)と対象期間(1カ月)を決定します。
定めた対象期間を平均して、1週間当たりの労働時間が平均して40時間を超えないように法定労働時間の範囲内で日ごとに労働時間を振り分け、カレンダーなどで具体的に定めます。
法定労働時間は1日8時間、1週間40時間と決められているため、1カ月の法定労働時間は『暦日数×40時間÷7日』という計算式で求めることができます。
たとえば、毎月1~10日に繁忙期を迎える会社であれば、1~10日の労働時間を1日10時間に設定し、それ以外の日を1日7時間労働にするなどします。
また、割増賃金は、あらかじめ協定で定めた日や週の所定労働時間または1日8時間、週40時間を超えた時間に対して算出します。その上で月の法定労働時間を超える時間を算出して支払わなければなりません。その際、時間が重複しないように計算して支払う必要があります。
労働時間を設定したら、その内容を労使協定または就業規則で定め、労働基準監督署へ届け出ます。
就業規則には変形期間中の始業・終業時刻などを記載しましょう。
1年単位の変形労働時間制を導入する場合
一方、1年単位の変形労働時間制は、1カ月を超え1年の法定労働時間の範囲内で、出勤日数や労働時間を定めます。
たとえば繁忙期には週6日間などの長期勤務にして、閑散期には勤務日数や労働時間を減らして短期勤務にするなど、調整を行います。
ただし、繁忙期だからといって労働者に過度な労働を課さないよう、1年単位の変形労働時間制では、いくつかの制限が設けられています。
労働日数の限度は原則として1年間に280日までと決められており、連続労働日数も最長で6日間までになります。
閑散期の月にまるごと休日を与えて、繁忙期に20日連続で働かせることはできません。
しかし、労使協定によって特に忙しい時期を『特定期間』として定めておけば、最長で12日連続の労働が認められています。
特定期間中の休日は、「1週間の中でどこか1日は休日を確保する」という定めしかないため、たとえば特定期間の第1週の日曜と第2週の土曜に休日を設定することで、第1週の月曜から第2週の金曜までの12日間を就労日にすることが可能です。
ただし、「1年間すべてを特定期間とする」といったような、極端に長い期間を特定期間に設定することはできません。
また、1日・1週の労働時間の限度が定められており、1日10時間、1週間で52時間を超えて働かせることはできません。
週の労働時間の設定については、設定できる範囲に制限が定められていますので、注意が必要です。
1年単位の変形労働時間制を導入するには、労使協定を結んだうえで、変形期間中の始業・終業時刻などを記載した就業規則を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
変形労働時間であっても、就業規則で定めた1日の労働時間を超えた場合は、時間外労働となり残業代等が発生します。
1年単位の変形労働時間制度の場合、1カ月単位の変形労働時間制と同様、労使協定で定めた1日・1週の労働時間を超えた場合、それ以外は1日8時間・1週40時間を超えた場合、法定労働時間の総枠を超えた場合に、割増賃金の支払いが必要となります。ただし、日と週の上限時間があるなど、どの変形労働時間制度を採用しているかによって異なる点がありますので、導入する制度を踏まえて賃金計算は十分に注意しましょう。
導入のポイントは、1カ月もしくは1年の法定労働時間の範囲内で、うまく1日の労働時間を配分することにあります。
会社の業務内容や繁閑のスケジュールを洗い出し、適切な労働時間を設定しましょう。
※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。