東京都が太陽光パネルの設置義務化を検討中! 影響を受けるのは?
東京都は、一戸建て住宅を含む新築の建築物に対して、太陽光パネル設置の義務化を進めています。
都は2022年9月に基本方針を発表し、年内に関連条例の改正案を都議会に提出、2025年4月には施行するとの方針を固めました。
設置義務の対象となるのは、戸建住宅を購入する個人ではなく、戸建住宅を建てて販売するハウスメーカーなどの事業者になります。
現状、設置の義務化には賛否両論あり、是非が問われている段階です。
太陽光パネルの設置が義務化された場合、対象の事業者にどのような影響があるのかを解説します。
都は2022年9月に基本方針を発表し、年内に関連条例の改正案を都議会に提出、2025年4月には施行するとの方針を固めました。
設置義務の対象となるのは、戸建住宅を購入する個人ではなく、戸建住宅を建てて販売するハウスメーカーなどの事業者になります。
現状、設置の義務化には賛否両論あり、是非が問われている段階です。
太陽光パネルの設置が義務化された場合、対象の事業者にどのような影響があるのかを解説します。
太陽光発電で温室効果ガスの削減を実現
太陽光パネルとは、太陽光で発電を行うためのパネル型の設備のことで、『ソーラーパネル』や『太陽電池モジュール』とも呼ばれます。
パネルに太陽光が当たることで、光エネルギーを電気エネルギーに変換する仕組みです。
火力発電のように二酸化炭素(CO2)を排出せず、原子力発電のように放射性廃棄物を出すことのない、『クリーンなエネルギー』といわれています。
東京都では、2030年までに都内における温室効果ガスの排出量を50%削減する『カーボンハーフ』、2050年までに排出量を0%にする『ゼロエミッション東京』の実現に向けて、再生可能エネルギーの利用拡大を推進しています。
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱など、自然界に存在する温室効果ガスを排出しないエネルギーのこと。
東京都には太陽光パネルの設置を義務化することで、温室効果ガスの排出量を減らすという狙いがあります。
条例が改正された場合、太陽光パネルの設置が義務づけられるのは、ハウスメーカーやビルダーなどの事業者ですが、現状の制度案では年間2万平方メートル以上の建物を建築する大手事業者に限られています。
戸建住宅を購入する個人や、基準に満たない中小の事業者は対象にならず、対象となる大手事業者であったとしても、太陽光パネルの設置を行わなければならないのは新築の建築物のみとなり、既存の物件に設置する必要はありません。
また、東京都では、対象となる事業者が供給する建物全体で設置基準の達成を求める仕組みづくりを行う予定で、太陽光パネルの設置は、日照などの立地条件や、住宅の形状等を踏まえて、事業者が判断することになります。
つまり、ある程度の裁量は事業者側に委ねられることになるため、設置基準を達成できるのであれば、新築の建築物だからといって、必ずしも太陽光パネルを設置する必要があるわけではないということです。
対象事業者は建築コストが増加する可能性
では、対象となる事業者はどのような影響を受けることになるのでしょうか。
一つに、太陽光パネルの設置に伴う建築コストの増加が考えられます。
初期費用のかからないリース製品なども認められるとされていますが、太陽光パネルは設置費用を含めて100万円を超えるものも多く、現実的に戸建住宅の販売価格に転嫁せざるを得ない状況も出てくる可能性があります。
また、太陽光パネルには半導体が使われているため、近年の半導体不足の影響を受ける可能性もあり、パネル自体の価格が高騰するという懸念もあります。
今後は、義務化と併せて、事業者の負担を減らすための補助金制度の整備など、なんらかの財政措置が取られることが期待されています。
ほかにも、設置された後の太陽光パネルの保守点検やメンテナンス、廃棄処分などは、購入者が行わなければいけないため、逆に太陽光パネルの設置されていない住宅を選ぶ購入者が増えることも考えられます。
事業者にとっては、購入者の負担が増える可能性も加味しなければならず、対象の事業者からは設置を義務化するべきではないという声もあがっています。
一方、太陽光パネルを設置することの一番のメリットは、電気代を節約できる可能性があることです。
太陽光パネルは太陽の光を電気に換えるため、悪天候時や夜間には発電することができません。
それでも、発電効率は高く、東京都では住宅屋根に4kWの太陽光パネルを設置した場合、年間4,000kWh程度の発電量が期待できるとしています。
4,000kWhは、一般家庭の平均年間電力消費量の8割ほどに相当します。
電力受給の逼迫に備える意味でも、太陽光パネルの設置は住宅販売の際の大きなアピールポイントになるでしょう。
すでに、ほかの自治体では太陽光パネル設置の義務化が導入されており、京都府京都市では延床面積300平方メートル以上の新築・増築時に、群馬県では延床面積2,000平方メートル以上の新築・増改築時に、太陽光パネルを設置する必要があります。
また、神奈川県川崎市では、川崎市環境審議会脱炭素化部会において、設置義務化が検討されています。
東京都が公表した義務化をめぐる意見公募では、賛成が56%だったのに対し、反対も41%と拮抗しています。
もし、義務化が導入された場合、将来的には対象の事業者が拡大されたり、ほかの都道府県でも導入される可能性があります。
今後も、関係する事業者は、東京都における義務化の動きを注視しておく必要があります。
※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。
太陽光パネルとは、太陽光で発電を行うためのパネル型の設備のことで、『ソーラーパネル』や『太陽電池モジュール』とも呼ばれます。
パネルに太陽光が当たることで、光エネルギーを電気エネルギーに変換する仕組みです。
火力発電のように二酸化炭素(CO2)を排出せず、原子力発電のように放射性廃棄物を出すことのない、『クリーンなエネルギー』といわれています。
東京都では、2030年までに都内における温室効果ガスの排出量を50%削減する『カーボンハーフ』、2050年までに排出量を0%にする『ゼロエミッション東京』の実現に向けて、再生可能エネルギーの利用拡大を推進しています。
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱など、自然界に存在する温室効果ガスを排出しないエネルギーのこと。
東京都には太陽光パネルの設置を義務化することで、温室効果ガスの排出量を減らすという狙いがあります。
条例が改正された場合、太陽光パネルの設置が義務づけられるのは、ハウスメーカーやビルダーなどの事業者ですが、現状の制度案では年間2万平方メートル以上の建物を建築する大手事業者に限られています。
戸建住宅を購入する個人や、基準に満たない中小の事業者は対象にならず、対象となる大手事業者であったとしても、太陽光パネルの設置を行わなければならないのは新築の建築物のみとなり、既存の物件に設置する必要はありません。
また、東京都では、対象となる事業者が供給する建物全体で設置基準の達成を求める仕組みづくりを行う予定で、太陽光パネルの設置は、日照などの立地条件や、住宅の形状等を踏まえて、事業者が判断することになります。
つまり、ある程度の裁量は事業者側に委ねられることになるため、設置基準を達成できるのであれば、新築の建築物だからといって、必ずしも太陽光パネルを設置する必要があるわけではないということです。
対象事業者は建築コストが増加する可能性
では、対象となる事業者はどのような影響を受けることになるのでしょうか。
一つに、太陽光パネルの設置に伴う建築コストの増加が考えられます。
初期費用のかからないリース製品なども認められるとされていますが、太陽光パネルは設置費用を含めて100万円を超えるものも多く、現実的に戸建住宅の販売価格に転嫁せざるを得ない状況も出てくる可能性があります。
また、太陽光パネルには半導体が使われているため、近年の半導体不足の影響を受ける可能性もあり、パネル自体の価格が高騰するという懸念もあります。
今後は、義務化と併せて、事業者の負担を減らすための補助金制度の整備など、なんらかの財政措置が取られることが期待されています。
ほかにも、設置された後の太陽光パネルの保守点検やメンテナンス、廃棄処分などは、購入者が行わなければいけないため、逆に太陽光パネルの設置されていない住宅を選ぶ購入者が増えることも考えられます。
事業者にとっては、購入者の負担が増える可能性も加味しなければならず、対象の事業者からは設置を義務化するべきではないという声もあがっています。
一方、太陽光パネルを設置することの一番のメリットは、電気代を節約できる可能性があることです。
太陽光パネルは太陽の光を電気に換えるため、悪天候時や夜間には発電することができません。
それでも、発電効率は高く、東京都では住宅屋根に4kWの太陽光パネルを設置した場合、年間4,000kWh程度の発電量が期待できるとしています。
4,000kWhは、一般家庭の平均年間電力消費量の8割ほどに相当します。
電力受給の逼迫に備える意味でも、太陽光パネルの設置は住宅販売の際の大きなアピールポイントになるでしょう。
すでに、ほかの自治体では太陽光パネル設置の義務化が導入されており、京都府京都市では延床面積300平方メートル以上の新築・増築時に、群馬県では延床面積2,000平方メートル以上の新築・増改築時に、太陽光パネルを設置する必要があります。
また、神奈川県川崎市では、川崎市環境審議会脱炭素化部会において、設置義務化が検討されています。
東京都が公表した義務化をめぐる意見公募では、賛成が56%だったのに対し、反対も41%と拮抗しています。
もし、義務化が導入された場合、将来的には対象の事業者が拡大されたり、ほかの都道府県でも導入される可能性があります。
今後も、関係する事業者は、東京都における義務化の動きを注視しておく必要があります。
※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。