煙や匂いが大量に出る『重飲食』。 物件探しのポイントと交渉術
『重飲食』とは、不動産仲介業者や家主が使う用語で、焼き肉やラーメン、中華料理、鉄板焼きなどの、煙や匂いが大量に出る飲食業を指します。
これには厳密な定義があるわけではなく、フレンチや和食、カフェなども、調理の度合いが高いと、重飲食として扱われます。
重飲食は物件探しに苦労することも多いといわれます。
今回は、重飲食向け物件を探す際の注意点や、貸し手側との交渉をスムーズに進めるポイントなどを解説します。
これには厳密な定義があるわけではなく、フレンチや和食、カフェなども、調理の度合いが高いと、重飲食として扱われます。
重飲食は物件探しに苦労することも多いといわれます。
今回は、重飲食向け物件を探す際の注意点や、貸し手側との交渉をスムーズに進めるポイントなどを解説します。
重飲食と軽飲食、それぞれの違いと特徴
重飲食とは、調理の際に比較的多くの煙や匂いが出る飲食業を指す言葉です。
代表的なものに、焼肉やラーメン、中華料理、鉄板料理などがあります。
一方、『軽飲食』は調理の度合いが小さな飲食業で、主にドリンク類を提供するカフェ、手軽なおつまみやサンドウィッチ等、軽食を提供するバー、スナックなどが該当します。
重飲食・軽飲食という用語は、主に不動産業者が賃貸物件の広告を出す際、その物件に入居できる業種かどうかを区分するために使います。
重飲食、軽飲食、それぞれの具体的な条件と代表的業種は以下のとおりです。
●重飲食(焼肉やラーメン、一般的な飲食店、弁当店など)
・本格的な調理が必要な料理を提供する
・火や油を大量に使い、匂いや煙が大量に出る
・ガスや給排気、給排水などに大規模な設備を要する
●軽飲食(調理の度合いが少ない喫茶店やバーなど)
・飲み物や乾き物、温めるだけの料理の提供にとどまる
・大規模な設備がなくても運営できる
ここであげた業種は、あくまで代表例です。
たとえばカフェであっても大量のお湯を使ってパスタをゆでる、揚げ物をするといった場合は、湯気や油煙の換気、排水などを簡易設備で対応するのは困難であり、いくらカフェであったとしても、軽飲食とはいいがたいものがあります。
同様に、和洋食レストランや弁当店、居酒屋なども、大がかりな給排気や排水、電気設備を必要とする場合は、重飲食として扱われることが多いでしょう。
重飲食が家主に敬遠されがちな理由
重飲食の物件探しが難しいと言わていますが、家主から敬遠されるケースが多いためです。その主な理由は以下のとおりです。
(1)必要とする設備容量が大きいから
重飲食には大がかりな設備が必要です。
たとえば、使用する火力や保存機器が多くなるため、ガスや電気の使用容量を大きくしなければなりません。
換気や排水システムも、ほかの業種より高い性能が要求されます。
物件の設備容量が足りない場合には改修の必要性が生じるため、その費用を理由に、重飲食の入居を不可としているケースもあります。
(2)近隣トラブルを避けたいから
重飲食は、強い煙や匂いが発生しますが、これらは近隣住民のクレームの原因になることもあります。
そのため、できればオフィスや小売店に限定して貸したいという不動産仲介業者や家主が多いようです。
(3)物件の価値を下げるケースがある
重飲食のサービスを提供するには、設備の増設が必要な場合もあります。
壁や天井に穴を開けたり、外観的に目立つ設備が取り付けられたりと、建物自体に悪影響を与える場合や、営業開始後に建物に匂いや汚れがついてしまい、物件の価値が下がってしまう懸念もあります。
そのため、入居を断られることが多くあるのです。
重飲食の物件探し! ポイントと交渉術
以上のような制約があるため、重飲食の店を出したくても、望むような条件でなかなか店舗が見つからないオーナーもいます。
しかし、物件探しをあきらめてしまう前に、念のため交渉の余地があるかどうか確認してみてもよいでしょう。
以下のようなケースでは、交渉次第で入居が可能になることもあります。
(1)設備工事の費用を負担する
排気、廃油、排水に関連する設備のほか、燃えにくい内装にするといった設備工事は、借り手側が費用の負担を申し出ることで、交渉の余地が生まれることがあります。
設備工事にはさまざまな選択肢があり、機能や費用も異なります。
売上予測と比較して、許容できる範囲の費用であれば、自己負担も視野に入れてみましょう。
ただし、インフラの新設や容量アップとなると相当な費用がかかります。
必要な設備の種類や工法をしっかり調べておくことが大切です。
(2)調理の実態を説明し、説得する
不動産仲介業者や家主のなかには、飲食業の実態を詳しく知らないまま『重飲食不可』にしているケースも多くあります。
たとえば、ラーメン店は匂いが強いため断られるケースの多い業種です。
しかし、店舗とは別の離れた場所にセントラルキッチンを設置しているタイプの物件であれば、店舗内での調理工程が少なく、匂いも少ないことを説明することで、家主の許可が出る可能性があります。
(3)事業計画を見せてを説得する
重飲食に難色を示していても、信頼できる人であれば物件を託したいと考える家主もなかには存在します。
事業計画を見せるなどして「長期的に安定してやっていける」という点で家主を説得できれば、物件を貸してもらえたり、設備工事の費用や周辺住民・テナントへの対応にも、協力してもらえたりする可能性が生まれるでしょう。
たとえ、「重飲食は不可」という条件であっても、不動産仲介業者や家主に事情を詳しく聞いてみれば、意外と許可が出るかもしれません。
まずは交渉の余地がありそうか調べてみるとよいでしょう。
※本記事の記載内容は、2022年9月現在の法令・情報等に基づいています。
重飲食とは、調理の際に比較的多くの煙や匂いが出る飲食業を指す言葉です。
代表的なものに、焼肉やラーメン、中華料理、鉄板料理などがあります。
一方、『軽飲食』は調理の度合いが小さな飲食業で、主にドリンク類を提供するカフェ、手軽なおつまみやサンドウィッチ等、軽食を提供するバー、スナックなどが該当します。
重飲食・軽飲食という用語は、主に不動産業者が賃貸物件の広告を出す際、その物件に入居できる業種かどうかを区分するために使います。
重飲食、軽飲食、それぞれの具体的な条件と代表的業種は以下のとおりです。
●重飲食(焼肉やラーメン、一般的な飲食店、弁当店など)
・本格的な調理が必要な料理を提供する
・火や油を大量に使い、匂いや煙が大量に出る
・ガスや給排気、給排水などに大規模な設備を要する
●軽飲食(調理の度合いが少ない喫茶店やバーなど)
・飲み物や乾き物、温めるだけの料理の提供にとどまる
・大規模な設備がなくても運営できる
ここであげた業種は、あくまで代表例です。
たとえばカフェであっても大量のお湯を使ってパスタをゆでる、揚げ物をするといった場合は、湯気や油煙の換気、排水などを簡易設備で対応するのは困難であり、いくらカフェであったとしても、軽飲食とはいいがたいものがあります。
同様に、和洋食レストランや弁当店、居酒屋なども、大がかりな給排気や排水、電気設備を必要とする場合は、重飲食として扱われることが多いでしょう。
重飲食が家主に敬遠されがちな理由
重飲食の物件探しが難しいと言わていますが、家主から敬遠されるケースが多いためです。その主な理由は以下のとおりです。
(1)必要とする設備容量が大きいから
重飲食には大がかりな設備が必要です。
たとえば、使用する火力や保存機器が多くなるため、ガスや電気の使用容量を大きくしなければなりません。
換気や排水システムも、ほかの業種より高い性能が要求されます。
物件の設備容量が足りない場合には改修の必要性が生じるため、その費用を理由に、重飲食の入居を不可としているケースもあります。
(2)近隣トラブルを避けたいから
重飲食は、強い煙や匂いが発生しますが、これらは近隣住民のクレームの原因になることもあります。
そのため、できればオフィスや小売店に限定して貸したいという不動産仲介業者や家主が多いようです。
(3)物件の価値を下げるケースがある
重飲食のサービスを提供するには、設備の増設が必要な場合もあります。
壁や天井に穴を開けたり、外観的に目立つ設備が取り付けられたりと、建物自体に悪影響を与える場合や、営業開始後に建物に匂いや汚れがついてしまい、物件の価値が下がってしまう懸念もあります。
そのため、入居を断られることが多くあるのです。
重飲食の物件探し! ポイントと交渉術
以上のような制約があるため、重飲食の店を出したくても、望むような条件でなかなか店舗が見つからないオーナーもいます。
しかし、物件探しをあきらめてしまう前に、念のため交渉の余地があるかどうか確認してみてもよいでしょう。
以下のようなケースでは、交渉次第で入居が可能になることもあります。
(1)設備工事の費用を負担する
排気、廃油、排水に関連する設備のほか、燃えにくい内装にするといった設備工事は、借り手側が費用の負担を申し出ることで、交渉の余地が生まれることがあります。
設備工事にはさまざまな選択肢があり、機能や費用も異なります。
売上予測と比較して、許容できる範囲の費用であれば、自己負担も視野に入れてみましょう。
ただし、インフラの新設や容量アップとなると相当な費用がかかります。
必要な設備の種類や工法をしっかり調べておくことが大切です。
(2)調理の実態を説明し、説得する
不動産仲介業者や家主のなかには、飲食業の実態を詳しく知らないまま『重飲食不可』にしているケースも多くあります。
たとえば、ラーメン店は匂いが強いため断られるケースの多い業種です。
しかし、店舗とは別の離れた場所にセントラルキッチンを設置しているタイプの物件であれば、店舗内での調理工程が少なく、匂いも少ないことを説明することで、家主の許可が出る可能性があります。
(3)事業計画を見せてを説得する
重飲食に難色を示していても、信頼できる人であれば物件を託したいと考える家主もなかには存在します。
事業計画を見せるなどして「長期的に安定してやっていける」という点で家主を説得できれば、物件を貸してもらえたり、設備工事の費用や周辺住民・テナントへの対応にも、協力してもらえたりする可能性が生まれるでしょう。
たとえ、「重飲食は不可」という条件であっても、不動産仲介業者や家主に事情を詳しく聞いてみれば、意外と許可が出るかもしれません。
まずは交渉の余地がありそうか調べてみるとよいでしょう。
※本記事の記載内容は、2022年9月現在の法令・情報等に基づいています。