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人材確保に!『子連れ出勤制度』導入のメリットとポイント

22.09.06
業種別【介護業】
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介護業界では多くの女性が働いています。
しかし結婚や出産などのライフイベントを迎えても、女性が働き続けやすい環境が整っているとはいいづらい状況にあります。
そこで政府は、『子連れ出勤制度』を推奨する方針を打ち出しました。
今回は、そのメリットや導入のポイントなどを、介護業界の現状と併せて解説します。
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『子連れ出勤制度』で子育てと仕事を両立

医療・福祉業界で働く女性の比率は70%を超えており、全産業のなかで最も高くなっています。
特に、厚生労働省による『介護労働実態調査』によると、2020年における介護労働者の性別は「男性」が20.9%、「女性」が72.3%となっており、圧倒的に女性の比率が高いことがわかります。

次に、『訪問介護員』『サ-ビス提供責任者』『介護職員』『看護職員』『生活相談員』『PT・OT・ST等』および『介護支援専門員』の7職種について性別、就業形態別従業員数をたずねたところ、20~30代の若い介護労働者では、男性の比率が高くなります。
介護業界における管理者属性等別の集計結果によると、25歳以上30歳未満の管理者は男性が80.8%を占め、他の年齢階級に比べて高い傾向があります。
これが55歳以上60歳未満になると女性が64.1%を占め、再び女性の割合が高くなっています。

若年層女性の就業継続を阻む原因の一つとして考えられるのが『出産・育児』です。
内閣府が発表した「『第1子出産前後の女性の継続就業率』及び出産・育児と女性の就業率」(内閣府男女共同参画局)によると、第1子出産後に就業を継続する女性が53.1%である一方、離職する女性は46.9%いう結果が出ています。
つまり『出産・育児』により、ほぼ半数の女性が就業の継続を断念していることになります。

こうした子育てと仕事の両立が難しく、働きたくても働くことができない女性に対する支援を目的として、政府は2019年に『子連れ出勤』の推奨を表明して話題となりました。
しかし、あまり前例のない子連れ出勤制度は、労使双方から次のようなデメリットをあげた意見が多く、導入はなかなか進んでいないのが現状です。

<デメリットの例>
●子供の事が気になって仕事に集中できない。
●周囲の従業員に迷惑がかかる。
●連れてこられた子供にとっても、職場は環境がよくない。
●事業所内保育所の整備にコストがかかる。
 
それでも、実際に子連れ出勤制度を取り入れて成功している介護事業所もあり、少しずつ導入する企業も増えています。
子連れ出勤制度を導入する最大のメリットは、これまで、育児のために退職せざるを得なかった優秀な女性職員に、仕事を続けてもらえる点にあります。
さらに、産休・育休の後、すぐに復職することも可能となり、後任を採用するコストの削減も期待できます。

また、子供を保育園に入れることができず、仕事を続けられない女性も多くいます。
企業内保育所や授乳施設などの設置は、これらの女性に対して福利厚生の充実した企業であるとアピールすることにもつながります。
在職中の従業員の離職防止と同時に、今後の採用力の強化にも役立つでしょう。

<メリットの例>
●産休・育休による離職率を下げ、採用・研修コストを削減できる。
●働きやすい環境の選択肢が増え、人材確保につながる。
●育休からの復帰が早くなり、ほかの従業員の負担が減る。
●会社のイメージアップにつながる。
●子供が職場にいることで、雰囲気が和やかになり、従業員同士助け合う風土が生まれる。
 
女性職員が働き続けやすい環境を整えることの重要性は、誰もが認めるところでしょう。
しかし実際は、導入したくてもコスト面・安全面・職場環境面など、さまざまな理由から断念せざるを得ない介護事業所も多いといえます。

子連れ出勤制度は受け入れ側のサポート体制が必要不可欠です。
制度導入にあたって検討すべき主なポイントは以下のとおりです。

<子連れ出勤導入のポイント>
●事業所内保育所整備やベビーシッターの雇用ができるか検討する。
●子連れでの出勤が可能となる就業時間上の配慮(時差出勤など)を検討する。
●事前に周囲の従業員の理解を得る。
●男女平等な制度として導入が必要であるため、男性も利用できるようにする。

すでに事業所内保育所を設けている事業所は、導入しやすい環境があるといえますが、そのようなサポート体制をつくれるケースは限られています。
実現するには安全面などさまざまな配慮が必要ですが、有能な人材の離職防止や人材確保の対策の一つとして検討されてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2022年9月現在の法令・情報等に基づいています。