じつは『保証人』より責任重大!? 『連帯保証人』
“連帯保証人”という言葉は誰もが耳にしたことがあるでしょう。
そして、連帯保証人になるのは危険だという認識を持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に連帯保証人がどのような役割なのか、きちんと理解している人は少ないかもしれません。
そこで今回は、連帯保証人の基本的な知識について紹介していきます。
そして、連帯保証人になるのは危険だという認識を持っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に連帯保証人がどのような役割なのか、きちんと理解している人は少ないかもしれません。
そこで今回は、連帯保証人の基本的な知識について紹介していきます。
『連帯保証』と『保証』の違い
保証には、単なる保証と連帯保証がありますが、保証と連帯保証、どちらの責任がより大きいか正確に理解している方は少ないかもしれません。
一般的なイメージとしては『連帯責任』という言葉があるように、連帯保証の方が主債務者の付従的な立場だと捉えている方も多いでしょう。
ところが、これは勘違いで、連帯保証人のほうが保証人よりも責任が大きいのです。
(1)催告の抗弁
債権者が主債務者に請求をすることなく、いきなり保証人に支払いを求めてきた場合、保証人であれば、まずは主債務者に請求するよう主張でき、これを催告の抗弁といいます。
一方、連帯保証人には催告の抗弁が認められていませんので、主債務者に請求しないうちに、債権者から支払いを求められたらこれに応じなければいけません。
(2)検索の抗弁
主債務者に支払い能力があるのに支払いを拒否した結果、債権者が保証人に請求をしてきた場合、保証人であれば、主債務者の財産を差し押さえるよう主張することができます。
これを検索の抗弁といいます。
一方、連帯保証人には、検索の抗弁が認められていません。
主債務者に支払い能力があっても、債権者から支払いを求められればこれに応じなければなりません。
(3)分別の利益
保証人が複数いる場合、債権者から支払いを求められた場合に支払わなければいけない額は、保証額を保証人の数で割った額となります。
100万円を2人で保証していたのであれば、50万円を支払えばよいことになります。
一方、連帯保証人は複数いたとしても、分別の利益がないため、それぞれが全額を保証することになります。
したがって、100万円を2人で保証していても、債権者から100万円請求されれば100万円を1人で払わなければなりません。
このように、連帯保証人の責任は、保証人と比べて非常に大きいものであり、主債務者とほぼ同じ立場に立たされることになります。
ですから、「安易に連帯保証人になってはいけない」といわれているのです。
もちろん、保証人であってもその責任は重大ですから、やはり安易に引き受けるものではありません。
主債務者の破産と保証人
保証人ないし連帯保証人が負う保証債務には付従性があるとされており、主債務が弁済や、債権者による免除、消滅時効の援用等により消滅した場合には、保証債務も消滅するものとされています。
そのような場合、主債務者が破産して免責許可を受ければ、主債務者は債務の弁済を免れるわけですから、その付従性により、保証人も保証債務の支払いを免れるようにも思われます。
しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。
実は、破産法には、『免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない』とする規定があり(破産法第253条2項)、主債務者が破産をしても保証債務には影響がないとされ、保証債務の付従性の例外とされています。
したがって、主債務者が破産をして支払いを免れても、保証人ないし連帯保証人が負った保証債務は消えることがなく、全額支払うか、それができなければ自身も破産するしかなくなるのです。
このような事態に陥らないためにも、連帯保証が必要になったり、連帯保証人になるように求められたときには、主債務者の支払い能力の有無を確認するなど、よく検討してから判断しましょう。
※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。
保証には、単なる保証と連帯保証がありますが、保証と連帯保証、どちらの責任がより大きいか正確に理解している方は少ないかもしれません。
一般的なイメージとしては『連帯責任』という言葉があるように、連帯保証の方が主債務者の付従的な立場だと捉えている方も多いでしょう。
ところが、これは勘違いで、連帯保証人のほうが保証人よりも責任が大きいのです。
(1)催告の抗弁
債権者が主債務者に請求をすることなく、いきなり保証人に支払いを求めてきた場合、保証人であれば、まずは主債務者に請求するよう主張でき、これを催告の抗弁といいます。
一方、連帯保証人には催告の抗弁が認められていませんので、主債務者に請求しないうちに、債権者から支払いを求められたらこれに応じなければいけません。
(2)検索の抗弁
主債務者に支払い能力があるのに支払いを拒否した結果、債権者が保証人に請求をしてきた場合、保証人であれば、主債務者の財産を差し押さえるよう主張することができます。
これを検索の抗弁といいます。
一方、連帯保証人には、検索の抗弁が認められていません。
主債務者に支払い能力があっても、債権者から支払いを求められればこれに応じなければなりません。
(3)分別の利益
保証人が複数いる場合、債権者から支払いを求められた場合に支払わなければいけない額は、保証額を保証人の数で割った額となります。
100万円を2人で保証していたのであれば、50万円を支払えばよいことになります。
一方、連帯保証人は複数いたとしても、分別の利益がないため、それぞれが全額を保証することになります。
したがって、100万円を2人で保証していても、債権者から100万円請求されれば100万円を1人で払わなければなりません。
このように、連帯保証人の責任は、保証人と比べて非常に大きいものであり、主債務者とほぼ同じ立場に立たされることになります。
ですから、「安易に連帯保証人になってはいけない」といわれているのです。
もちろん、保証人であってもその責任は重大ですから、やはり安易に引き受けるものではありません。
主債務者の破産と保証人
保証人ないし連帯保証人が負う保証債務には付従性があるとされており、主債務が弁済や、債権者による免除、消滅時効の援用等により消滅した場合には、保証債務も消滅するものとされています。
そのような場合、主債務者が破産して免責許可を受ければ、主債務者は債務の弁済を免れるわけですから、その付従性により、保証人も保証債務の支払いを免れるようにも思われます。
しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。
実は、破産法には、『免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない』とする規定があり(破産法第253条2項)、主債務者が破産をしても保証債務には影響がないとされ、保証債務の付従性の例外とされています。
したがって、主債務者が破産をして支払いを免れても、保証人ないし連帯保証人が負った保証債務は消えることがなく、全額支払うか、それができなければ自身も破産するしかなくなるのです。
このような事態に陥らないためにも、連帯保証が必要になったり、連帯保証人になるように求められたときには、主債務者の支払い能力の有無を確認するなど、よく検討してから判断しましょう。
※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。