休職者の復帰をスムーズに行なう『試し出勤制度』とは
2000年以降、日本の企業ではメンタルヘルスの不調を理由とした休職が増加傾向にあります。
休職者が心の健康を取り戻し、職場復帰を果たすためには、企業側のサポートが欠かせません。
メンタルの不調を抱える従業員の職場復帰はなかなか難しいものですが、最近では、リハビリのように段階的に復職してもらう制度、『試し出勤制度』を導入する企業も増えています。
今回は、厚生労働省も推奨している、試し出勤制度について説明します。
休職者が心の健康を取り戻し、職場復帰を果たすためには、企業側のサポートが欠かせません。
メンタルの不調を抱える従業員の職場復帰はなかなか難しいものですが、最近では、リハビリのように段階的に復職してもらう制度、『試し出勤制度』を導入する企業も増えています。
今回は、厚生労働省も推奨している、試し出勤制度について説明します。
試し出勤制度を導入することの利点
厚生労働省の『労働安全衛生調査』によると、2019年11月から翌年 10月末までにメンタルヘルスの不調によって1カ月以上休職した労働者の割合は常用労働者全体の0.4%でした。
メンタルヘルスの不調を訴えた労働者は、一定期間の休業をすることができます。
また、職場復帰については、休職者から復帰の意志が主治医に伝えられ、診断を経て問題がなければ、復帰を認められることになります。
しかし、主治医に判断できるのは、あくまで一般的な病状の回復程度です。
したがって、患者が休職前と同じ業務を遂行できるかどうかまでは図れません。
復帰するかどうかを決める際には、社内の状況や業務内容を把握している産業医の診断を受けることが望ましいとされています。
そして、休職者の完全な職場復帰の前に実施しておきたいのが、試し出勤制度です。
試し出勤制度は、休職者の職場復帰に対する不安を和らげ、休職者本人が自分の状態を確認しながら、段階を踏んだ職場復帰の準備を行えるようにする制度です。
会社側としても、試し出勤制度によって、休職者が以前と同じように職務に従事できるのかを確認することができます。
この制度には、職場に試験的に出勤する『試し出勤』のほかにも、勤務時間と同じ時間帯に自宅以外の場所で過ごす『模擬出勤』や、自宅から職場近くまで通勤し、一定時間を過ごす『通勤訓練』などもあります。
全てを導入する必要はなく、自社に適した制度を選んで、取り入れていくとよいでしょう。
休職期間中と復職後に行う試し出勤の違い
職場に試験的に出勤する試し出勤については、『休職期間中』と『復職後』のどちらで実施するのかによって、職場における対応も異なります。
休職期間中に行う試し出勤は、休職者の病状が回復傾向にあり、そろそろ復職が見えてきた頃に行うリハビリのようなものです。
休職期間中なので、休職者は使用者の指揮命令下にはなく、賃金も発生しません。
もし、会社側が試し出勤中の従業員に仕事をさせてしまった場合は、使用者の指揮命令下にあるとされ、賃金の支払い義務が発生します。
一方で、復職後の試し出勤は、使用者の指揮命令下で実施されます。
ただし、主治医と産業医の診断で復職が認められたとしても、すぐには通常の業務を任せることはせず、だいたい1カ月ほどを目処に、簡単な軽作業などを中心に任せるようにします。
精神・肉体的に負荷の高い業務や複雑な仕事、多量な作業などは避け、無理のない範囲でできる業務を任せていきましょう。
労働時間に関しても、最初からフルタイムで勤務させず、時短勤務などの柔軟な対応を行っていく必要があります。
復職後の試し出勤は、休職期間中ではないため、賃金の支払い義務も発生します。
しかし、業務の量や質が軽微であったり、勤務時間が短かったりする場合は、労使間の合意を得たうえで、賃金を減額することも可能です。
試し出勤制度は、あくまで会社が自主的に設定するものであり、法律で定められているわけではありません。
どのような内容にするのかは、会社の裁量に任せられているため、自社に合わせた制度を構築していく必要があります。
また、制度導入の際は、休職者の希望を受けて行うようにし、会社側の強制で行うことがないようにしましょう。
※本記事の記載内容は、2022年4月現在の法令・情報等に基づいています。
厚生労働省の『労働安全衛生調査』によると、2019年11月から翌年 10月末までにメンタルヘルスの不調によって1カ月以上休職した労働者の割合は常用労働者全体の0.4%でした。
メンタルヘルスの不調を訴えた労働者は、一定期間の休業をすることができます。
また、職場復帰については、休職者から復帰の意志が主治医に伝えられ、診断を経て問題がなければ、復帰を認められることになります。
しかし、主治医に判断できるのは、あくまで一般的な病状の回復程度です。
したがって、患者が休職前と同じ業務を遂行できるかどうかまでは図れません。
復帰するかどうかを決める際には、社内の状況や業務内容を把握している産業医の診断を受けることが望ましいとされています。
そして、休職者の完全な職場復帰の前に実施しておきたいのが、試し出勤制度です。
試し出勤制度は、休職者の職場復帰に対する不安を和らげ、休職者本人が自分の状態を確認しながら、段階を踏んだ職場復帰の準備を行えるようにする制度です。
会社側としても、試し出勤制度によって、休職者が以前と同じように職務に従事できるのかを確認することができます。
この制度には、職場に試験的に出勤する『試し出勤』のほかにも、勤務時間と同じ時間帯に自宅以外の場所で過ごす『模擬出勤』や、自宅から職場近くまで通勤し、一定時間を過ごす『通勤訓練』などもあります。
全てを導入する必要はなく、自社に適した制度を選んで、取り入れていくとよいでしょう。
休職期間中と復職後に行う試し出勤の違い
職場に試験的に出勤する試し出勤については、『休職期間中』と『復職後』のどちらで実施するのかによって、職場における対応も異なります。
休職期間中に行う試し出勤は、休職者の病状が回復傾向にあり、そろそろ復職が見えてきた頃に行うリハビリのようなものです。
休職期間中なので、休職者は使用者の指揮命令下にはなく、賃金も発生しません。
もし、会社側が試し出勤中の従業員に仕事をさせてしまった場合は、使用者の指揮命令下にあるとされ、賃金の支払い義務が発生します。
一方で、復職後の試し出勤は、使用者の指揮命令下で実施されます。
ただし、主治医と産業医の診断で復職が認められたとしても、すぐには通常の業務を任せることはせず、だいたい1カ月ほどを目処に、簡単な軽作業などを中心に任せるようにします。
精神・肉体的に負荷の高い業務や複雑な仕事、多量な作業などは避け、無理のない範囲でできる業務を任せていきましょう。
労働時間に関しても、最初からフルタイムで勤務させず、時短勤務などの柔軟な対応を行っていく必要があります。
復職後の試し出勤は、休職期間中ではないため、賃金の支払い義務も発生します。
しかし、業務の量や質が軽微であったり、勤務時間が短かったりする場合は、労使間の合意を得たうえで、賃金を減額することも可能です。
試し出勤制度は、あくまで会社が自主的に設定するものであり、法律で定められているわけではありません。
どのような内容にするのかは、会社の裁量に任せられているため、自社に合わせた制度を構築していく必要があります。
また、制度導入の際は、休職者の希望を受けて行うようにし、会社側の強制で行うことがないようにしましょう。
※本記事の記載内容は、2022年4月現在の法令・情報等に基づいています。