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『労災』に認定されるのはどんな時? 介護従事者の労災認定基準とは

22.04.07
業種別【介護業】
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介護職は、身体的・精神的に大きな負担がかかる作業が多く、時にはケガをする可能性もあります。
業務中に起きた事故などによるケガは、労災に認定されると、治療費などが保険給付の対象となります。
しかし、似たようなケースであっても労災認定されないこともあります。
そこで今回は、労災に認定されるのはどのようなケースなのか、事例をあげて紹介します。
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労災に認定されるのは業務に起因するケガ

介護業界は、身体的・精神的に負担のともなう作業があったり、労働者の高齢化も進んでいるため、ほかの業界よりも労働災害が発生しやすい職種であるといえます。
この労働災害に対して労働者に補償を行う制度が『労災保険(労働者災害補償保険)』です。
業務上の事由や、通勤による労働者の負傷・疾病・障害または死亡に対し、労働者やその遺族に保険給付を行います。
会社や施設に雇われて働く介護労働者は全て労災保険の対象となり、パートタイマーや短期間のアルバイトであっても労災が発生した場合は、労働基準監督署長に対し、会社を通じて労災保険の申請をしてもらうことになります。

ただし、業務中や通勤中の病気やケガであれば、どのような場合であっても補償が出るわけではありません。
その病気やケガが労災であることの認定を受ける必要があり、労災認定は、労働者からの申請によって労働基準監督署長が判断することになります。

業務上の労災として認定されるためには、次の2つの要件を満たしている必要があります。

●業務が原因で発生していること(業務起因性)
●業務を行っているときに発生したこと(業務遂行性)


事例から見る2つのケースの労災対象

では、労災保険の対象になるか、ならないかについて具体的な事例をみていきましょう。

(1)業務中の災害
<労災の対象となる事例>
●施設内や訪問先で転倒したり、階段を踏み外してケガをした。
●入浴介助中に無理な体勢をとる形となり、腰などを痛めてしまった。
※持病が原因でないかどうかを確認し、原因が持病であった場合は労災とは認定されません。

<労災の対象とならない事例>
●業務の休憩時間中にサッカーやキャッチボールをしていてケガをした。
●業務中に、脳梗塞など脳の病気で倒れた。
※ただし、脳梗塞の原因が過重労働などによると認められた場合は労災となります。

(2)通勤中の災害
<労災の対象となる事例>
●自転車で通勤中、通行人をよけようとして転倒し、ケガをした。
●自宅マンションの共有階段を降りる際に、階段を踏み外してケガをした。
●帰宅途中にコンビニエンスストアで買い物をした後に、通勤経路でケガをした。

<労災の対象とならない事例>
●通勤前に自宅内の階段を踏み外してケガをした。
●帰宅中に友人と待ち合わせて居酒屋で食事した後に、通勤経路でケガをした。

以上のことからわかるように、似たような事例でも、労災に認定されるケースとそうではないケースがあります。
事業主の管理下で通常の業務を行っていれば起きなかったような事故は、業務起因性がないため労災には認定されません。
また、通勤の途中で起きた事故などは労災に認定されることが多いですが、通勤途中であっても私的な行為の最中に起きた出来事は認定されません。

ケガが労災認定された場合は、治療費だけではなく休業補償や障害年金などの補償を受けることができます。
ただし、これらはあくまでひとつの事例であり、個々の状況によって認定の結果は異なることを覚えておきましょう。
もし、事業所において労働者にケガが発生した場合は、それが労働災害に当たるのかどうか労働基準監督署に相談し、判断を仰ぐとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2022年4月現在の法令・情報等に基づいています。