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介護事業所の『後継者問題』と『M&A』

22.03.01
業種別【介護業】
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他業種と同じく、介護業界においても後継者育成には時間がかかります。
介護施設利用者へのサービスの継続、介護スタッフの雇用の継続や新規の採用などを考えると、介護事業所における事業承継は簡単ではありません。
そこで今回は、介護事業所における後継者問題の現状と、事業承継の選択肢のひとつであるM&Aについて説明します。
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親族や社内での事業承継が難しい介護事業

少子高齢化に伴い、日本では経営者の高齢化による後継者問題が年々深刻なものになっています。

中小企業庁の『2020年版中小企業白書』によると、40代以下の経営者の構成比が減少しているのに対して70代以上の経営者が年々増加し、2018年には全国の社長の年齢分布全体の28.1%を占めています。
そして、後継者の決定状況に関する統計では、60歳代で約49.5%、70代で39.9%の企業が後継者未決定となっており、深刻な後継者不足の問題に直面していることがわかりました。

この後継者問題は、介護事業所についても同様であり、すべての事業所において、将来的な事業承継をどのように進めるかを早い段階から検討しておく必要があります。

企業の事業承継には、大きく分けて以下の3つの選択肢があります。

(1)親族への承継:経営者家族のなかから後継者を選ぶ方法
(2)親族以外への承継:役員や従業員など親族以外のなかから後継者を選ぶ方法
(3)第三者への承継:M&A等により、ほかの会社や経営者に事業譲渡等を行う方法

事業を続行しない場合には、廃業、倒産等により会社を閉めて、整理・精算する方法をとることになります。
しかし、介護サービスの利用者や働いているスタッフの生活を考えれば、できるだけ続けていきたいというのが経営者の本心ではないでしょうか。

これまで中小企業の事業承継は、親族への承継が一般的でした。
一方、介護業界はほかの業種と比較して、経営者の責任と負担が大きく、資金繰りの難しさ等の側面から親族内での後継者を選定するのが難しい傾向にあるといえます。

また、親族以外への承継についても、『管理者が育たない』『有能なスタッフの退職』などの理由から、事業承継をする人材が見つからない事業所は多いのが現状です。


M&Aを選ぶ事業所も増加している

そのような状況下で、事業承継の選択肢として注目されているのがM&Aです。
M&Aの仲介業者、株式会社レコフのデータによると、2021年の国内におけるM&A件数は4,200件を超え、過去最多を更新しました。
その動きは介護業界にもおよんでおり、多くの会社が後継者不在による廃業や倒産を回避するための手段として活用しています。

介護事業にける事業譲渡においては、既存のスタッフの雇用を維持することで介護サービスの内容や質を維持できるため、サービスを中断したりスタッフを変更したりすることなく、事業承継するのが一般的です。

経営者にしてみれば、事業承継の時期までに、親族や従業員などに後継者となる人材が育っているケースが最も理想的な事業承継であるといえます。
しかし、後継者を育成するには時間と労力を要するため、後継者問題が発生してしまっている時点から、後継者問題を解決しようとすることは、容易ではありません。

スムーズな事業承継を行うためにも、なるべく早い段階で事業承継計画を立てていくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2022年3月現在の法令・情報等に基づいています。