新たに課徴金制度が導入された『改正薬機法』の基本
2021年8月1日から『改正薬機法』が施行されました。
改正のポイントになるのは、課徴金制度の新設です。
これまでも、薬機法に違反すると罰則が科されていましたが、改正薬機法では違反していた商品の売上額の一部が徴収されることになります。
薬機法の対象となる医薬品や医薬部外品、化粧品などを扱う企業だけでなく、広告代理店や広告を掲載するメディアにも影響を与える改正薬機法について解説します。
改正のポイントになるのは、課徴金制度の新設です。
これまでも、薬機法に違反すると罰則が科されていましたが、改正薬機法では違反していた商品の売上額の一部が徴収されることになります。
薬機法の対象となる医薬品や医薬部外品、化粧品などを扱う企業だけでなく、広告代理店や広告を掲載するメディアにも影響を与える改正薬機法について解説します。
『薬機法』の目的と主な対象品目
薬機法は、正式名称を『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』といい、2019年11月に成立した法律です。
薬機法の対象になるのは、医薬品や医療機器のほか、医薬部外品や化粧品、再生医療製品などです。
医薬品とは、医療用医薬品や、薬局・ドラッグストアなどに置かれている市販薬のことで、医薬部外品は、うがい薬や殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンクなどが含まれます。
薬機法は、これらの品質や有効性、安全性を確保することにより、保健衛生の向上を図ることを目的としています。
対象品目による健康被害の発生や拡大を防止し、研究開発を促進するための法律が『薬機法』というわけです。
薬機法では、対象品目について、以下の各段階で必要な規制を行っているほか、広告についてもさまざまな制限や規制を定めています。
●開発・治療
●承認審査
●製造
●販売規制
●市販後安全対策
●監視指導
●副作用被害の救済
なかでも医薬品などの広告については、薬機法の第66条で、製造方法や効能、効果や性能に関しての虚偽・誇大広告を禁止しており、医師がこれらの効能や効果を保証したかのように誤解される広告も禁じています。
また、第67条では、特定疾病用の医薬品および再生医療等製品について、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を禁止、第68条では、承認されていない医薬品等の広告を禁止しています。
これらの禁止事項に違反した場合、厚生労働大臣および都道府県知事は、広告の禁止命令や再発防止命令などの措置を取ることができます。
違反者や違反企業には2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が科されるので注意が必要です。
『課徴金制度』新設による注意点
薬機法の改正によって罰則以外にもペナルティーが科されることになりました。
それが課徴金制度です。
薬機法第66条の『虚偽・誇大広告の禁止』に抵触した場合は、違反していた期間において、対象品目の売上額×4.5%の課徴金が徴収されることになります。
ただし、徴収される課徴金額が225万円(対象品目の売上5,000万円)に満たない場合は、徴収が免除されます。
また、同じ品目について景品表示法違反で売上額の3%の課徴金納付命令を受けている場合は、その分は課徴金額が控除されます。
さらに、違反が明らかになる前に厚生労働省などに報告していれば、課徴金が50%に減免されます。
ただし、当該課徴金対象行為について調査があったことにより課徴金納付命令を受けることを予知して報告した場合には、無効になるため注意が必要です。
ちなみに、健康食品は、医薬品ではないため、医薬品的な効果効能を標ぼうすることができず、仮に標ぼうすれば無承認の医薬品の販売にあたり、薬機法違反となる場合があります。
表示方法や広告についても、食品表示法や景品表示法などの規制があるので留意しましょう。
コロナ禍の現在では、感染予防・対策を掲げる商品が多く販売されており、そのなかには、薬機法に抵触する広告も多数存在しています。
一部では、禁止事項に抵触するかしないかギリギリの表現を使う“薬機法チャレンジ”という言葉も生まれているようです。
しかし、薬機法に抵触する広告は、企業にとってリスクでしかありません。
薬機法違反を防ぐためにも、専門家などを交えた勉強会や研修を行い、その内容を周知することが大切です。
また、社内でガイドラインなどを作成し、どこまで広告で訴求できるのか、法に触れない範囲を共有しておきましょう。
薬機法違反は、その後の事業展開にも大きな影響を与えます。
企業法務の観点からも、自社の商品や広告・宣伝活動が改正薬機法に抵触していないかどうか、あらためて確認することが大切です。
※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。
薬機法は、正式名称を『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』といい、2019年11月に成立した法律です。
薬機法の対象になるのは、医薬品や医療機器のほか、医薬部外品や化粧品、再生医療製品などです。
医薬品とは、医療用医薬品や、薬局・ドラッグストアなどに置かれている市販薬のことで、医薬部外品は、うがい薬や殺虫剤、染毛剤、栄養ドリンクなどが含まれます。
薬機法は、これらの品質や有効性、安全性を確保することにより、保健衛生の向上を図ることを目的としています。
対象品目による健康被害の発生や拡大を防止し、研究開発を促進するための法律が『薬機法』というわけです。
薬機法では、対象品目について、以下の各段階で必要な規制を行っているほか、広告についてもさまざまな制限や規制を定めています。
●開発・治療
●承認審査
●製造
●販売規制
●市販後安全対策
●監視指導
●副作用被害の救済
なかでも医薬品などの広告については、薬機法の第66条で、製造方法や効能、効果や性能に関しての虚偽・誇大広告を禁止しており、医師がこれらの効能や効果を保証したかのように誤解される広告も禁じています。
また、第67条では、特定疾病用の医薬品および再生医療等製品について、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を禁止、第68条では、承認されていない医薬品等の広告を禁止しています。
これらの禁止事項に違反した場合、厚生労働大臣および都道府県知事は、広告の禁止命令や再発防止命令などの措置を取ることができます。
違反者や違反企業には2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が科されるので注意が必要です。
『課徴金制度』新設による注意点
薬機法の改正によって罰則以外にもペナルティーが科されることになりました。
それが課徴金制度です。
薬機法第66条の『虚偽・誇大広告の禁止』に抵触した場合は、違反していた期間において、対象品目の売上額×4.5%の課徴金が徴収されることになります。
ただし、徴収される課徴金額が225万円(対象品目の売上5,000万円)に満たない場合は、徴収が免除されます。
また、同じ品目について景品表示法違反で売上額の3%の課徴金納付命令を受けている場合は、その分は課徴金額が控除されます。
さらに、違反が明らかになる前に厚生労働省などに報告していれば、課徴金が50%に減免されます。
ただし、当該課徴金対象行為について調査があったことにより課徴金納付命令を受けることを予知して報告した場合には、無効になるため注意が必要です。
ちなみに、健康食品は、医薬品ではないため、医薬品的な効果効能を標ぼうすることができず、仮に標ぼうすれば無承認の医薬品の販売にあたり、薬機法違反となる場合があります。
表示方法や広告についても、食品表示法や景品表示法などの規制があるので留意しましょう。
コロナ禍の現在では、感染予防・対策を掲げる商品が多く販売されており、そのなかには、薬機法に抵触する広告も多数存在しています。
一部では、禁止事項に抵触するかしないかギリギリの表現を使う“薬機法チャレンジ”という言葉も生まれているようです。
しかし、薬機法に抵触する広告は、企業にとってリスクでしかありません。
薬機法違反を防ぐためにも、専門家などを交えた勉強会や研修を行い、その内容を周知することが大切です。
また、社内でガイドラインなどを作成し、どこまで広告で訴求できるのか、法に触れない範囲を共有しておきましょう。
薬機法違反は、その後の事業展開にも大きな影響を与えます。
企業法務の観点からも、自社の商品や広告・宣伝活動が改正薬機法に抵触していないかどうか、あらためて確認することが大切です。
※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。