玉突き事故発生! 生じた損害は誰が責任をとるのか?
いくら注意して車を運転していても、自分にはまったく責任のない、いわゆる『もらい事故』はどうしても避けがたいものです。
玉突き事故はその代表例ともいえます。
こうした事故は、一見して事故の責任が誰にどこまであるのかがわかりにくいことが特徴です。
この記事では、玉突き事故の事例を解説しながら、事故の際に問われる『共同不法行為責任』について取り上げます。
玉突き事故はその代表例ともいえます。
こうした事故は、一見して事故の責任が誰にどこまであるのかがわかりにくいことが特徴です。
この記事では、玉突き事故の事例を解説しながら、事故の際に問われる『共同不法行為責任』について取り上げます。
連帯で責任を負う『共同不法行為責任』とは
たとえば、X車が高速道路を走行中に渋滞に遭い、停車したところ、後ろから来た車両(Y1車)に追突されてしまったとします。
X車の運転手が「ぶつけられた!」と思ったのも束の間、さらに後続のY2車がY1車に追突し、その衝撃で再度、Y1車がX車に追突しました。
こうして被害が拡大した場合、X車に生じた損害は誰がどれくらいの割合で責任を負うことになるでしょうか。
結論からいうと、上記のような事例においては、被害者(X車の運転手)の身体やX車に生じた損害は、Y1車とY2車の運転者が、『連帯して全額の損害賠償義務を負う』ことになります。
これを、民法上で共同不法行為責任といいます。
共同不法行為責任とは、1つの損害の発生について、その責任を負う者が複数いる場合、加害者が連帯で全額を賠償しなければならないというものです。
玉突き事故の事例であれば、最初の追突についてはY1車に責任があります。
しかし、その次の追突については、Y2車に責任があります。
ここでのポイントは、被害者は、Y1車の運転者にも、Y2車の運転者にも、それぞれ損害の全額を請求できるという点です。
したがって、被害者は、Y1車の運転者に全額被害弁償してもらっても構いませんし、Y2車の運転者に全額被害弁償してもらっても構わないということになります。
もちろん、Y1車の運転者から5割、Y2車の運転者から5割など、それぞれに請求して支払ってもらうことも可能です。
ただし、当然のことながら、どちらにも全額の賠償を請求する『二重取り』のようなことは認められません。
あくまで被害者が得られるのは、発生した損害の限度に応じた賠償のみです。
被害者にも過失がある場合は?
次に、別のパターンの玉突き事故についても考察してみましょう。
停車中のX車の前にはZ車が停車しており、Y1車に追突された衝撃でX車が押し出され、前のZ車に追突してしまったとします。
この時、X車の運転者はZ車の所有者に対して、何らかの責任を負うことになるのでしょうか?
このケースでは、X車の運転者は、責任を負わないということになります。
なぜなら、X車は単に停車していただけであり、Z車(ないしその運転者の身体)に発生した損害について、X車の運転者に何の過失もないからです。
この場合、Z車の所有者は、Y1車の運転者に対して、損害賠償を請求していくことになります。
では、玉突き事故の場合、追突された被害者は常に過失がないのでしょうか。
実は、そういう訳でもありません。
たとえば、急ブレーキをかけたせいで後ろから追突され、玉突き事故が発生したケースや、本来停車できない場所に停車していたために玉突き事故が発生したようなケースでは、追突された被害者にも過失が認められるため、損害賠償の金額が減額される可能性があります。
玉突き事故の場合であっても、通常の交通事故と同じように、被害者と加害者の過失割合を勘案して、交渉や請求に当たることが多いのです。
玉突き事故で被害者になってしまった場合、責任を問うべき加害者が複数というケースも多いので、それだけ交渉の相手が増えることになります。
特に、加害者同士の過失割合をどこまで考慮して請求するかなど、金銭にまつわる請求については複雑になりがちです。
ただ、最近では運転者の意識も高まっており、ドライブレコーダーに記録が残っていることもあります。
万一事故にかかわってしまった場合は、まず客観的な情報をもとに、事故の状況を整理することが大切です。
※本記事の記載内容は、2021年12月現在の法令・情報等に基づいています。
たとえば、X車が高速道路を走行中に渋滞に遭い、停車したところ、後ろから来た車両(Y1車)に追突されてしまったとします。
X車の運転手が「ぶつけられた!」と思ったのも束の間、さらに後続のY2車がY1車に追突し、その衝撃で再度、Y1車がX車に追突しました。
こうして被害が拡大した場合、X車に生じた損害は誰がどれくらいの割合で責任を負うことになるでしょうか。
結論からいうと、上記のような事例においては、被害者(X車の運転手)の身体やX車に生じた損害は、Y1車とY2車の運転者が、『連帯して全額の損害賠償義務を負う』ことになります。
これを、民法上で共同不法行為責任といいます。
共同不法行為責任とは、1つの損害の発生について、その責任を負う者が複数いる場合、加害者が連帯で全額を賠償しなければならないというものです。
玉突き事故の事例であれば、最初の追突についてはY1車に責任があります。
しかし、その次の追突については、Y2車に責任があります。
ここでのポイントは、被害者は、Y1車の運転者にも、Y2車の運転者にも、それぞれ損害の全額を請求できるという点です。
したがって、被害者は、Y1車の運転者に全額被害弁償してもらっても構いませんし、Y2車の運転者に全額被害弁償してもらっても構わないということになります。
もちろん、Y1車の運転者から5割、Y2車の運転者から5割など、それぞれに請求して支払ってもらうことも可能です。
ただし、当然のことながら、どちらにも全額の賠償を請求する『二重取り』のようなことは認められません。
あくまで被害者が得られるのは、発生した損害の限度に応じた賠償のみです。
被害者にも過失がある場合は?
次に、別のパターンの玉突き事故についても考察してみましょう。
停車中のX車の前にはZ車が停車しており、Y1車に追突された衝撃でX車が押し出され、前のZ車に追突してしまったとします。
この時、X車の運転者はZ車の所有者に対して、何らかの責任を負うことになるのでしょうか?
このケースでは、X車の運転者は、責任を負わないということになります。
なぜなら、X車は単に停車していただけであり、Z車(ないしその運転者の身体)に発生した損害について、X車の運転者に何の過失もないからです。
この場合、Z車の所有者は、Y1車の運転者に対して、損害賠償を請求していくことになります。
では、玉突き事故の場合、追突された被害者は常に過失がないのでしょうか。
実は、そういう訳でもありません。
たとえば、急ブレーキをかけたせいで後ろから追突され、玉突き事故が発生したケースや、本来停車できない場所に停車していたために玉突き事故が発生したようなケースでは、追突された被害者にも過失が認められるため、損害賠償の金額が減額される可能性があります。
玉突き事故の場合であっても、通常の交通事故と同じように、被害者と加害者の過失割合を勘案して、交渉や請求に当たることが多いのです。
玉突き事故で被害者になってしまった場合、責任を問うべき加害者が複数というケースも多いので、それだけ交渉の相手が増えることになります。
特に、加害者同士の過失割合をどこまで考慮して請求するかなど、金銭にまつわる請求については複雑になりがちです。
ただ、最近では運転者の意識も高まっており、ドライブレコーダーに記録が残っていることもあります。
万一事故にかかわってしまった場合は、まず客観的な情報をもとに、事故の状況を整理することが大切です。
※本記事の記載内容は、2021年12月現在の法令・情報等に基づいています。