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介護報酬改定により義務化した安全対策担当者の選任について

21.11.30
業種別【介護業】
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介護施設には、日々安全対策が求められています。
安全対策のさらなる強化のため、2021年には『安全対策担当者』の選任が義務化されました。
安全対策担当者を配置し、施設として安全対策の基準を満たすと、お年寄りが入所する際に、施設サービスとして介護報酬が加算できます(安全対策体制加算)。
今回は、安全対策担当者の役割や、配置した施設が受けられる加算について説明します。
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リスクマネジメントを強化する

高齢者が生活する高齢者施設では、転倒や誤飲などの事故のリスクが高く、常にリスクマネジメントをする必要があります。
これまでにもリスクマネジメント方針が設けられ、介護事故の予防や再発防止の対策はとられてきました。
しかし、施設によって対応方法に差が生じているといいます。

そこで厚生労働省は、2021年4月の介護報酬改定で、介護保険施設において『安全対策担当者』を選任することを義務化しました。
この改正により、施設内の安全に対する担当者を置くことが義務になりました。
そして担当者を置き、安全対策の体制が整備されていることが評価されれば、介護報酬が加算されます。
この施策により、介護保険施設のリスクマネジメントの意識をより一層強化することを目的としています。

安全対策担当者は、介護事故の発生予防や従業員への教育、周知など施設の安全対策など、以前から定められていた下記の運営基準を、中心になって実施していくことが求められています。

<安全対策担当者の役割>
以下の措置を適切に実施すること。
1.事故発生防止のための指針の整備
2.事故が発生した場合等における報告と、その分析を通じた改善策を従業者に周知徹底する体制の整備
3.事故発生防止のための委員会及び従業者に対する研修の定期的な実施

安全対策担当者になるための選定基準や必要な資格等は特にありませんが、就任の前提として、必ず外部のリスクマネジメント研修を受ける必要があります。


安全対策を整備した施設が受けられる加算

また、これまであった組織的に安全対策を実施する体制が整備されていることを評価する『安全対策体制加算』にあわせて、整備されていない施設に対する『安全管理体制未実施減算』も新設されました。

安全対策体制加算の対象となる施設は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養病床、介護医療院で、入所時において1回に限り20単位が加算可能となっています。

安全対策体制加算を受ける場合の算定要件は、以下の条件を満たしていることが必要です。

●外部の研修を受けた担当者(安全対策担当者)が配置されていること
●施設内に安全対策部門を設置していること
●組織的に安全対策を実施する体制が整備されていること

外部の研修がどのようなものかについては、厚生労働省『令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)』のなかで、『関係団体(老施協、全老健、日慢協)などが開催する研修を想定』としています。

今回の安全対策担当者の選定が義務化されたことにより、これまで以上にヒヤリハット事例や介護事故の事例を施設内で共有し、運営マニュアルの見直しや改善に取り組む施設が増えることが期待されています。

安全対策担当者を選任したからといって、担当者一人で全てを対応することは出来ません。
施設で働くスタッフ全員が「介護事故をなくす」という強い意志を持って取り組むことが、何よりも重要です。

スタッフ間で安全に対する意識を共有し、施設の安全管理体制を強化しましょう。


※本記事の記載内容は、2021年11月現在の法令・情報等に基づいています。