人材不足の打開策? 『介護助手等普及推進員(仮称)』の新設
近年、介護専門職のサポートスタッフである『介護助手』に注目が集まっています。
無資格でもできる清掃や食事づくりといった仕事をこなし、身体介護を行う職員の負担軽減に役立つとされてきましたが、人材が不足しており、担い手の確保が課題となっています。
そのような状況を踏まえ、厚生労働省は、2022年度の予算概算要求で『介護助手等普及推進員(仮称)』を新設しました。
今回は、『介護助手等普及推進員(仮称)』の概要と、介護助手の役割について説明します。
無資格でもできる清掃や食事づくりといった仕事をこなし、身体介護を行う職員の負担軽減に役立つとされてきましたが、人材が不足しており、担い手の確保が課題となっています。
そのような状況を踏まえ、厚生労働省は、2022年度の予算概算要求で『介護助手等普及推進員(仮称)』を新設しました。
今回は、『介護助手等普及推進員(仮称)』の概要と、介護助手の役割について説明します。
介護助手の普及を目指して
厚生労働省が『第8期介護保険事業計画』(2021~23年度)で試算した、将来的に必要となる介護従事者数は、25年度には約32万人増の約243万人、40年度には69万人増の約280万人にのぼります(19年度比)。
このような状況を改善するため、国は、資格を持つ職員のサポート役である介護助手に焦点を当て、現場の増員を目指しています。
これまで厚生労働省は、介護人材の不足を解消するため、さまざまな取組みを行ってきました。
その一つとして、2022年から新たに『介護助手等普及推進員(仮称)』という制度を設ける見込みです。
この制度は、各都道府県の福祉人材センターに推進員を配置し、『介護助手』などの人材確保を行っていくことを目的としています。
介護助手とは、介護補助や介護サポーターとも呼ばれ、介護事業所等において介護専門職の仕事をサポートし、比較的単純な作業を担当する介護スタッフです。
推進員の設置の意図としては、退職後の元気な高齢者や主婦らを介護分野に呼び込むことを狙いとしています。
概算要求の内容によれば、都道府県福祉人材センターに配置された推進員が、市町村社会福祉協議会や福祉事務所、茶話会のような高齢者の集まりを巡回し、介護助手の仕事について説明します。
興味を持った人には、福祉人材センターで求職者登録をしてもらいます。
また、介護事業所に対し、介護助手を採用するための業務改善についての助言や求人の提案などを行うことにより、介護の周辺業務を担う人材の確保を促進します。
つまり、人手不足や業務負担に悩む介護事業所と、資格は持っていないけれど介護現場で働きたい人とのマッチングを行う制度といえるでしょう。
通常、介護助手のいない介護事業所では、身体介護以外の清掃・調理・洗濯などを介護職員が行なっています。
そのような業務を介護助手が担うことで、介護職員はより専門的な業務に集中できます。
介護助手を積極的に採用し、専門的な業務を行う介護職員との役割分担を行うことで、介護現場の生産性向上と介護サービスの質の向上に効果が見込まれています。
介護助手を採用するにあたって
では、実際に介護助手を採用したい事業所が考えるべきことについて説明します。
介護助手は、たとえばベッドメイクや食事の配膳、部屋の清掃・片付けなど、専門的な知識やスキルがなくても従事できる仕事が多く、介護に関する資格は不要なため、介護職未経験の人でも働きやすい職種といえます。
しかし、実際の介護現場では介護助手を活用できていないケースもあり、その背景には業務の切り分けがしづらいことや、受け入れ体制が整っていないこと、ボランティアに頼むことで間に合っていることなどがあります。
実際の介護現場とのギャップを埋めるためには、いきなり介護助手を採用するのではなく、事前の準備が大切といえます。
その一つが、『介護業務の可視化(見える化)』です。
職員が手掛けている業務のすべてを一旦洗い出し、介護専門職しか出来ない仕事とそれ以外の仕事に分類することで、介護助手に分担してもらえる役割が明確になり、各々が効率的よく業務に取りかかることができます。
また、介護助手として雇い入れる人材の対象範囲や、従事する時間等について計画的に取り決めることも重要です。
たとえば、介護助手採用で成功したケースとしてよく取り上げられている三重県では、採用ターゲットを『元気高齢者』に絞り、『1日の就業時間は3時間までとして無理をさせない』、『あくまで周辺業務に限る』といった基準をあらかじめ用意することで助手としての活用に成功しています。
ほかにも、出産・育児をきっかけに仕事から離れてしまった主婦を対象に、『時短勤務できる』『未経験でもできる』といった条件を提示し、介護助手の仕事を勧めるのもよい方法かもしれません。
いずれにせよ、介護現場の人手不足はすでに深刻であり、介護助手の採用については、国も支援していく姿勢をみせています。
人材不足に悩んでいる事業所や、介護スタッフの業務負担が大きい事業所は、新設された『介護助手等普及推進員(仮称)』を活用し、介護助手の導入を本格的に検討されてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2021年11月現在の法令・情報等に基づいています。
厚生労働省が『第8期介護保険事業計画』(2021~23年度)で試算した、将来的に必要となる介護従事者数は、25年度には約32万人増の約243万人、40年度には69万人増の約280万人にのぼります(19年度比)。
このような状況を改善するため、国は、資格を持つ職員のサポート役である介護助手に焦点を当て、現場の増員を目指しています。
これまで厚生労働省は、介護人材の不足を解消するため、さまざまな取組みを行ってきました。
その一つとして、2022年から新たに『介護助手等普及推進員(仮称)』という制度を設ける見込みです。
この制度は、各都道府県の福祉人材センターに推進員を配置し、『介護助手』などの人材確保を行っていくことを目的としています。
介護助手とは、介護補助や介護サポーターとも呼ばれ、介護事業所等において介護専門職の仕事をサポートし、比較的単純な作業を担当する介護スタッフです。
推進員の設置の意図としては、退職後の元気な高齢者や主婦らを介護分野に呼び込むことを狙いとしています。
概算要求の内容によれば、都道府県福祉人材センターに配置された推進員が、市町村社会福祉協議会や福祉事務所、茶話会のような高齢者の集まりを巡回し、介護助手の仕事について説明します。
興味を持った人には、福祉人材センターで求職者登録をしてもらいます。
また、介護事業所に対し、介護助手を採用するための業務改善についての助言や求人の提案などを行うことにより、介護の周辺業務を担う人材の確保を促進します。
つまり、人手不足や業務負担に悩む介護事業所と、資格は持っていないけれど介護現場で働きたい人とのマッチングを行う制度といえるでしょう。
通常、介護助手のいない介護事業所では、身体介護以外の清掃・調理・洗濯などを介護職員が行なっています。
そのような業務を介護助手が担うことで、介護職員はより専門的な業務に集中できます。
介護助手を積極的に採用し、専門的な業務を行う介護職員との役割分担を行うことで、介護現場の生産性向上と介護サービスの質の向上に効果が見込まれています。
介護助手を採用するにあたって
では、実際に介護助手を採用したい事業所が考えるべきことについて説明します。
介護助手は、たとえばベッドメイクや食事の配膳、部屋の清掃・片付けなど、専門的な知識やスキルがなくても従事できる仕事が多く、介護に関する資格は不要なため、介護職未経験の人でも働きやすい職種といえます。
しかし、実際の介護現場では介護助手を活用できていないケースもあり、その背景には業務の切り分けがしづらいことや、受け入れ体制が整っていないこと、ボランティアに頼むことで間に合っていることなどがあります。
実際の介護現場とのギャップを埋めるためには、いきなり介護助手を採用するのではなく、事前の準備が大切といえます。
その一つが、『介護業務の可視化(見える化)』です。
職員が手掛けている業務のすべてを一旦洗い出し、介護専門職しか出来ない仕事とそれ以外の仕事に分類することで、介護助手に分担してもらえる役割が明確になり、各々が効率的よく業務に取りかかることができます。
また、介護助手として雇い入れる人材の対象範囲や、従事する時間等について計画的に取り決めることも重要です。
たとえば、介護助手採用で成功したケースとしてよく取り上げられている三重県では、採用ターゲットを『元気高齢者』に絞り、『1日の就業時間は3時間までとして無理をさせない』、『あくまで周辺業務に限る』といった基準をあらかじめ用意することで助手としての活用に成功しています。
ほかにも、出産・育児をきっかけに仕事から離れてしまった主婦を対象に、『時短勤務できる』『未経験でもできる』といった条件を提示し、介護助手の仕事を勧めるのもよい方法かもしれません。
いずれにせよ、介護現場の人手不足はすでに深刻であり、介護助手の採用については、国も支援していく姿勢をみせています。
人材不足に悩んでいる事業所や、介護スタッフの業務負担が大きい事業所は、新設された『介護助手等普及推進員(仮称)』を活用し、介護助手の導入を本格的に検討されてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2021年11月現在の法令・情報等に基づいています。