炎上する人物を起用しない! 重要なコンプライアンスチェック
企業にコンプライアンス遵守が求められるようになった昨今、自社の広告・宣伝に起用するタレントが、本当にふさわしい人であるかどうかを確認する『コンプライアンスチェック』の重要性が高まっています。
いわゆる“炎上リスク”をなくすためにも、コンプライアンスチェックは、今後、広告・宣伝やマーケティング担当者が必ず意識すべきものとなっていくでしょう。
今回は、タレントの起用におけるコンプライアンスチェックの進め方や、ポイントなどを解説していきます。
いわゆる“炎上リスク”をなくすためにも、コンプライアンスチェックは、今後、広告・宣伝やマーケティング担当者が必ず意識すべきものとなっていくでしょう。
今回は、タレントの起用におけるコンプライアンスチェックの進め方や、ポイントなどを解説していきます。
タレントの過去の言動が炎上した例
東京オリンピック・パラリンピックの開催直前に、過去のいじめ問題によって開会式の楽曲の作曲を担当していたミュージシャンが辞任した際、組織委員会のチェック体制を疑問視する声があがりました。
五輪という、世界で最もコンプライアンスの求められるイベントに、そうした人物を起用してしまったことは、明らかに主催者側の認識不足であるという指摘です。
この一件で、起用する芸能人やアーティストのコンプライアンスチェックの重要さが、広く認知されるようになりました。
過去にも、企業が、広告にふさわしくないと思しき過去を持つ芸能人やアーティストを起用して炎上するケースがありました。
2020年には、Amazonで有料会員サービスのAmazonプライムビデオのテレビCMに、国際政治学者が起用されましたが、当人が過去、日本で徴兵制を導入すべきだと発言していたことを問題視した会員が反発。
Twitterで『Amazonプライム解約運動』がトレンド入りするほどの大きな炎上事案へと発展しました。
これも、起用する芸能人のコンプライアンス調査が不足していた例でしょう。
炎上するのはテレビに出ている人たちに限りません。
人気ライトノベル作家が過去にヘイトスピーチを繰り返していたことが露見して、決定していた作品のアニメ化が中止になったり、歴史学者が過去にSNSで、女性研究者に対する誹謗中傷をあげていたことが判明し、NHK大河ドラマの時代考証を降板したりといった炎上騒動も起きています。
このように、過去の発言や出来事が取り沙汰されて炎上し、プロジェクトが頓挫したり、辞任に追い込まれてしまうケースは後を絶ちません。
そうなってしまうと、企業側はマーケティング施策を中止せざるを得なくなり、そこに投じたコストや人材、労力や時間が無駄になってしまいます。
最近では反社会的勢力の排除に向け、取引相手や従業員や株主などに対して“反社チェック”が行われるのと同様に、マーケティング施策においても、起用する人物のコンプライアンスチェックを徹底していく必要があるでしょう。
コンプライアンスチェックの方法とは
では、具体的にどうすれば起用を考えているタレントのコンプライアンスチェックができるのでしょうか。
有効とされているのが、Web上での人物調査です。
検索エンジンや各種SNS等を使い、対象となる人物の名前のほかに、肩書や事務所、出演番組や作品名などの関連ワードをすべて検索することで、対象者の過去の言動についてある程度までは調べることができます。
そのほかにも、過去の新聞記事や雑誌記事の検索や、広告代理店のリストによる調査などが有効です。
新聞記事は、大手各社が有料のサービスを実施しているほか、G-Searchや日経テレコンなど、各新聞社の記事を横断して検索するサービスがあります。
国会図書館でも全国紙等の記事索引・検索サービスの紹介を行っており、対象者の過去の言動の検索に活用することができます。
また、広告代理店が独自のリストを作成している場合もあるので、もし、CM作成などを依頼する場合は、相談してみるとよいでしょう。
マーケティング担当者だけでは、全てのリスクを洗い出すことは難しい場合も多いため、独自のチェック項目を備えた調査会社や、調査サービスを活用するのも方法の一つです。
理想は、自社で独自にコンプライアンスチェックを行いながら、外部の機関などにも調査を依頼することです。
将来の発言まではコントロールできない
ただし、どんなにコンプライアンスチェックを徹底しても、起用した人物の将来の発言まで予見することはできません。
したがって、起用する人物の発言の傾向や、思想を把握しておくことも大切です。
もし、炎上とはいえないまでも、偏った思想や発言があった場合は、起用を考え直す必要があるでしょう。
また、発信された時点では問題なかった発言が、社会全体の観念や常識の変化によって、現在では問題視されてしまうケースもあります。
たとえば、『死ぬ気で働く』という表現は、少し前まで受け入れられていました。
しかし、パワハラや過労自殺などの社会問題が浮き彫りになってきた現在では、そうした表現を使うことに嫌悪感を抱く人が多いため、そういった発言を繰り返している芸能人がいた場合、その人を起用することにはリスクがあるといえます。
今後も、コンプライアンスに関する世間の目は、厳しさを増していく可能性があります。
広告・宣伝に著名人を起用する場合は、慎重に選ぶべきでしょう。
※本記事の記載内容は、2021年10月現在の法令・情報等に基づいています。
東京オリンピック・パラリンピックの開催直前に、過去のいじめ問題によって開会式の楽曲の作曲を担当していたミュージシャンが辞任した際、組織委員会のチェック体制を疑問視する声があがりました。
五輪という、世界で最もコンプライアンスの求められるイベントに、そうした人物を起用してしまったことは、明らかに主催者側の認識不足であるという指摘です。
この一件で、起用する芸能人やアーティストのコンプライアンスチェックの重要さが、広く認知されるようになりました。
過去にも、企業が、広告にふさわしくないと思しき過去を持つ芸能人やアーティストを起用して炎上するケースがありました。
2020年には、Amazonで有料会員サービスのAmazonプライムビデオのテレビCMに、国際政治学者が起用されましたが、当人が過去、日本で徴兵制を導入すべきだと発言していたことを問題視した会員が反発。
Twitterで『Amazonプライム解約運動』がトレンド入りするほどの大きな炎上事案へと発展しました。
これも、起用する芸能人のコンプライアンス調査が不足していた例でしょう。
炎上するのはテレビに出ている人たちに限りません。
人気ライトノベル作家が過去にヘイトスピーチを繰り返していたことが露見して、決定していた作品のアニメ化が中止になったり、歴史学者が過去にSNSで、女性研究者に対する誹謗中傷をあげていたことが判明し、NHK大河ドラマの時代考証を降板したりといった炎上騒動も起きています。
このように、過去の発言や出来事が取り沙汰されて炎上し、プロジェクトが頓挫したり、辞任に追い込まれてしまうケースは後を絶ちません。
そうなってしまうと、企業側はマーケティング施策を中止せざるを得なくなり、そこに投じたコストや人材、労力や時間が無駄になってしまいます。
最近では反社会的勢力の排除に向け、取引相手や従業員や株主などに対して“反社チェック”が行われるのと同様に、マーケティング施策においても、起用する人物のコンプライアンスチェックを徹底していく必要があるでしょう。
コンプライアンスチェックの方法とは
では、具体的にどうすれば起用を考えているタレントのコンプライアンスチェックができるのでしょうか。
有効とされているのが、Web上での人物調査です。
検索エンジンや各種SNS等を使い、対象となる人物の名前のほかに、肩書や事務所、出演番組や作品名などの関連ワードをすべて検索することで、対象者の過去の言動についてある程度までは調べることができます。
そのほかにも、過去の新聞記事や雑誌記事の検索や、広告代理店のリストによる調査などが有効です。
新聞記事は、大手各社が有料のサービスを実施しているほか、G-Searchや日経テレコンなど、各新聞社の記事を横断して検索するサービスがあります。
国会図書館でも全国紙等の記事索引・検索サービスの紹介を行っており、対象者の過去の言動の検索に活用することができます。
また、広告代理店が独自のリストを作成している場合もあるので、もし、CM作成などを依頼する場合は、相談してみるとよいでしょう。
マーケティング担当者だけでは、全てのリスクを洗い出すことは難しい場合も多いため、独自のチェック項目を備えた調査会社や、調査サービスを活用するのも方法の一つです。
理想は、自社で独自にコンプライアンスチェックを行いながら、外部の機関などにも調査を依頼することです。
将来の発言まではコントロールできない
ただし、どんなにコンプライアンスチェックを徹底しても、起用した人物の将来の発言まで予見することはできません。
したがって、起用する人物の発言の傾向や、思想を把握しておくことも大切です。
もし、炎上とはいえないまでも、偏った思想や発言があった場合は、起用を考え直す必要があるでしょう。
また、発信された時点では問題なかった発言が、社会全体の観念や常識の変化によって、現在では問題視されてしまうケースもあります。
たとえば、『死ぬ気で働く』という表現は、少し前まで受け入れられていました。
しかし、パワハラや過労自殺などの社会問題が浮き彫りになってきた現在では、そうした表現を使うことに嫌悪感を抱く人が多いため、そういった発言を繰り返している芸能人がいた場合、その人を起用することにはリスクがあるといえます。
今後も、コンプライアンスに関する世間の目は、厳しさを増していく可能性があります。
広告・宣伝に著名人を起用する場合は、慎重に選ぶべきでしょう。
※本記事の記載内容は、2021年10月現在の法令・情報等に基づいています。