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飼い犬が人に噛みついてケガを負わせてしまったら、どうなる?

21.04.13
ビジネス【法律豆知識】
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ペットを飼っていると、ペットが原因となるトラブルが生じることがあります。
たとえば、普段はおとなしい飼い犬が、散歩中にふと目を離した瞬間、他人に噛みついてケガをさせてしまった!といったことも起こりえます。
このような場合、法的にはどのような責任が問われることになるのでしょうか。
今回は、ペットの飼育にまつわる法的トラブルについて解説します。
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ペットが他人に危害を加えた場合の民事上の責任

民法には、飼い犬が他人にケガをさせてしまった場合についての規定があります。
民法718条1項では、『動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う』と規定しています。

飼い主は、『動物の占有者』にあたるので、ケガをした人に対して、損害を賠償しなければなりません
では、親戚が出かけるため、一時的にその親戚の飼い犬を預かっていたような場合はどうでしょうか。

このケースについて、718条2項では、『占有者に代わって動物を管理する者も、前項(718条1項)の責任を負う』と規定しており、一時的に飼い犬を預かっていた人も、やはり同じように責任を負うことになるのです。

損害とは、治療費はもちろん、通院にかかった交通費や、仕事を休まざるを得なくなった場合はその休業損害、そして慰謝料などが該当します。
民法では、『動物の種類および性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りではない』と、免責される場合についても規定していますが、判例・実務上、この免責規定は容易には適用されないので、ケガをさせてしまったのであれば、やはり何らかの賠償をすることになるのが通常です。

もっとも、たとえば、噛まれた人があえて犬の嫌がるようなことをしていたなど、噛まれた人にも落ち度がある場合には、過失相殺(民法722条2項)の規定により、損害額が減額されることになります。
裁判では、噛まれた前後の事実関係について当事者の主張が食い違い、過失割合について争われることも少なくありません。
 

刑事上の責任が生じることもある!

少し驚かれるかもしれませんが、飼い犬が他人に噛みついてしまった場合には、民事上の責任だけでなく、刑事上の責任も問われることがあります。

具体的には、
●過失致死罪(刑法209条1項。30万円以下の罰金または科料)
●重過失致死罪(刑法211条1項後段。5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金)
などが該当します。

過去には、土佐犬が犬舎から逃げ出して幼児に噛みつき、頭部陥没骨折等の傷害を負わせた事案において、重過失致死罪の成立を認めた裁判例があります。
こういったケースもあるため、飼い犬が他人に噛みついてケガをさせた場合には、事態を簡単に見て当人同士で処理しようとするのではなく、警察に連絡し、実況見分などの捜査に誠実に協力するようにしましょう

そのほか、各自治体の動物愛護条例では、事故発生時に自治体の長への届出義務が規定されています。
最初にすべきは、救急要請などケガをした人の手当てですが、それが落ち着いたら、行政への報告も忘れずに行うことが大切です。

以上のように、飼い犬が他人を負傷させてしまった場合、さまざまな法的な責任が生じます。
他人にケガをさせないためにも、そして自分自身と飼い犬を守るためにも、十分に気を付けましょう。


※本記事の記載内容は、2021年4月現在の法令・情報等に基づいています。