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改正著作権法とは? 事業者に求められる海賊版排除の取り組み

21.03.30
ビジネス【企業法務】
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改正著作権法が、2021年1月に施行され、これまで違法とされていた音楽・映像の海賊版ダウンロードに加え、漫画や書籍、論文やコンピュータープログラムなど、その他の著作物全般についても、海賊版ダウンロードが取り締まりの対象となりました。
一方で、著作権を持つ者に対しては、コンテンツが適法なものであるとわかりやすく表示する義務が求められています。
今回は、改正著作権法が新たに定めたポイントや、事業者側が行うべき取り組みについてご紹介します。
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改正著作権法の柱となる2つのポイント

海賊版コンテンツによる被害はかねてから深刻で、対策をとらなければ、クリエイターやコンテンツ関連業界に、多大な損害が出てしまいます。
これまでも著作権法により、著作者の正当な権利である著作権が守られてきましたが、違法ダウンロードによる被害は後を絶ちませんでした。

そこで、今回行われた著作権法の改正では、インターネット上の海賊版対策の強化を柱に、アクセスコントロールに関する保護の強化や、著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化などが盛り込まれました。

まず、インターネット上の海賊版取り締まりの強化は『違法ダウンロード規制の対象拡大』と『リーチサイト対策』の2本だてで構成されており、それぞれ違反すると刑事罰の対象となることもあります。

違法ダウンロード規制では、正規版が有償で提供されているコンテンツに対して、違法にアップロードされたものだと知りながらダウンロードすることを禁止しています。
今回の改正では、これまでは音楽と映像コンテンツのみだったダウンロード規制の対象範囲が拡大され、漫画や雑誌、書籍、学術論文、イラスト、絵画、写真などさまざまな分野の著作物全般が対象に含まれることになりました。

著作権は、著作物が完成した瞬間から、自動的に著作者に付与されるもので、これを他者が侵害してはならないとされています。
違法アップロードはまさに著作権の侵害であり、違法にアップロードされたものだと知りながらダウンロードする行為も、同様に著作権の侵害になるというわけです。
また、これらの違法ダウンロードに関しては、私的に使用する目的であっても一定の要件の下で違法となります。

そして、もう一つのリーチサイト対策では、リーチサイトを運営する行為を禁止しています。
このリーチサイトとは、サイトそのものにコンテンツをアップロードしておらず、ほかのサイトに違法アップロードされているコンテンツへのリンクを掲載しているサイトのことです。
一般的には、正規にアップロードされている著作物ではないことから、『海賊版サイト』などという呼ばれ方をしています。


正規コンテンツだと証明するマーク制度

改正著作権法は、著作権者側に対しても、コンテンツの違法ダウンロードを防止するための取り組みを求めています。

その一つが、著作物が正規版や正規サイトだと誰でも簡単に判断できるようにする措置です。

一般社団法人電子出版制作・流通協議会では、2018年よりコンテンツが適法なものであることを示す、『ABJ(Authorized Books of Japan)マーク』の制度を管理・運営しています。

ABJマークとは、電子出版物を配信する事業者に付与されるもので、ユーザーは、ABJマークがあることにより、そのコンテンツが適法であると判断することができます。
申請、使用は共に無料で、著作権を有する電子出版物を配信している事業者が対象となります。

また、一般社団法人日本レコード協会では、2008年から音楽や映像などのコンテンツを正規に配信していることを示す識別マークとして、ライセンスを意味するアルファベットのLをデザインした『エルマーク』を発行しています。
違法ダウンロードや違法配信によってレコード会社などが深刻な損害を受けていることから創設された制度で、エルマークが付与された配信サイトには、マークと登録番号が表示されます。

ABJマークとエルマークは、いずれも正規のコンテンツである証明になり、ユーザーは、マークが表示されているサイトが海賊版ではない正式なサイトだと判断することができます
ただし、正規のコンテンツを配信していても、マークを表示していないサイトもあるため、マークがないからといって、違法なサイトと断定することはできません。

これらの識別マークのほかにも、著作物を有する事業者には、利用規約の見直しや注意喚起、著作権法の普及・啓発活動によって、自社のコンテンツが違法に扱われないための措置などが求められています。
たとえば、違法アップロードの監視体制の構築や、違法だと知りながらダウンロードするユーザーの取り締まりなども、自分たちのコンテンツを守るという意識を持って、実行していかなければいけない取り組みといえるかもしれません。

著作権を持っている側からも、さまざまな対策を講じることが、著作権の侵害の防止や排除につながります。
著作物を所有している企業は、自社でどんな取り組みができるかを考えていきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年3月現在の法令・情報等に基づいています。