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カンヌライオンズ2014から、広告・マーケティングの最前線をレポート:その2

14.11.02
ビジネス【マーケティング】
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広告とマーケティングに関わる人々の一大イベントであるカンヌライオンズ。
今年の傾向を表す4つのキーワードの2つ目は、「新型実証エンタメ」です。
基本的には実証型広告と呼ばれ以前から一般的な手法なのですが、それをネット時代ならではのエンタテイメントに仕上げている事例が目に付きました。
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佐藤達郎のマーケティング論

代表的なものは、ボルボ社のトラックのネット用動画で、フィルム部門グランプリを始めとして数々の賞に輝きました。
「THE EPIC SPLIT(英雄的開脚or開脚の叙事詩)」と名付けられたこの動画は、カンヌライオンズ開幕以前からネット上では相当話題になっていたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
今でもネットで検索すれば、簡単に目にすることができます。

世界的に有名なアクションスター“ジャン・クロード・ヴァンダム”の顔のアップから、その動画は始まります。
神妙な面持ちで、「自分はさまざまな危険なシーンをこなしてきた。そのおかげで、今の自分がある」といった内容を語っていきます。
バックにはエンヤの癒し系音楽。カメラは徐々に引いていきます。

そうするうちに見る人には、ヴァンダムの立っている場所が、バックで並走する2台のボルボ・トラックのサイドミラーの上であることが分かってきます。
さらにカメラが引いていくと、2台のボルボ・トラックは徐々にその間隔を空け、ヴァンダムの開脚がギリギリに達し水平になった時点の間隔を保ちながら、バック走行を続けるのです。
そこに「この映像は、プロのドライバーにより実際に走行して撮影されたものです」という趣旨のテロップが入れられます。

新しいボルボ・トラックのステアリングの安定性をメッセージするために作られたこの動画コンテンツは、公開わずか5日間で再生回数が2,000万回を超え、2013~2014年にかけて世界的なヒット作となりました。

また、南米のガムの会社が仕掛けた動画も話題作となりました。
これは、双子を数組用意して、片方はガムを噛み、片方は噛んでいない、という状況を作ります。
その双子の前に一般人にひとり座ってもらい、「どちらが友達が多いと思いますか?」とか「(双子の警察官に対して)どちらが悪徳警察官に見えますか?」といった質問に答えてもらいます。
481名の一般人がこの実験に参加、73%が「ガムを噛んでいる方」を好ましく感じたというもの。
その様子を2分ほどの動画にまとめ、「ガムを噛んでる方が感じよく見えるよ」と訴えています。

ガムを噛んでいない方の双子が、わざと憮然とした表情をしているようにも見え、本格的な実証という意味では問題があるのですが、「実証型のエンタテイメント」として考えれば、よく出来ていて効果的です。

こんな風に「実験」「実証」をエンタテイメント化することで、ネット上で話題となり、大きな成果を挙げる例が目立っています。


次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『カンヌライオンズ2014から、広告・マーケティングの最前線をレポート:その3』をお届けします。


[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

[記事提供]

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