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感染症の増える季節に安心してもらえるクリニックづくり

20.12.01
業種別【歯科医業】
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歯科治療の多くは来院してもらわないと治療が成り立ちません。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大以降、ウイルス感染を恐れて診療を控えてしまう人がいます。
冬には、インフルエンザやおたふく風邪など、新型コロナウイルス以外にも、多くの細菌やウイルス感染症が流行します。
過敏になっている患者に安心して通院してもらうべく、感染予防のポイントについて改めて確認してみましょう。
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厚労省の『マニュアル作成の手引き』を確認

医療機関はそもそも院内感染が起こりやすく、コロナ禍にあっては特に、どれくらいきちんと対策されているかが注目されています。
そのためにもまずは、各歯科医院の実態に沿って、院内の感染対策マニュアルを整備することが大切なのではないでしょうか。

厚生労働省のホームページで公開されている『医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)[更新版]』では、さまざまな医療機関で感染制御業務を実施するうえで、必要となる事項と内容を整理しています。

この手引きには、マニュアル作成のために必要と考えられる項目が列記されているので、まず、書かれている項目について、自院での必要性を吟味し、自院のマニュアルに記載するかどうかを判断していきます。
また、重要度別にABCの順で優先順位がついており、自院の特性に応じて、優先度を加味しながら取捨選択していくこともできます。
書かれている項目を自院のマニュアルに記載する際は、『~するほうがよい』というあいまいな表現は避け、『~する(~しない)』といった表現を使用することが推奨されています。

具体的に項目を見てみましょう。
たとえば、歯科治療ではより重要となってくる手を洗うことの大切さは、一般社会でも新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、改めて見直されました。
手引きのなかの『標準予防策』によれば、手指衛生では

●手袋使用の有無にかかわらず、患者に直接接触する前には手指衛生をする
●目に見える汚れがない場合は、アルコールを主成分とする擦式手指消毒薬を用いる手指消毒をする
●手が目に見えて汚染しているとき、あるいは血液やその他の体液で汚染しているときは、石けんあるいは手指洗浄消毒薬(抗菌性石けん)と流水で手洗いを行う
●血液、体液、排泄物あるいは分泌物、粘膜、創傷のある皮膚や創傷被覆材に接触した後は、たとえ目に見えて汚染がなくとも、石けんあるいは手指洗浄消毒薬と流水で手洗いを行う

などが必要とされており、さまざまなシチュエーション別に、適切な方法が説明されています。
また、『手指衛生』そのものについても、

●手指衛生:手洗い、手指消毒、手術時手指消毒のいずれも含んだ総称
●手洗い:普通石けん(非抗菌性)と流水によって手指の汚れと一過性に付着した微生物(通過菌を物理的に取り除くこと)
●手指消毒:手洗い消毒あるいは擦式手指消毒のこと、手術時手指消毒も含まれる
●手洗い消毒:手指消毒薬(洗浄成分を含有する抗菌性石けん)と流水による手洗いのこと
●擦式手指消毒:擦式手指消毒薬で手指を消毒すること

など、種類別に細かく解説してあります。
同じように、『ガウン・エプロン』『手袋』『マスク・ゴーグル、フェイスシールド』『鋭利器材』といった道具の使用についても細かく定められており、ほかの章では『感染経路別予防策』や、『院内感染対策のための抗菌剤の適正使用』など、新型コロナウイルスの感染防止のために参考にできる情報も多々あります。

これらの項目を確認することで、自院のマニュアルづくりに生かすこともできるでしょう。


HEPAフィルター付き空気清浄機とは

冬場は風邪をひく人が増えることもあり、院内の空気に細菌やウイルスが混じっていないかどうかについては、患者も非常にセンシティブになっています。
新型コロナウイルスに感染しやすい空間の条件としては、換気の悪い密閉空間があることはよく知られており、厚生労働省も、換気が難しい場所における空気清浄機の設置を推奨しています。

せっかく導入するなら、なるべく効果の高い製品を選びたいところです。
さまざまな性能を持った空気清浄機が出ていますが、ひとつの選択肢としては、『HEPAフィルター付き空気清浄機』があります。

このHEPAフィルターとは、高性能空気フィルターのことで、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下という性能のエアフィルターです。
これは、厚生労働省が実施している感染症外来協力医療機関の設備補助金の対象にもなっており、さまざまなメーカーの空気清浄機に搭載されているので、比較検討してみるのもよいかもしれません。

ウイルス感染が広がる冬だからこそ、基本的な感染症予防を見直すことも大切です。
自院でできることを工夫して、患者に安心してもらえる治療環境を作っていきましょう。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。