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介護業界で需要が高まる『機能訓練指導員』の仕事内容と役割

20.12.01
業種別【介護業】
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介護業界にはさまざまな職種があるなかで、現在、『機能訓練指導員』という職業の需要が高まっています。
高齢者が自分の力で生活するためのサポートを行う機能訓練指導員は、超高齢化社会の到来によって膨らんでいく医療費や介護費用を抑制するために、今後さらに求められていくでしょう。
また、介護事業所においては、機能訓練指導員を増やすことで、普段の生活のなかで利用者が自分でできることを増やせるというメリットがあります。
そこで今回は、機能訓練指導員の仕事内容やその資格要件などについて説明します。
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事業所の専門性を高める新たな手段にもなる

機能訓練指導員とはリハビリ分野の職種で、利用者一人一人の身体や心の状態に合わせた機能訓練の計画を立て、少しでも自分で身の回りのことができるようにサポートする役割を担います。
介護保険法では、通所介護(デイサービス)や介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などにおいて、必ず1名以上の配置が義務づけられています。

主な仕事内容は生活リハビリを中心とした機能訓練の計画と実施ですが、実施後3カ月ごとに利用者の状態を評価し、その後の機能訓練に反映させていくという重要な役割もあります。

また、この機能訓練指導員という職種はその役割を意味するものであって、独自の国家資格があるわけではありません。
ただし、機能訓練指導員として働くためには、厚生労働省が指定する7種の国家資格のうち、いずれか一つを保持している必要があります。
その国家資格は、以下のとおりです。

【機能訓練指導員になるために必要な資格】
1. 看護師または准看護師 
2. 理学療法士
3. 作業療法士
4. 言語聴覚士 
5. 柔道整復師
6. あん摩マッサージ指圧師
7. 鍼灸師

これまで機能訓練指導員として認められる資格要件は、看護師または准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の6種でした。
しかし、2018年に、機能訓練指導員の人手不足の解消を目的に資格要件が緩和され、鍼灸師も機能訓練指導員として働くことができるようになりました。
これには資格要件以外の条件があり、鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設において、6カ月以上の実務経験が求められています。


役割は所有する国家資格ごとに異なる

機能訓練指導員は、保有している資格により仕事内容と求められる役割が異なります。

たとえば、『看護師または准看護師』であれば健康状態や体調管理、病気や怪我の予防や処置など、医療知識を活かした機能訓練を行うことが求められます。
『理学療法士』は病気やけがによって運動機能に障害を持った利用者に運動療法や物理療法を用いながら、ADL(日常生活動作)の改善・悪化の予防となるような機能訓練を行うことが求められ、『作業療法士』は、心理的リハビリテーションや、入浴・食事・読書・掃除などの応用動作の向上・維持のための機能訓練を行うことが求められます。
そして、新たに追加された『鍼灸師』は、鍼灸を用いて身体の痛みを取りのぞく知識と技術を生かしながら、身体機能の改善を目的とした機能訓練を行うことが期待されます。

このように機能訓練指導員は、それぞれの資格の専門性を活かした働き方ができるため、やりがいを持って仕事に臨むことができ、併せてスタッフそれぞれのモチベーションの向上が見込める職種といえます。
それと同時に、介護業界における離職率の低下につながることも期待されています。

また、介護事業所の経営的な側面から考えても、その役割は重要です。
近年では、高齢化により膨らむ医療費や介護費の抑制のために、地域で療養する人ができるだけ自分の力で生活できるようなサポート体制が求められています。
そういった意味でも、今後も機能訓練指導員の需要は増加すると見込まれているのです。

特に、新型コロナウイルスの影響で稼働率や収益が低下している介護事業所においては、サービスの利用を継続してもらう新たなメリットが必要になっているともいえます。
介護予防のための機能訓練に重点を置いたリハビリ特化型デイサービスへ移行するなど、より専門性を強化していくことを視野に入れ、機能訓練指導員を事業所の強みとして加えてみるのもよいかもしれません。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。