事実無根の口コミがネット上に書かれてしまったら、どうする?
最近では、商品を探すにしろ、飲食店に行くにしろ、あるいは就職のために会社を探すにしろ、何かをする前には、まずインターネットで検索し、口コミを閲覧するなどして情報を収集するのが当たり前になってきています。
そのため、もしあなたの会社の商品やサービスについて、嫌がらせとしか思えない事実無根の口コミが書かれてしまったら、その被害は甚大です。
この場合、何か法的手段をとることはできるのでしょうか。
そのため、もしあなたの会社の商品やサービスについて、嫌がらせとしか思えない事実無根の口コミが書かれてしまったら、その被害は甚大です。
この場合、何か法的手段をとることはできるのでしょうか。
口コミを削除する法的手段
口コミを削除する場合、まずはサイト運営者に問い合わせて削除するよう依頼するのが、もっとも迅速かつ簡便な方法といえるでしょう。
しかし、サイト運営者が必ず対応してくれるとは限りません。
その場合の法的手段としては、名誉権(人格権)に基づく削除請求の仮処分を申し立てるという方法が考えられます。
仮処分ではなく、通常の民事訴訟を提起することも可能ですが、悪評が広がってしまうのを一刻も早く防ぐために、より迅速な仮処分を申し立てるのが一般的です。
仮処分といっても、裁判所の判断なので、仮処分が認められても相手方が口コミの削除に応じない場合には、強制執行の手段をとることも可能です。
仮処分が認められるためには、以下の2つの要件を満たさなければなりません。
(1)被保全権利の存在
(2)保全の必要性
このうち、(2)保全の必要性は、口コミが存在している限り、認められるのが通常なので、あまり問題となりません。
ただし、口コミに気づきながら、あまりに長期間放置しているようだと、急いで削除する必要性がないとして、保全の必要性なしという判断になることも考えられるので、その点は注意が必要です。
通常問題となるのは、(1)被保全権利の存在の要件のほうです。
では、どのような場合に被保全権利の存在が認められるのでしょうか。
被保全権利の存在が認められるには?
『被保全権利』とは、仮処分命令の発令などを通して保全すべき権利のことをいいます。
口コミ削除の場合は、名誉権が被保全権利ということになるので、いわゆる名誉棄損にあたることを裁判所に主張していくこととなります。
名誉棄損にあたる表現とは、社会的地位を低下させる表現のことです。
たとえば、「あの店はあまり雰囲気がよくないように感じました」といった内容だと、それは投稿者の主観的評価にすぎないので、社会的評価を低下させる表現とは言い難いということになります。
次に、名誉棄損にあたる表現だとしても、その表現が違法なものでなければなりません。
そして、削除を求める被害者としては、以下の(1)~(3)のいずれかの事情が存在しないことを主張していくこととなります。
(1)公共の利害に関する事実にかかること
(2)専ら公益を図る目的であること
(3)記載された内容が真実であること
この(1)~(3)のうち、最も中心的な争点となるのは(3)です。
一般的には、お店や病院、会社に関する情報は、(1)公共の利害に関する事実に当たることが多く、また、口コミの内容が単なる誹謗中傷にあたるようなものでない限り、(2)専ら公益を図る目的であることも認められやすいといえます。
そのため、削除を求める被害者としては、口コミの内容が事実と異なるということを、証拠に基づいて裁判所にしっかりと主張していくことが重要となります。
以上のように、口コミを削除するには、専門的な知見に基づく迅速な対応が必要になります。
特定の口コミが会社の業績に悪影響をおよぼしている場合には、なるべく早く専門家に相談するなどして対応することが賢明といえるでしょう。
※本記事の記載内容は、2020年11月現在の法令・情報等に基づいています。
口コミを削除する場合、まずはサイト運営者に問い合わせて削除するよう依頼するのが、もっとも迅速かつ簡便な方法といえるでしょう。
しかし、サイト運営者が必ず対応してくれるとは限りません。
その場合の法的手段としては、名誉権(人格権)に基づく削除請求の仮処分を申し立てるという方法が考えられます。
仮処分ではなく、通常の民事訴訟を提起することも可能ですが、悪評が広がってしまうのを一刻も早く防ぐために、より迅速な仮処分を申し立てるのが一般的です。
仮処分といっても、裁判所の判断なので、仮処分が認められても相手方が口コミの削除に応じない場合には、強制執行の手段をとることも可能です。
仮処分が認められるためには、以下の2つの要件を満たさなければなりません。
(1)被保全権利の存在
(2)保全の必要性
このうち、(2)保全の必要性は、口コミが存在している限り、認められるのが通常なので、あまり問題となりません。
ただし、口コミに気づきながら、あまりに長期間放置しているようだと、急いで削除する必要性がないとして、保全の必要性なしという判断になることも考えられるので、その点は注意が必要です。
通常問題となるのは、(1)被保全権利の存在の要件のほうです。
では、どのような場合に被保全権利の存在が認められるのでしょうか。
被保全権利の存在が認められるには?
『被保全権利』とは、仮処分命令の発令などを通して保全すべき権利のことをいいます。
口コミ削除の場合は、名誉権が被保全権利ということになるので、いわゆる名誉棄損にあたることを裁判所に主張していくこととなります。
名誉棄損にあたる表現とは、社会的地位を低下させる表現のことです。
たとえば、「あの店はあまり雰囲気がよくないように感じました」といった内容だと、それは投稿者の主観的評価にすぎないので、社会的評価を低下させる表現とは言い難いということになります。
次に、名誉棄損にあたる表現だとしても、その表現が違法なものでなければなりません。
そして、削除を求める被害者としては、以下の(1)~(3)のいずれかの事情が存在しないことを主張していくこととなります。
(1)公共の利害に関する事実にかかること
(2)専ら公益を図る目的であること
(3)記載された内容が真実であること
この(1)~(3)のうち、最も中心的な争点となるのは(3)です。
一般的には、お店や病院、会社に関する情報は、(1)公共の利害に関する事実に当たることが多く、また、口コミの内容が単なる誹謗中傷にあたるようなものでない限り、(2)専ら公益を図る目的であることも認められやすいといえます。
そのため、削除を求める被害者としては、口コミの内容が事実と異なるということを、証拠に基づいて裁判所にしっかりと主張していくことが重要となります。
以上のように、口コミを削除するには、専門的な知見に基づく迅速な対応が必要になります。
特定の口コミが会社の業績に悪影響をおよぼしている場合には、なるべく早く専門家に相談するなどして対応することが賢明といえるでしょう。
※本記事の記載内容は、2020年11月現在の法令・情報等に基づいています。