新人をしっかりとサポートする『オンボーディング』のすすめ
近年、早期離職を防止する観点から、『オンボーディング』というプロセスが注目を浴びるようになりました。
新たに加わったメンバーが、社内で良好な人間関係を構築し、仕事でのパフォーマンスを上げられるようにするためのサポートプロセスのことです。
オンボーディングを取り入れている会社は人材の定着率が高く、これからの人事戦略のなかでは必要不可欠といわれています。
今回は、このオンボーディングについて解説します。
新たに加わったメンバーが、社内で良好な人間関係を構築し、仕事でのパフォーマンスを上げられるようにするためのサポートプロセスのことです。
オンボーディングを取り入れている会社は人材の定着率が高く、これからの人事戦略のなかでは必要不可欠といわれています。
今回は、このオンボーディングについて解説します。
新入社員をチームに迎えるときの最初のサポート
どんな人であっても、新しい会社に就職した時には、それなりに希望を持っているものです。
最初から辞めるために入ってくる人はいません。
なるべくならうまく組織に適応して、実力を発揮したいと考えているはずです。
ところが現実に目を向けると、就職してすぐに会社を去ってしまう人もいれば、離職率が高すぎるのではないかと思われる企業も、少なくありません。
実際、わが国は従業員の1割以上が1年以内に辞めており、2年で2割、3年経つと3割が離職してしまうほど、離職率が高いのです。
そんな社会情勢を反映してか、社員の早期離職を防止する効果のある『オンボーディング』という考え方や仕組みが注目を集めています。
そもそも『オンボーディング』とは、英語圏で使われていた『on-boarding』という概念から生まれた言葉です。
簡単にいえば、飛行機や船舶に新しい乗組員がやってきた(on board)ときに、彼または彼女がクルーとしての仕事を覚え、一人前の乗組員として独り立ちできるようになるまで、周囲がしっかりサポートをする仕組みのことです。
新しい組織に所属するときは、誰もが不安なものです。
初日には、希望とともに「自分は本当にこの会社でやっていけるのだろうか?」「仕事で成果をあげられないかもしれない」といった、ひそかな不安を胸に抱いて出社するものです。
そんなときに、周囲の人から多忙を理由に放置されたり、何も仕事を与えられなかったりすると、その人のなかに疎外感が生まれます。
その思いはやがて、会社への不信感につながり、「もう、やめたい」という離職のきっかけにもなってしまうのです。
新人は、仕事に慣れるまでの間、とにかく大変な日々を送ります。
周囲の社員や管理職は、自分の仕事でただ忙しくするのではなく、オンボーディングの考え方にのっとり、より積極的に新人をサポートできるように考え、仕組みづくりをすることが大切なのです。
ちなみに、これは新たなセクションに異動になった社員や、昇進したばかりの社員に対しても同じことがいえます。
その人がつまずくことなくいち早く環境に慣れ、能力を発揮して活躍できるよう、サポート体制を作ることが、オンボーディングでは大切になります。
オンボーディング先進国の取り組みは?
それでは、オンボーディングが浸透している海外の会社では、どのような取り組みをしているのか、実際の事例を参考に見てみましょう。
アメリカのある企業では、新入社員の入社日に、社長や同僚から、『入社おめでとう』と書かれた寄せ書きが机の上に飾ってあるそうです。
これには、祝福の心を伝えるのと同時に、「あなたを個人として尊重しています」という意味も込められています。
新人がこうしたメッセージを受け取り、「この会社でずっと頑張っていきたい」と決意を新たにするような初日にしてあげることで、不安や対人関係など初期のつまずきを減らし、組織への定着を促すことができるのです。
また、会社によっては、社長や上司が忙しい月曜日や週の初めは、新人の入社日としてふさわしくないといわれています。
なぜなら、忙しすぎると、新入社員に歓迎の気持ちを表す時間がとりづらくなってしまうからです。
「新入社員が初めて会社に来る日は、歓迎ムードになれるタイミングを選ぶ」とまで気を遣うとなると、やりすぎに思えるかもしれません。
しかし、実際のオンボーディングでは、新しいメンバーが組織になじむためならば、どのような形の配慮であれ、取り組む姿勢が大切なのです。
『価値観のすり合わせ』が重要な新人採用
それでは、オンボーディングによって離職率を低くするためには、どのようなことができるのでしょうか。
まず、新入社員と企業の間で問題になりやすいのが、「価値観が合わずに、チームの一員になれない」ということです。
入社後に価値観の違いがわかり、お互いにとって不幸な結果になってしまった、ということがないよう、企業側は、自社の企業文化についてより意識すべきです。
また、「自社はこういうカルチャーである」ということも、周知していかなければなりません。
企業のカルチャーとは
【仕事に対するスタンス】
・スピードと品質のどちらを求めるのか
・個人のパフォーマンスとチームワークのどちらが重要か
【なんとなく職場の雰囲気を形作るもの】
・社員の服装や髪型に関する考え方
・オフィスワークの環境
【勤務管理に関するルール】
・遅刻や早退をする場合
・途中抜けするときにどう扱うか
など、多岐にわたります。
こうした細部が積み重なって、企業のカルチャーを形成しているともいえるのです。
もちろん、入社してからでないと、本当に自社にマッチするかどうかは分からない部分もありますが、入社面接時のアンケートや雑談などで、それとなく、その人のスタンスを確認することはできます。
強調したいのは『あまりにも自社の企業文化に合わない人を採用する意味はない』という事実です。
また、特に日本では、新卒入社の文化があるため、若い人へのオンボーディングも大切です。
若者は入社前に、会社についてのさまざまな情報を吹き込まれており、入社前に勝手なイメージを作り上げてしまっていることも多いので、会社に対する固定観念をリセットするという、重要な作業があります。
まず、新社会人をサポートする際には、よいことも悪いことも含め「会社とはこういう場所だ」という現実的な会社像を見せるようにしましょう。
そのうえで、仕事を楽しいと思ってもらえるよう、親身にサポートしていきます。
働き方が多様化し、優秀な人材を採用することの難易度が高まっている現在、いかに新人を会社に定着させ、その能力を開いていくかが、人事部の役割になりつつあります。
人材関連の問題で悩んでいる経営者は、まず人事部と共に、オンボーディングについて学んでみてください。意外なヒントが隠されているかもしれません。
※本記事は、ダイヤモンド社から出版された『エンゲージメントカンパニー』(広瀬元義 著)から引用して作成しております。また、抽選で本書をプレゼントしております。数に限りがございますので、ご希望の方はお早めにお問い合わせください。
どんな人であっても、新しい会社に就職した時には、それなりに希望を持っているものです。
最初から辞めるために入ってくる人はいません。
なるべくならうまく組織に適応して、実力を発揮したいと考えているはずです。
ところが現実に目を向けると、就職してすぐに会社を去ってしまう人もいれば、離職率が高すぎるのではないかと思われる企業も、少なくありません。
実際、わが国は従業員の1割以上が1年以内に辞めており、2年で2割、3年経つと3割が離職してしまうほど、離職率が高いのです。
そんな社会情勢を反映してか、社員の早期離職を防止する効果のある『オンボーディング』という考え方や仕組みが注目を集めています。
そもそも『オンボーディング』とは、英語圏で使われていた『on-boarding』という概念から生まれた言葉です。
簡単にいえば、飛行機や船舶に新しい乗組員がやってきた(on board)ときに、彼または彼女がクルーとしての仕事を覚え、一人前の乗組員として独り立ちできるようになるまで、周囲がしっかりサポートをする仕組みのことです。
新しい組織に所属するときは、誰もが不安なものです。
初日には、希望とともに「自分は本当にこの会社でやっていけるのだろうか?」「仕事で成果をあげられないかもしれない」といった、ひそかな不安を胸に抱いて出社するものです。
そんなときに、周囲の人から多忙を理由に放置されたり、何も仕事を与えられなかったりすると、その人のなかに疎外感が生まれます。
その思いはやがて、会社への不信感につながり、「もう、やめたい」という離職のきっかけにもなってしまうのです。
新人は、仕事に慣れるまでの間、とにかく大変な日々を送ります。
周囲の社員や管理職は、自分の仕事でただ忙しくするのではなく、オンボーディングの考え方にのっとり、より積極的に新人をサポートできるように考え、仕組みづくりをすることが大切なのです。
ちなみに、これは新たなセクションに異動になった社員や、昇進したばかりの社員に対しても同じことがいえます。
その人がつまずくことなくいち早く環境に慣れ、能力を発揮して活躍できるよう、サポート体制を作ることが、オンボーディングでは大切になります。
オンボーディング先進国の取り組みは?
それでは、オンボーディングが浸透している海外の会社では、どのような取り組みをしているのか、実際の事例を参考に見てみましょう。
アメリカのある企業では、新入社員の入社日に、社長や同僚から、『入社おめでとう』と書かれた寄せ書きが机の上に飾ってあるそうです。
これには、祝福の心を伝えるのと同時に、「あなたを個人として尊重しています」という意味も込められています。
新人がこうしたメッセージを受け取り、「この会社でずっと頑張っていきたい」と決意を新たにするような初日にしてあげることで、不安や対人関係など初期のつまずきを減らし、組織への定着を促すことができるのです。
また、会社によっては、社長や上司が忙しい月曜日や週の初めは、新人の入社日としてふさわしくないといわれています。
なぜなら、忙しすぎると、新入社員に歓迎の気持ちを表す時間がとりづらくなってしまうからです。
「新入社員が初めて会社に来る日は、歓迎ムードになれるタイミングを選ぶ」とまで気を遣うとなると、やりすぎに思えるかもしれません。
しかし、実際のオンボーディングでは、新しいメンバーが組織になじむためならば、どのような形の配慮であれ、取り組む姿勢が大切なのです。
『価値観のすり合わせ』が重要な新人採用
それでは、オンボーディングによって離職率を低くするためには、どのようなことができるのでしょうか。
まず、新入社員と企業の間で問題になりやすいのが、「価値観が合わずに、チームの一員になれない」ということです。
入社後に価値観の違いがわかり、お互いにとって不幸な結果になってしまった、ということがないよう、企業側は、自社の企業文化についてより意識すべきです。
また、「自社はこういうカルチャーである」ということも、周知していかなければなりません。
企業のカルチャーとは
【仕事に対するスタンス】
・スピードと品質のどちらを求めるのか
・個人のパフォーマンスとチームワークのどちらが重要か
【なんとなく職場の雰囲気を形作るもの】
・社員の服装や髪型に関する考え方
・オフィスワークの環境
【勤務管理に関するルール】
・遅刻や早退をする場合
・途中抜けするときにどう扱うか
など、多岐にわたります。
こうした細部が積み重なって、企業のカルチャーを形成しているともいえるのです。
もちろん、入社してからでないと、本当に自社にマッチするかどうかは分からない部分もありますが、入社面接時のアンケートや雑談などで、それとなく、その人のスタンスを確認することはできます。
強調したいのは『あまりにも自社の企業文化に合わない人を採用する意味はない』という事実です。
また、特に日本では、新卒入社の文化があるため、若い人へのオンボーディングも大切です。
若者は入社前に、会社についてのさまざまな情報を吹き込まれており、入社前に勝手なイメージを作り上げてしまっていることも多いので、会社に対する固定観念をリセットするという、重要な作業があります。
まず、新社会人をサポートする際には、よいことも悪いことも含め「会社とはこういう場所だ」という現実的な会社像を見せるようにしましょう。
そのうえで、仕事を楽しいと思ってもらえるよう、親身にサポートしていきます。
働き方が多様化し、優秀な人材を採用することの難易度が高まっている現在、いかに新人を会社に定着させ、その能力を開いていくかが、人事部の役割になりつつあります。
人材関連の問題で悩んでいる経営者は、まず人事部と共に、オンボーディングについて学んでみてください。意外なヒントが隠されているかもしれません。
※本記事は、ダイヤモンド社から出版された『エンゲージメントカンパニー』(広瀬元義 著)から引用して作成しております。また、抽選で本書をプレゼントしております。数に限りがございますので、ご希望の方はお早めにお問い合わせください。