登記はできる? 法律の基準に適合しない『違法建築物』
建物を建てるときには、建築基準法などの法律を守らなければなりません。
もし、建築許可を受けないで増築や改築をした場合や、建築許可を受けたときと異なる用途で使っているようなときには、違法となってしまいます。
通常、建物を建てたときには登記をしなければならないわけですが、このような違法建築物は登記できるのでしょうか。
今回は、違法建築物と登記について紹介します。
もし、建築許可を受けないで増築や改築をした場合や、建築許可を受けたときと異なる用途で使っているようなときには、違法となってしまいます。
通常、建物を建てたときには登記をしなければならないわけですが、このような違法建築物は登記できるのでしょうか。
今回は、違法建築物と登記について紹介します。
違法建築物と既存不適格建築物
『違法建築物』とは、法律や条例に違反している建築物をいいます。
建物の建築には、建築基準法を始めとして多くの法令が関わっています。
たとえば、建物を建築する際には、設計図が法律に沿っているか確認する『建築確認申請』を行い、建物が完成すれば『完了検査』を受け、建築確認申請どおりに工事がされたことを確認する『検査済証』を取得する必要があります。
このようなルールを守らずに建築されてしまった建築物は違法建築物となってしまいます。
違法建築物の具体例としては、
(1)建ぺい率、容積率がオーバーしているケース
(2)斜線制限に抵触しているケース
(3)接道義務を満たしていないケース
(4)条例や自治体の指導要綱に違反しているケース
があげられます。
違法建築物とみなされた建物については、使用禁止命令や改築命令など、行政から是正措置命令が出されることがあります。
違法建築物は安全性の担保がなされないためです。
一方、違法建築物と似ているものとして、『既存不適格建築物』と呼ばれる建築があります。
こちらは、建てられた当初は法律に適合していたものの、その後、法律が改正されたために新しい基準に適合しなくなってしまった建物のことを指します。
違法ではないため、使用禁止や使用制限を命じられることはありませんが、改築するときには現行の法律に適合させる必要があります。
たとえば、建物を建てた後に建ぺい率あるいは容積率の面積制限の数値が変わり、オーバーしてしまっているという状況の既存不適格建築物の場合、増改築や大規模修繕等を伴わないリフォームであれば、オーバーしている面積分を壊さなくともよいのですが、確認申請の必要なリフォームや建て替えをする時には、現在の基準に合わせる必要があります。
違法建築物でも登記はできる?
では、違法建築物について、登記を行うことはできるのでしょうか。
結論から言いますと、建築基準法違反の問題は別として、登記は可能です。
むしろ登記しなければなりません。
不動産登記法では以下の規定があります。
『新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない』
不動産登記制度は、取引の安全を図るため、不動産に関する権利関係を明確に公示するためにあり、その前提として、不動産を特定し、現況を明確にすることも目的としています。
たとえ違法建築物であったとしても、所有権者が誰なのかを対外的に明らかにしておかなければ、トラブルに巻き込まれてしまう恐れがあります。
従って、違法建築物であったとしても登記しなければならないのです。
ただし、登記ができたとしても違法建築物に変わりはありません。
違法建築物には罰則が科されることがあり、違反の程度がひどいときには、関わった建築士の免許が取り消されるなどの重い行政処分を受けることもあります。
また、売却ができない、住宅ローンを組んで買うことができないといった問題が残ります。
違法建築物は資産価値がないため、担保にすることが難しいからです。
不動産を新築・購入する際は、その建物が違法でないかどうかしっかりと確認しておくことが肝要でしょう。
※本記事の記載内容は、2020年10月現在の法令・情報等に基づいています。
『違法建築物』とは、法律や条例に違反している建築物をいいます。
建物の建築には、建築基準法を始めとして多くの法令が関わっています。
たとえば、建物を建築する際には、設計図が法律に沿っているか確認する『建築確認申請』を行い、建物が完成すれば『完了検査』を受け、建築確認申請どおりに工事がされたことを確認する『検査済証』を取得する必要があります。
このようなルールを守らずに建築されてしまった建築物は違法建築物となってしまいます。
違法建築物の具体例としては、
(1)建ぺい率、容積率がオーバーしているケース
(2)斜線制限に抵触しているケース
(3)接道義務を満たしていないケース
(4)条例や自治体の指導要綱に違反しているケース
があげられます。
違法建築物とみなされた建物については、使用禁止命令や改築命令など、行政から是正措置命令が出されることがあります。
違法建築物は安全性の担保がなされないためです。
一方、違法建築物と似ているものとして、『既存不適格建築物』と呼ばれる建築があります。
こちらは、建てられた当初は法律に適合していたものの、その後、法律が改正されたために新しい基準に適合しなくなってしまった建物のことを指します。
違法ではないため、使用禁止や使用制限を命じられることはありませんが、改築するときには現行の法律に適合させる必要があります。
たとえば、建物を建てた後に建ぺい率あるいは容積率の面積制限の数値が変わり、オーバーしてしまっているという状況の既存不適格建築物の場合、増改築や大規模修繕等を伴わないリフォームであれば、オーバーしている面積分を壊さなくともよいのですが、確認申請の必要なリフォームや建て替えをする時には、現在の基準に合わせる必要があります。
違法建築物でも登記はできる?
では、違法建築物について、登記を行うことはできるのでしょうか。
結論から言いますと、建築基準法違反の問題は別として、登記は可能です。
むしろ登記しなければなりません。
不動産登記法では以下の規定があります。
『新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない』
不動産登記制度は、取引の安全を図るため、不動産に関する権利関係を明確に公示するためにあり、その前提として、不動産を特定し、現況を明確にすることも目的としています。
たとえ違法建築物であったとしても、所有権者が誰なのかを対外的に明らかにしておかなければ、トラブルに巻き込まれてしまう恐れがあります。
従って、違法建築物であったとしても登記しなければならないのです。
ただし、登記ができたとしても違法建築物に変わりはありません。
違法建築物には罰則が科されることがあり、違反の程度がひどいときには、関わった建築士の免許が取り消されるなどの重い行政処分を受けることもあります。
また、売却ができない、住宅ローンを組んで買うことができないといった問題が残ります。
違法建築物は資産価値がないため、担保にすることが難しいからです。
不動産を新築・購入する際は、その建物が違法でないかどうかしっかりと確認しておくことが肝要でしょう。
※本記事の記載内容は、2020年10月現在の法令・情報等に基づいています。