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感染リスクから利用者と介護従事者を守るためにできること

20.06.02
業種別【介護業】
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新型コロナウイルスの感染拡大防止にともなう『緊急事態宣言』が発令されて以降、全国規模で休業の判断を下す介護施設が多くありました。
とはいえ、介護事業所が訪問サービスを停止したり、施設を閉鎖したりするのは簡単ではありません。 
そのような場合であっても介護事業所は、従業員と介護サービス利用者、その家族の理解のもと、安全に事業を続けていく必要があると判断することが多いのではないでしょうか。 
今回は、介護サービス利用者と従業員の感染リスクを避けながらサービスを続行する場合の最善策について考えます。
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休業が困難なうえにリスクの高い介護業界

緊急事態宣言における休業要請に関して、介護事業所は『基本的には休業要請を行わない施設ではあるが、適切な感染防止対策の協力を要請する施設』とされました。
一方、デイサービスなどの『通所型施設』とショートステイなどの『短期入所施設』は、法律に基づく緊急事態宣言を受けて、都道府県知事が必要であると判断した場合は、使用制限や休業要請ができるともされていました。

緊急事態宣言後も、大半の自治体が休業要請を行わない方針でしたが、自主的に休業する介護事業所は日々増加し、4月20日時点においては全国で約800件以上の施設が休業を実施したとの報道がありました。
前例のない休業数により、深刻な問題を抱えた介護サービス利用者やその家族も多くいたことでしょう。

しかし、休業せずにサービスを継続している介護事業所なども、困難な状況であることは変わりません。
介護事業所などは、新型コロナウイルス感染症における重症化リスクを有する多くの高齢者と接触するため、介護従事者は最も感染リスクが高い職種の一つであるといえます。

介護現場は、これまで以上に感染防止に努めていますが、小学校や幼稚園の臨時休校の長期化により、子育て世代の従業員の勤務調整が難しくなり、一部の社員に業務負担が集中しているケースも増えています。
過度な業務負担によりストレスが蓄積されると、現場はピリピリした雰囲気に陥ってしまい、介護サービスにも影響を与える可能性があります。

また、利用者本人に咳や発熱の症状があった際に、利用を希望しても受け入れができない旨を伝えると利用者や家族から不平・不満が出るなど、感染のリスクを理解してくれないケースもあると聞きます。
そのようなことにならないためにも、緊急時の対応をルール化し、各従業員に徹底しておく必要があります。


介護事業者と利用者を守る対策の再確認

感染リスクから利用者と介護従事者を守るために厚生労働省から要請された事項や、介護事業者として行うべき対策をまとめると下記のようになります。

・サービス提供前に利用者全員の体温を測定し、37.5℃以上の方は受け入れないこと
・同じ時間帯や場所でサービスを提供する人数を、可能な限り減らすこと
・3密(密閉・密集・密接)の状況を作らないこと
・発声の機会を最小限にし、業務中・休憩中にかかわらず、至近距離での会話をしないこと
・利用者同士や職員同士の距離を一定以上保つこと
・室内等の換気を定期的に行うこと
・手洗いの徹底と、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用した除菌を行うこと
・従事者のマスクおよび防護具(フェイスガード、使い捨て手袋など)の着用を徹底すること
・利用者にマスク着用を要請すること
・受付窓口等にビニールシートやアクリル板を利用した飛沫感染予防対策を行うこと

介護事業者としては、このような感染防止対策を講じたうえで、濃厚接触を極力減らしたり、緊急度の低いサービスは除外するなどサービス内容を再考することが重要です。
それでも感染の危険性が高い場合は、利用者と従事者の『安全』を最優先に考え、業務を継続するか休業するかを検討する必要があるのではないでしょうか。

介護従事者の方々にも大切な家族がいます。
家族への感染を恐れて施設や会社で寝泊まりしている方も多いと聞きます。
介護事業所として、利用者やご家族への感染防止対策と同じく介護従事者の感染リスクを考慮し、『感染しない・感染させない』ための対策を続けていきましょう。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。