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建設業は税務調査で狙われやすい!? 正しく学ぶ『交際費』

19.12.19
業種別【建設業】
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建設業界は、施工主や下請会社、元請会社など付き合いが多く、交際費がかさみやすい業界です。
建設業特有の近隣対策費や降り賃といった慣習の影響もあるでしょう。
本来は交際費として計上するべきところをほかの科目で計上していることは少なくありません。
そのため、交際費に関しては、税務調査でチェックされやすいポイントです。
そこで今回は、交際費として扱われるものとそうでないものについて解説します。
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経費として使える交際費には上限がある

国税庁の平成29年度分『会社標本調査』の調査結果で、営業収入金額10万円当たりの交際費等支出額を業種別に見ると、建設業が668円と最も高く、次いで不動産業が582円、サービス業が463円でした。
最も低い鉱業の148円と比べると、建設業の交際費等支出額は約4.5倍。
ほかの業種と比べて、交際費の割合が高いことがわかります。

建設業は、得意先や仕入れ先に対して接待や贈答などの対応が多いのが特徴ですが、上限なく交際費を経費として使えるわけではありません。
法人の場合、交際費が損金計上できる金額の上限は、以下のように決められています。

・期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人:接待飲食費の50%または800万円
・それ以外の法人:接待飲食費の50%

接待飲食費は交際費の一部で、得意先や仕入れ先を接待するための飲食代や飲食する会場の費用、差入れの弁当代などが該当します。
しかし、ゴルフや観劇、旅行の際の飲食は、飲食がメインの目的ではないので、接待飲食費には含まれません。
また、当該法人の役員もしくは従業員またはその親族に対する接待交際費は除かれます。
上記の額を超えないためにも、交際費として計上すべきものとそれ以外の科目で計上すべきものを正しく理解する必要があります。


そもそも交際費ってどんな費用?

国税庁は交際費等を『交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用』と定義しています。
交際費として代表的なものは取引先との会食ですが、1人当たりの金額が5,000円以内であれば、交際費ではなく会議費として計上できます。
一方で、従業員のみの慰安旅行は福利厚生費に該当します。
また、取引先に配るカレンダーの作成費用などは消耗品費や広告宣伝費などの科目で経費計上します。

これまで、建設業の支出については交際費になるかどうかについて争われたケースも多くありました。
税務調査で指摘されやすいものをピックアップしてご紹介します。

・近隣対策費
高層ビルやマンションを建設する際には近隣住民の同意を得る必要があります。このときに関係者を食事に誘ったり、観劇などに誘ったりした場合の対策費は交際費にあたります。また、近隣住民による騒音や振動についての苦情に対する対策費も交際費にあたるとされています。

・降り賃
公共工事の入札の際、落札業者がその入札に参加したほかの建設業者にいわゆる『降り賃』を払うことがあります。外注費として経費を計上するケースがありますが、実際には工事を発注していないので、本来であれば交際費として計上しなければなりません。

・下請に関する費用
下請企業の従業員に対する慶弔金、労働災害への見舞金や表彰金などについては、原則として交際費には該当しません。


誤った計上をした場合は修正申告が必要

申告内容に誤りがあった場合は納めている法人税などが変わるため、正しい金額で申告をし直す必要があります。
これを修正申告と呼びます。
ちなみに決算はすでに終了しているため、決算を修正することはできません。
決算書と申告は別なので、この点は注意しましょう。
なお、修正申告の法定納期限を過ぎている場合、期限の翌日から不足分を完納するまでの間は延滞税がかかり、税務署の調査によって交際費の誤りを指摘されて修正申告を行う場合はさらに過少申告加算税、または重加算税がかかります。
過少申告加算税は新たに納める税額の10~15%、重加算税は35~40%(無申告加算税に代えて課される場合40%)とかなり重くなっています。

建設業はほかの業種に比べて交際費の支出が多いため、国税局も交際費を厳しくチェックするといわれています。
やり直しで追加の税金がかからないようにするためにも、交際費の経費計上は慎重に行いましょう。


※本記事の記載内容は、2019年12月現在の法令・情報等に基づいています。