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口約束は争いのもと!? 雇用契約書を交わさないリスクとは

19.11.12
ビジネス【労働法】
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2019年6月、吉本興業所属の芸人による闇営業に端を発する騒動から、芸人と会社側との契約問題がすべて口約束であることが発覚し、波紋を呼びました。
労働法では雇用契約を結ぶ場合、雇用契約書などの書類がなく口約束だったとしても、雇用契約は成立しているとみなされます。
しかし、口約束での契約には、常にトラブルの危険性があり、最悪の場合、裁判にまで発展することも。
企業としても避けたい口約束の危うさと、正式な書類を交わすことの重要性を説明していきます。
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口約束でも雇用契約は成立するが……

多くの企業は、従業員に署名押印してもらった雇用契約書を預かっています。
その書類が、対象の従業員を自社で雇用していることの証になります。
また、労働基準法第15条では、事業主に対して、労働条件の明示を義務づけています。
しかし、中小企業のなかには、雇用者側と口約束だけで雇用契約を結び、なんとなく曖昧なまま雇用者を労働に従事させている会社もあります。

「昔からの慣例だから」「面倒くさいから」「書類作成のやり方がわからないから」など、書類による契約を交わさない理由はさまざまです。
前述した通り、口約束でも雇用契約は成立しますが、雇用契約書を交わしていないと、大きなトラブルが発生する危険性があります。

もし従業員側から「当初の労働条件と異なるため、改善を要求する」と訴えられた場合に、実は入社時に正当な労働条件を提示していたとしても、自社の正当性を証明することがむずかしくなります
その従業員のタイムカードや毎月の給与明細、仕事内容の詳細、ほかの社員の労働状況などの証拠を集めて、正当性を証明するしかありません。


雇用契約以外も口約束の契約は成立する

企業と雇用者との間で交わす雇用契約はもちろん、会社とフリーランスの間で交わす請負契約や、会社と委託社員との間で交わす業務委託契約など、基本的にはどの契約も口約束で成立します。

そして、口約束による契約だからといって、企業側がその契約を軽んじることもできません。
たとえば、プロジェクトが途中で頓挫した場合に、口約束だったからといって報酬を支払わなかったり、いきなり委託社員を解雇したりすることもできません
各種の契約書は、その契約の内容を証明するものに過ぎず、口頭による約束でも契約は守らなければなりません。

一方で、契約書がないばかりに、フリーランスや委託社員とのトラブルに発展するケースもあります。
たとえばフリーランスのWebデザイナーから規定外のギャランティーを請求された際に、本来の内容を証明できないと、相手の請求が認められてしまいます。
証明するには裁判を行うしかなく、そうなってしまった場合は、会社的にも労力や資金を割かねばなりません

口約束は『言った、言わない』の水掛け論にもなりやすく、大きな危険性をはらんでいます。
受注者側が、「これだけのギャラを払ってもらう約束だった」と訴える一方で、企業側が「そんなにギャラを払うなんて約束していない」と主張し、意見が食い違うことは、往々にしてあるパターンです。

このような面倒事を避けるには、会社のセーフティーネットとして、どんな契約であっても、書類を交わしておくことが大切です。
たとえ雇用者やフリーランサー本人から書類の交付を要求されなかったとしても、当事者がお互いに合意したことの証拠として契約書類を作成し、交わしておくのがベストといえるでしょう。


※本記事の記載内容は、2019年11月現在の法令・情報等に基づいています。