相続登記の放置は危険! 勝手に登記される『代位登記』とは
相続財産に不動産がある場合、遺言書がなければ相続人全員で話し合って所有者を決め、所有権移転登記を行うことになります。
しかし、相続登記をするには手間がかかることから、所有権移転登記をせずに放置してしまうこともあるかと思います。
実は、この相続登記を放置していたがために、第三者から勝手に相続登記がなされる『代位登記』というものがあります。
これはいったい、どういうものなのでしょうか。
しかし、相続登記をするには手間がかかることから、所有権移転登記をせずに放置してしまうこともあるかと思います。
実は、この相続登記を放置していたがために、第三者から勝手に相続登記がなされる『代位登記』というものがあります。
これはいったい、どういうものなのでしょうか。
債権者代位権による『代位登記』の仕組み
『代位登記』とは、登記権利者に代位して第三者が登記申請を行うことを指します。
代位登記ができる要件については法律で定められており、『債権者代位権』という権利が根拠になっています。
たとえば、相続人が第三者から借金をしており、その借金の返済が滞っているとき、債権者である第三者がその債権を守るために、相続人(債務者)に代位して不動産を相続登記することがあります。
これは、民法423条の債権者代位権という条文に定められている債権者の権利になります。
債務者が債権者に借りたお金をなかなか返さないとき、債権者としては何かを担保にしたいものです。
そんなとき、債務者が不動産を所有していれば、その不動産を差し押さえて競売にかけることができます。
そのために、債権者が代位登記をしてくるのです。
つまり、相続登記を放置してしまっていたがために、所有権を失ってしまう可能性があります。
ちなみに、代位登記とはいえ、代位権者が所有権の割合まで決められるわけではありません。
あくまで、相続登記の場合は法定相続割合にのっとった代位登記が行われることになります。
債権者となるのは一個人だけではありません。
固定資産税や相続税の滞納がある場合に、国が債権者として代位登記をしてくるケースもあります。
代位登記では登記識別情報はどうなる?
登記申請を行ったときには、原則として登記識別情報が発行されます。
この登記識別情報は、次に登記申請を行う際の本人確認手段として使われる重要な番号です。
しかし、代位登記されたときには登記識別情報が債務者に発行されないため、債務者、つまり不動産の所有者は登記識別情報を知ることができません。
登記識別情報がなければ登記義務者の本人確認ができません。
そのため、要件が揃わず、登記申請ができないことになります。
ただ、登記識別情報がないからといって絶対に登記申請ができないわけではありません。
不動産を新たに遺産分割したり、第三者などに売買したりするときには、司法書士が作成する本人確認情報をもって登記識別情報の代わりにすることができます。
新たな遺産分割協議で所有者変更は可能
相続に関連して不動産の代位登記が行われた場合、不動産の所有権移転登記は法定相続割合に従ったものになります。
相続人が複数いるにもかかわらず、債務者である長男が100%の持分を持つような代位登記ができるわけではありません。
しかし、相続人の間では、対象となる不動産は長男が全て相続する、妻がすべて相続するというように、法定相続割合とは異なる分け方を希望することがあります。
では、この場合には代位登記された登記を修正することはできるのでしょうか?
結論としては、新たに遺産分割協議をして協議を反映した登記を行うことは可能です。
この場合には、代位登記を修正するのではなく、代位登記でなされた登記を元にして持分を移転する登記を行うことになります。
たとえば、代位登記で相続人ABがそれぞれ2分の1ずつの持分登記が行われていたものの、遺産分割協議によってAの所有にするとなった場合には、Bが持っていた2分の1の持分をAに移転する登記が必要となるのです。
ただ、こうしたことを行うにも、登記識別情報が必要となります。
登記識別情報がない場合は司法書士による本人確認情報の作成が必要となります。
相続による所有権移転登記を放置していた場合、相続人のなかに借金を抱えている人がいたら、債権者である第三者の手によって、登記されてしまうことがあります。
最悪の場合、競売にかけられて不動産の所有権を失うことにもなりかねません。
このような事態を防ぐためにも、相続が起きたときは、相続登記は速やかに行い、相続人に借金を抱えている人がいないかどうか、調べておくなどの対処が必要となります。
※本記事の記載内容は、2019年9月現在の法令・情報等に基づいています。
『代位登記』とは、登記権利者に代位して第三者が登記申請を行うことを指します。
代位登記ができる要件については法律で定められており、『債権者代位権』という権利が根拠になっています。
たとえば、相続人が第三者から借金をしており、その借金の返済が滞っているとき、債権者である第三者がその債権を守るために、相続人(債務者)に代位して不動産を相続登記することがあります。
これは、民法423条の債権者代位権という条文に定められている債権者の権利になります。
債務者が債権者に借りたお金をなかなか返さないとき、債権者としては何かを担保にしたいものです。
そんなとき、債務者が不動産を所有していれば、その不動産を差し押さえて競売にかけることができます。
そのために、債権者が代位登記をしてくるのです。
つまり、相続登記を放置してしまっていたがために、所有権を失ってしまう可能性があります。
ちなみに、代位登記とはいえ、代位権者が所有権の割合まで決められるわけではありません。
あくまで、相続登記の場合は法定相続割合にのっとった代位登記が行われることになります。
債権者となるのは一個人だけではありません。
固定資産税や相続税の滞納がある場合に、国が債権者として代位登記をしてくるケースもあります。
代位登記では登記識別情報はどうなる?
登記申請を行ったときには、原則として登記識別情報が発行されます。
この登記識別情報は、次に登記申請を行う際の本人確認手段として使われる重要な番号です。
しかし、代位登記されたときには登記識別情報が債務者に発行されないため、債務者、つまり不動産の所有者は登記識別情報を知ることができません。
登記識別情報がなければ登記義務者の本人確認ができません。
そのため、要件が揃わず、登記申請ができないことになります。
ただ、登記識別情報がないからといって絶対に登記申請ができないわけではありません。
不動産を新たに遺産分割したり、第三者などに売買したりするときには、司法書士が作成する本人確認情報をもって登記識別情報の代わりにすることができます。
新たな遺産分割協議で所有者変更は可能
相続に関連して不動産の代位登記が行われた場合、不動産の所有権移転登記は法定相続割合に従ったものになります。
相続人が複数いるにもかかわらず、債務者である長男が100%の持分を持つような代位登記ができるわけではありません。
しかし、相続人の間では、対象となる不動産は長男が全て相続する、妻がすべて相続するというように、法定相続割合とは異なる分け方を希望することがあります。
では、この場合には代位登記された登記を修正することはできるのでしょうか?
結論としては、新たに遺産分割協議をして協議を反映した登記を行うことは可能です。
この場合には、代位登記を修正するのではなく、代位登記でなされた登記を元にして持分を移転する登記を行うことになります。
たとえば、代位登記で相続人ABがそれぞれ2分の1ずつの持分登記が行われていたものの、遺産分割協議によってAの所有にするとなった場合には、Bが持っていた2分の1の持分をAに移転する登記が必要となるのです。
ただ、こうしたことを行うにも、登記識別情報が必要となります。
登記識別情報がない場合は司法書士による本人確認情報の作成が必要となります。
相続による所有権移転登記を放置していた場合、相続人のなかに借金を抱えている人がいたら、債権者である第三者の手によって、登記されてしまうことがあります。
最悪の場合、競売にかけられて不動産の所有権を失うことにもなりかねません。
このような事態を防ぐためにも、相続が起きたときは、相続登記は速やかに行い、相続人に借金を抱えている人がいないかどうか、調べておくなどの対処が必要となります。
※本記事の記載内容は、2019年9月現在の法令・情報等に基づいています。