『恩返しをしたい心理』をマーケティングに取り入れるには?
人は、他人からプレゼントをもらったら、「何かお返しをしたい」と思うものです。
こうした心の動きを『返報性の原理』と呼び、ビジネスの現場ではこの原理を使ったマーケティング手法が多く使われています。
今回は、この『返報性の原理』を利用して、商品やサービスの購入につなげる方法を紹介していきます。
こうした心の動きを『返報性の原理』と呼び、ビジネスの現場ではこの原理を使ったマーケティング手法が多く使われています。
今回は、この『返報性の原理』を利用して、商品やサービスの購入につなげる方法を紹介していきます。
商品の購入につながる『返報性の原理』
『返報性の原理』とは、アメリカの社会心理学者、ロバート・B・チャルディーニ博士が提唱した原理の一つです。
特に日本人にはこの『返報性の原理』がよく働くといわれています。
なぜならば、日本人は昔から『恩』というものを大事にしてきたからです。
「人から恩を受けたら、恩返しをしなさい」といわれて育ってきた人も多いのではないでしょうか。
逆に恩を返さない人は『恩知らず』として白い目で見られることもあります。
この恩返しをしたいという気持ちこそが『返報性の原理』というわけです。
お中元やお歳暮などは、まさに『返報性の原理』の最たるものといえるでしょう。
7月初旬から8月中旬にかけて、半年間お世話になった人へ贈る『お中元』と、年の暮れに1年間お世話になった人へ贈る『お歳暮』は、どちらも感謝を伝えるための日本の風習として根づいています。
そして、『お中元』や『お歳暮』をもらった人は、通常、お返しをするのがマナーとされています。
このような『返報性の原理』は、マーケティングの場においても多く使われています。
いくつかの例とともにご紹介します。
『返報性の原理』にかなった商品のお試し
たとえば、化粧品の試供品や日用品の無料サンプルなどの、いわゆる『お試し』は、まさにこの『返報性の原理』を使ったマーケティング方法といえるでしょう。
「無料で○○をもらった」という状態は、「買わなければ申し訳ない」という心理につながり、欲しいと思っていなかったものでもユーザーに買わせてしまう力を持っています。
スーパーの店員から試食をすすめられて、食べてしまった手前、そこまで欲しい物ではなかったのに『まぁ、いいか』と買ってしまったという経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。
過剰な“おまけ”は逆効果の可能性も
一時期、新聞の勧誘において、洗濯用の洗剤や野球の観戦チケットなどをおまけにつけて、契約を迫るという方法がありました。
今ではだいぶ少なくなりましたが、“おまけ”による新聞の勧誘は依然として行われています。
2019年の3月には、購読契約を獲得するために大手新聞社の系列販売店が8万1,000円相当の電動アシスト自転車を提供して、景品表示法違反に問われるという出来事がありました。
この系列販売店では、ほかにも長期の契約者に向けて、ロボット掃除機や全自動洗濯機、液晶テレビなどを提供していたことがわかっています。
8万円超もの高額な物をもらったら、契約しないわけにはいきません。
これも一種の『返報性の原理』を使った勧誘方法といえるのではないでしょうか。
もちろん、これらの過剰なプレゼントは、過大な景品つき販売を禁じる景品表示法違反に当たりますし、最終的には顧客の信頼をなくすやり方でもあるので、長い目で見た場合には、悪手であるといえます。
『おもてなし』にこそ『返報性の原理』が働く
この『返報性の原理』を利用したマーケティングで大事なことは、相手に好意を求めないことです。
最終的な目標は自社の商品やサービスを購入してもらうことではあるのですが、「○○したんだから買ってよ」「○○をあげたんだから契約してよ」では、好意の押し売りになってしまいますし、消費者に嫌悪感や不信感を抱かせかねません。
あくまで、見返りを求めず、『ユーザーのために』という思いで行動することが、『返報性の原理』を効果的に利用する一番の方法です。
一時期話題になった『おもてなし』という言葉があります。
『おもてなし』とは、何か具体的な物をプレゼントすることではありません。
客の立場に立って、心を込めたサービスや接客を行うことをいいます。
この『おもてなし』にこそ、強く『返報性の原理』は働きます。
たとえば、同じ立地、同じ価格帯のビジネスホテルがあるとします。
客は、丁寧な接客で出迎えてくれ、さらにはきめ細かいサービスを受けられる『おもてなし』の心が詰まったホテルと、ごく普通のホテルとでは、どちらに泊まるでしょうか。多くの人は『おもてなし』の心が詰まったホテルを選び、従業員の『おもてなし』に感謝するはずです。
好調な企業ほど、この『おもてなし』の心を大切にしています。
マーケティングを考える際に、商品の質や値段、顧客の設定、魅惑的なコピーなどももちろん大切ですが、何をしたら、ユーザーから「○○してもらえて嬉しい」と思ってもらえるのかを考えるのも大事な要素の一つです。
『返報性の原理』が強く働く『おもてなし』や『お試し』を上手に利用して、自社の売上増につなげてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。
『返報性の原理』とは、アメリカの社会心理学者、ロバート・B・チャルディーニ博士が提唱した原理の一つです。
特に日本人にはこの『返報性の原理』がよく働くといわれています。
なぜならば、日本人は昔から『恩』というものを大事にしてきたからです。
「人から恩を受けたら、恩返しをしなさい」といわれて育ってきた人も多いのではないでしょうか。
逆に恩を返さない人は『恩知らず』として白い目で見られることもあります。
この恩返しをしたいという気持ちこそが『返報性の原理』というわけです。
お中元やお歳暮などは、まさに『返報性の原理』の最たるものといえるでしょう。
7月初旬から8月中旬にかけて、半年間お世話になった人へ贈る『お中元』と、年の暮れに1年間お世話になった人へ贈る『お歳暮』は、どちらも感謝を伝えるための日本の風習として根づいています。
そして、『お中元』や『お歳暮』をもらった人は、通常、お返しをするのがマナーとされています。
このような『返報性の原理』は、マーケティングの場においても多く使われています。
いくつかの例とともにご紹介します。
『返報性の原理』にかなった商品のお試し
たとえば、化粧品の試供品や日用品の無料サンプルなどの、いわゆる『お試し』は、まさにこの『返報性の原理』を使ったマーケティング方法といえるでしょう。
「無料で○○をもらった」という状態は、「買わなければ申し訳ない」という心理につながり、欲しいと思っていなかったものでもユーザーに買わせてしまう力を持っています。
スーパーの店員から試食をすすめられて、食べてしまった手前、そこまで欲しい物ではなかったのに『まぁ、いいか』と買ってしまったという経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。
過剰な“おまけ”は逆効果の可能性も
一時期、新聞の勧誘において、洗濯用の洗剤や野球の観戦チケットなどをおまけにつけて、契約を迫るという方法がありました。
今ではだいぶ少なくなりましたが、“おまけ”による新聞の勧誘は依然として行われています。
2019年の3月には、購読契約を獲得するために大手新聞社の系列販売店が8万1,000円相当の電動アシスト自転車を提供して、景品表示法違反に問われるという出来事がありました。
この系列販売店では、ほかにも長期の契約者に向けて、ロボット掃除機や全自動洗濯機、液晶テレビなどを提供していたことがわかっています。
8万円超もの高額な物をもらったら、契約しないわけにはいきません。
これも一種の『返報性の原理』を使った勧誘方法といえるのではないでしょうか。
もちろん、これらの過剰なプレゼントは、過大な景品つき販売を禁じる景品表示法違反に当たりますし、最終的には顧客の信頼をなくすやり方でもあるので、長い目で見た場合には、悪手であるといえます。
『おもてなし』にこそ『返報性の原理』が働く
この『返報性の原理』を利用したマーケティングで大事なことは、相手に好意を求めないことです。
最終的な目標は自社の商品やサービスを購入してもらうことではあるのですが、「○○したんだから買ってよ」「○○をあげたんだから契約してよ」では、好意の押し売りになってしまいますし、消費者に嫌悪感や不信感を抱かせかねません。
あくまで、見返りを求めず、『ユーザーのために』という思いで行動することが、『返報性の原理』を効果的に利用する一番の方法です。
一時期話題になった『おもてなし』という言葉があります。
『おもてなし』とは、何か具体的な物をプレゼントすることではありません。
客の立場に立って、心を込めたサービスや接客を行うことをいいます。
この『おもてなし』にこそ、強く『返報性の原理』は働きます。
たとえば、同じ立地、同じ価格帯のビジネスホテルがあるとします。
客は、丁寧な接客で出迎えてくれ、さらにはきめ細かいサービスを受けられる『おもてなし』の心が詰まったホテルと、ごく普通のホテルとでは、どちらに泊まるでしょうか。多くの人は『おもてなし』の心が詰まったホテルを選び、従業員の『おもてなし』に感謝するはずです。
好調な企業ほど、この『おもてなし』の心を大切にしています。
マーケティングを考える際に、商品の質や値段、顧客の設定、魅惑的なコピーなどももちろん大切ですが、何をしたら、ユーザーから「○○してもらえて嬉しい」と思ってもらえるのかを考えるのも大事な要素の一つです。
『返報性の原理』が強く働く『おもてなし』や『お試し』を上手に利用して、自社の売上増につなげてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。