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介護職員の平均給与額が30万円を突破! 『介護職員処遇改善加算』が影響

19.07.02
業種別【介護業】
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高齢化に伴い介護需要が増す一方、人材不足が問題となっている介護業界。
特に、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて介護職員を増やすことは急務であり、そのためには職員の給与水準の改善が欠かせません。
これには政府も力を入れており、その結果、2018年9月の時点での常勤介護職員の平均給与月額(手当、一時金含む)は30万970円となり、初めて30万円の大台を超えました(厚生労働省発表)。
そこで今回は、増額に大きく影響したとされる『介護職員処遇改善加算』についてご説明します。
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5区分からなる『介護職員処遇改善加算』

『介護職員処遇改善加算』(以下、処遇改善加算)とは、介護業界で働く介護職員のためにキャリアアップの仕組みをつくったり、職場環境の改善を行ったりした介護事業所に対して、介護職員の賃金改善のためのお金を支給することを目的に設けられた制度です。
『処遇改善加算』は全部で5つ(Ⅰ~Ⅴ)に区分されており、区分ごとに設定された要件を満たした介護事業所に対して、介護職員1人あたり1万2,000円から3万7,000円までの加算が受けられます。
申請できる加算区分は、次の『キャリアパス要件』と『職場環境等要件』のうち、どの要件を満たしているかによって異なります。

【キャリアパス要件(3種類)】
Ⅰ:職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること。
Ⅱ:資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること。 
Ⅲ:経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組みまたは一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること。

【職場環境等要件】
・賃金改善以外の処遇改善(資質の向上、職場環境・処遇の改善)の取り組みを行うこと。
・処遇改善の取り組み内容および処遇改善に要した費用を、すべての介護職員に周知すること。

【介護職員処遇改善加算の点数と算定要件(介護職員1人あたりの加算額)】
・加算Ⅰ:月額3万7,000円相当
 キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲおよび職場環境等要件のすべてを満たすこと。
・加算Ⅱ:月額2万7,000円相当
キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱおよび職場環境等要件のすべてを満たすこと。
・加算Ⅲ:月額1万5,000円相当
 キャリアパス要件Ⅰまたはキャリアパス要件Ⅱのいずれかを満たすことに加え、職場環境等要件を満たすこと。
・加算Ⅳ:月額1万3,500円相当
 キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱまたは職場環境等要件のいずれかの要件を満たすこと。 
・加算Ⅴ:月額1万2,000円相当
 キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱおよび職場環境等要件のいずれの要件も満たさないこと。


制度の活用を通して現場環境の見直しを
 
今回の平均給与月額の増額には、『処遇改善加算』を取っている介護事業所が増加したこと、特に、最も加算点数が大きい『処遇改善加算Ⅰ』を取得する事業所が増えたこと(69.3%)が大きな影響を与えたといわれています。

今後は、加算Ⅳ、Ⅴを一定の経過措置期間を経て廃止し、加算Ⅰ~Ⅲに重点を置くことが決定されています(時期未定)。
また、経験を有する介護福祉士らの賃上げを目的とした『介護職員等特定処遇改善加算』が2019年10月からスタートすることになっています。

『処遇改善加算』は介護事業所の給与面での条件を向上させるために必要不可欠なポイントになっていますので、加算Ⅳ、Ⅴの事業所は、まずは加算Ⅰ~Ⅲを目指して計画を立ててみましょう。

個々の介護事業所においては、まだまだ介護職員の人材確保と定着率アップにつながる労働環境面での問題を解決できているとはいえません。
『処遇改善加算』などの制度をうまく活用するとともに、今一度自社における『キャリアパス要件』『職場環境等要件』を見直し、現場環境の再整備を行ってみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。