X線撮影で書類送検! 『診療放射線技師法』とは?
『無資格の歯科助手らがX線撮影をしていた』というショッキングな事件が発覚したのは、2019年1月。
X線撮影をしていた期間は2017年6月~2018年5月です。
その間に、歯科助手などが、患者12人に対して計17回のX線照射をしていました。
歯科衛生士や歯科助手など、資格を持たない者がX線撮影をすることは禁止されています。
それには『診療放射線技師法』という法律が大きく関わっています。
今回は、医療従事者がX線などの診療放射線を扱う際の規定について、ご紹介します。
X線撮影をしていた期間は2017年6月~2018年5月です。
その間に、歯科助手などが、患者12人に対して計17回のX線照射をしていました。
歯科衛生士や歯科助手など、資格を持たない者がX線撮影をすることは禁止されています。
それには『診療放射線技師法』という法律が大きく関わっています。
今回は、医療従事者がX線などの診療放射線を扱う際の規定について、ご紹介します。
歯科助手や歯科衛生士が行うと違法行為に
医院運営において、歯科衛生士や歯科助手にはできない作業があります。
歯科衛生士の場合は、患部へ直接アプローチをする“治療”に関わる作業です。
歯科助手になると、これに加えて“患者の口内に手を入れる行為や口に触れる行為など”もできない範囲となります。
両者の違いは、歯科衛生士が国家資格であるために生じます。
また、両者のいずれもができない行為の一つとして、「X線撮影」があります。
CTなどの機器は、医師、歯科医師、診療放射線技師しか扱うことが許されていません。
もし歯科助手や歯科衛生士がX線撮影を行うと、違法行為とみなされます。
最悪の場合、指示をした医師までが免許をはく奪されてしまう恐れがある、危険な行為なのです。
医師・診療放射線技師しかできない理由
歯科衛生士ができる医療行為は、“予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導”の三つです。
このうち、「X線撮影は、歯科診療の補助に当たるのでは?」と考えられがちですが、実は違います。
では、なぜ医師、歯科医師、診療放射線技師以外は、X線を取り扱うことができないのでしょうか?
そこには、医療従事者がX線などの診療放射線を扱う際の規定となる『診療放射線技師法』の存在があります。
同法の第4章24条では、『医師、歯科医師、診療放射線技師以外のX線照射は認めない』とされているからです。
機器の操作自体は、歯科衛生士や歯科助手にもできます。
しかし、放射線学についての知識を持たない者が放射線を扱うのはたいへん恐ろしいことです。
なぜならば、放射線を浴びることで、発がんリスクの上昇など、さまざまな人体への影響が懸念されるからです。
X線室を設置するのにも、厳しい規定が設けられているほどです。
そのため、医師、歯科医師、診療放射線技師は、以下のような知識を身につけて業務を行っています。
・放射線や医療機器の特性についての理解
・適切な放射線照射量
・人体への作用、影響
・患者心理の対応等に関する知識 など
また、同法第24条の2には、歯科診療の補助として以下の機器の扱いが認められています。
・磁気共鳴画像診断装置
・超音波診断装置
これらの扱いは、医師や歯科医師の指示がある場合に限られます。
このことから、X線撮影は歯科診療の補助には当たらないと判断できるのです。
人手不足で違法行為が常態化している医院も
実は、医師以外の者がX線写真を撮影したとして刑事事件となった事例はたくさんあります。
他業界と同様に、歯科医療業界も人手不足です。
それを理由に歯科医師が撮影を指示し、そのまま常態化した医院も少なくありません。
過去の判例を見る限り、歯科衛生士や歯科助手個人が法的な責任を負わされることは多くはありません。
ただし、歯科衛生士は資格取得のために3年間学んできています。
当然、その間に放射線を扱うことができる医療従事者の範囲も学んでいます。
違法行為を認識して行っている以上、重い処分が下されることになっても仕方ありません。
また、歯科医師も指示をしている以上、その責任は重大です。
懲役刑もしくは罰金刑、最悪の場合は免許取り消しとなり、閉院を余儀なくされたケースもあります。
もし患者の健康被害が出た場合は、事態はより深刻なものになるでしょう。
より正確な治療を行うため、X線撮影を導入している歯科医院は多いです。
しかし、患者のために揃えた機器が、患者に不安を与える原因になっているようでは本末転倒です。
X線撮影はもちろんのこと、そのほかにも“ついうっかりと”違法行為を行っているものはないか、見直してみることをおすすめします。
※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。
医院運営において、歯科衛生士や歯科助手にはできない作業があります。
歯科衛生士の場合は、患部へ直接アプローチをする“治療”に関わる作業です。
歯科助手になると、これに加えて“患者の口内に手を入れる行為や口に触れる行為など”もできない範囲となります。
両者の違いは、歯科衛生士が国家資格であるために生じます。
また、両者のいずれもができない行為の一つとして、「X線撮影」があります。
CTなどの機器は、医師、歯科医師、診療放射線技師しか扱うことが許されていません。
もし歯科助手や歯科衛生士がX線撮影を行うと、違法行為とみなされます。
最悪の場合、指示をした医師までが免許をはく奪されてしまう恐れがある、危険な行為なのです。
医師・診療放射線技師しかできない理由
歯科衛生士ができる医療行為は、“予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導”の三つです。
このうち、「X線撮影は、歯科診療の補助に当たるのでは?」と考えられがちですが、実は違います。
では、なぜ医師、歯科医師、診療放射線技師以外は、X線を取り扱うことができないのでしょうか?
そこには、医療従事者がX線などの診療放射線を扱う際の規定となる『診療放射線技師法』の存在があります。
同法の第4章24条では、『医師、歯科医師、診療放射線技師以外のX線照射は認めない』とされているからです。
機器の操作自体は、歯科衛生士や歯科助手にもできます。
しかし、放射線学についての知識を持たない者が放射線を扱うのはたいへん恐ろしいことです。
なぜならば、放射線を浴びることで、発がんリスクの上昇など、さまざまな人体への影響が懸念されるからです。
X線室を設置するのにも、厳しい規定が設けられているほどです。
そのため、医師、歯科医師、診療放射線技師は、以下のような知識を身につけて業務を行っています。
・放射線や医療機器の特性についての理解
・適切な放射線照射量
・人体への作用、影響
・患者心理の対応等に関する知識 など
また、同法第24条の2には、歯科診療の補助として以下の機器の扱いが認められています。
・磁気共鳴画像診断装置
・超音波診断装置
これらの扱いは、医師や歯科医師の指示がある場合に限られます。
このことから、X線撮影は歯科診療の補助には当たらないと判断できるのです。
人手不足で違法行為が常態化している医院も
実は、医師以外の者がX線写真を撮影したとして刑事事件となった事例はたくさんあります。
他業界と同様に、歯科医療業界も人手不足です。
それを理由に歯科医師が撮影を指示し、そのまま常態化した医院も少なくありません。
過去の判例を見る限り、歯科衛生士や歯科助手個人が法的な責任を負わされることは多くはありません。
ただし、歯科衛生士は資格取得のために3年間学んできています。
当然、その間に放射線を扱うことができる医療従事者の範囲も学んでいます。
違法行為を認識して行っている以上、重い処分が下されることになっても仕方ありません。
また、歯科医師も指示をしている以上、その責任は重大です。
懲役刑もしくは罰金刑、最悪の場合は免許取り消しとなり、閉院を余儀なくされたケースもあります。
もし患者の健康被害が出た場合は、事態はより深刻なものになるでしょう。
より正確な治療を行うため、X線撮影を導入している歯科医院は多いです。
しかし、患者のために揃えた機器が、患者に不安を与える原因になっているようでは本末転倒です。
X線撮影はもちろんのこと、そのほかにも“ついうっかりと”違法行為を行っているものはないか、見直してみることをおすすめします。
※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。