結合テスト企業名001

取引先からこのような請求書が届いたら、あなたはどうしますか?

17.10.13
ビジネス【企業法務】
dummy
「商品に瑕疵(かし)があったため、損害賠償として○○万円を請求いたします。本書面到達後、○日以内に下記口座にお振込みください。期限内に入金が確認できない場合、法的手続きを検討いたします。」

取引先からこのような請求書が届いたら、あなたはどうしますか?

「一刻も早く振り込まなければ、裁判になってしまう!」と、焦るかもしれませんが、その必要はありません。売主が商品の瑕疵に対して負う賠償責任には、「期間」と「範囲」が定められています。

※瑕疵(かし)・・・きずや欠点
dummy
瑕疵には「容易に発見できる瑕疵」と「隠れたる瑕疵」の2つがあり、前者は「表面のキズや破損など、納品前に行う最低限のチェックで見つかるもの」、後者は「システムのエラーや内部部品の損傷など、一般的なチェックでは発見が困難なもの」を指します。 

顧客や取引先へ納品した商品に瑕疵があった場合、売主が負うべき賠償責任を「瑕疵担保責任」といいます。 

瑕疵担保責任には、2つの法律に規定があります。民法570条と、商法526条です。 

民法上の瑕疵担保責任には「売買の目的物に隠れたる瑕疵があったときは、買主が瑕疵を知ったときから1年以内であれば、契約の解除や損害の賠償が請求できる」とあり、これは主に個人との契約で適用されます。 

一般的には、購入者からクレームなどの連絡が入ったとき、販売から1年以内であれば売主がその商品の瑕疵を調査し、瑕疵が確認できたら商品の交換や修理、返金などによって賠償を行います。 

ただし、この条文は平成29年5月26日に成立した改正民法で大幅に変更されました。
買主は瑕疵に対する賠償請求のみならず、「瑕疵がなければ得るはずだった利益」に対する損害賠償請求が可能になったのです。 

改正民法の効果が発生するのは2020年以降といわれていますが、瑕疵によるトラブル発生の可能性が確実に高くなると考えられるため、注意が必要です。 

商法上の瑕疵担保責任では、買主は納品後、遅滞なく商品をチェック(検品、検査等)し、容易に発見できる瑕疵があったとき、または6ヵ月以内に隠れたる瑕疵を発見したときは、直ちに売主に通知することが義務づけられています。 

この通知なしに損害賠償を請求することはできません。 

容易に発見できる瑕疵) 
・直ちに通知  → 損害賠償請求可 
・通知しない → 請求不可 

隠れたる瑕疵) 
・6ヵ月以内に発見し、通知 → 損害賠償請求可 
・通知せず6ヵ月以上が経過 → 請求不可 


つまり買主が売主に損害賠償を請求できるのは、納品後、速やかにチェックして瑕疵を発見し、通知を行った場合に限られるのです。 

逆にいえば納品して6ヵ月以上何もいわれなければ、それ以降にクレームが入ったとしても、責任を負う必要はありません。 

瑕疵が発見された場合、自社がどこまで責任を負うのか。
トラブルを未然に防ぐためにも、あらかじめ顧問弁護士と相談をして、契約書に明記しておきましょう。