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こんなはずじゃなかった! 注意すべき土地相続トラブル その2

18.12.04
業種別【不動産業(相続)】
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前回は、先祖代々受け継いできた土地を息子さんに贈与したAさんの事例を紹介しました。
Aさんが、さらに末永く承継してもらおうと土地を託した息子さんは、離婚と再婚、そして早すぎる死を迎えることに。
その結果、土地をめぐって息子さんの前妻と後妻が相続闘争を繰り広げ、Aさんは、彼女たちからこの土地を取り戻すため、相当高額なお金を支払う羽目になりました。 
Aさんは、はたしてどこで間違い、どのような点に注意していれば、このような事態を防ぐことができたのでしょうか? 
事例を振り返りながら、原因と打開策をご紹介します。
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原因(1) 息子さんの将来設計を読み誤った

Aさんが若かった頃と比較して、最近は結婚や家系に対する価値観が大きく変化し、事実婚や生涯独身といった選択肢も増え、離婚に対するハードルもずいぶんと下がりました。
息子さんが結婚して妻子を持ったからといって「これで○○家は安泰だ!」とはいかない時代になっていたのです。
むしろ「将来何が起こるかわからない」という前提で対策を立てておかなければ、今回のように将来設計を見誤ることにもなりかねません。

 
原因(2) 息子さんとの関係性を読み誤った

Aさんは、長男だからという理由だけで、先祖代々受け継いできた土地をわが子に託しました。
しかし、息子さんが再婚し、Aさんの意向に反して子をもうけなかったため、Aさんと息子さんとの関係にひびが入ってしまいました。
Aさんと息子さんとの関係性が良好であれば、話し合って土地を取り戻すこともできたかもしれません。
しかし、いくら親子でも疎遠になってしまっては、他人以上にコミュニケーションが取りづらくなるものです。
「家族だから」「長男だから」という理由で安易に財産を譲るのではなく、血のつながりのある近しい関係だからこそ、万が一トラブルが発生した場合に備えて対策を立てておかなければなりません。

それでは、Aさんが先祖代々の土地を守り、次世代に受け継いでいくためには、どうすればよかったのでしょうか?
次に、打開策を考えていきます。


打開策(1) 遺言書を準備しておく

親が元気なうちは、自身の手で土地を守っていくのが賢明です。
自身だけでは守り切れない場合、専門家等の第三者や信頼できる親族に管理を任せるとしても、所有権は親の元に残しておき、万が一トラブルが生じた場合にはいつでも自身の手元に戻せるようにしておきましょう。
他方で、親に万が一のことがあった場合に備えて、その時点で親が希望する承継先に土地を譲ることができるよう、遺言書を残しておきましょう。
遺言書で定めておけば、万が一承継先との関係性や将来設計が変わり、承継先を変更したいと考えた場合にも、ご両親の意向で遺言書を書き換えることができます。
遺言書は、一度作成したから終わりというものではなく、何度も書き換えられるところに大きな意味があります。


打開策(2) 信託契約書で土地の管理を託す

次に、親の高齢化によって判断能力が衰えてきた場合は、土地の管理を信頼できる親族や第三者に委ねましょう。
その際、親が存命中は老後の生活資金の確保に重点を置き、親が亡くなった後は希望する承継先に土地を譲ることができるよう、信託契約書を残しておくとよいでしょう。
信託契約書で定めておけば、土地の管理を委ねられた受託者は契約上の責任を負いますので、親が認知症などで判断能力を失ってしまっても、元気なうちに残されていた意思に基づいて土地を管理し、親の老後の資金も確保することができます。
親が亡くなった後も、信託契約書では、次世代、次々世代の承継先を定めておくことができるので、先祖代々の土地を後世にも守ってもらいたいと考える親にとっては、遺言書よりも信託契約書の方が、その意思を死後に実現していくことが可能です。

相続対策は、まだ元気なうちにこそ、老後のことから亡くなった後のことまで考えて始めるようにしておきましょう。
そして、対策は一度したら終わりではなく、状況の変化に応じて、自身の意思をより実現しやすい方法に切り替えながら続けていくことが大切です。