うつ病で休職している従業員を職場復帰させる際の判断基準は?
Q:利用者とのトラブルが原因でうつ病になり、
現在、休職して5ヵ月目の従業員がいます。
当社の就業規則では休職期間は最長で6ヵ月間としており、
来月には復帰する予定となっていますが、
うつ病が本当に直っているのかどうかの判断に
困っています。うつ病で休職中の従業員を
職場復帰させる場合の判断基準には、
どのようなものがありますか?
現在、休職して5ヵ月目の従業員がいます。
当社の就業規則では休職期間は最長で6ヵ月間としており、
来月には復帰する予定となっていますが、
うつ病が本当に直っているのかどうかの判断に
困っています。うつ病で休職中の従業員を
職場復帰させる場合の判断基準には、
どのようなものがありますか?
介護事業最前線
A:近年、うつ病などの精神疾患に陥る人が増加しています。
介護事業所を対象とした調査では85%以上の介護労働者が
ストレスを抱えており、介護業界においても従業員の
メンタルヘルス上の問題が目立つようになりました。
通常、従業員が病気やケガで長期間の休養が必要となる場合、
所定の休職期間が満了した際に、病気等が治癒していれば
元の職場に復帰させ、復帰できない状態の場合は
自然退職となるという「休職制度」を設けている会社は
多くあります。休職は、労働基準法等の法律で
定められている制度ではないため、「休職制度」を
設けるかどうかは会社の判断に委ねられています。
しかし、就業規則などで「休職制度」を設けた場合、
病気等の際に休職することは労働者の権利となりますので、
しっかりとした運用をしていなければ、労使間の
トラブルを引き起こす可能性が高くなります。
職場復帰の判断基準について、一般的には休職している
従業員が休職前に担当していた業務を支障なくこなせる
健康状態まで回復しているかどうかで判断されますが、
うつ病などのメンタルヘルスの場合、職場復帰の
判断基準を一律に定めることは困難であり、
各々の状況に応じて総合的な判断を行う必要があります。
厚生労働省が発行した「心の健康問題により休業した
労働者の職場復帰支援の手引き」では、
職場復帰判断基準の例として次の事項を挙げています。
◆職場復帰の判断基準の例◆
(1)労働者が職場復帰に対して、十分な意欲を示していること
(2)通勤時間帯に、一人で安全に通勤ができること
(3)会社が設定している勤務日に、勤務時間の就労が継続して可能であること
(4)業務に必要な作業(読書、PC作業、軽度の運動等)をこなすことができること
(5)作業等による疲労が、翌日までに十分回復していること
(6)適切な睡眠覚醒リズムが、整っていること
(7)昼間の眠気がないこと
(8)業務遂行に必要な注意力・集中力が回復していること 等
これは職場復帰の最低条件であり、業務遂行能力の回復程度についての
判断ではありませんので、主治医とよく相談した上で労働者が
就業可能な状態に回復していることを確認する事が必要です。
[プロフィール]
田中 靖浩(たなか・やすひろ)
牧江・田中社会保険労務士法人所長・特定社会保険労務士。
創業から35年以上の歴史を誇る牧江・田中社会保険労務士法人、所長。これまで労務管理を支援してきた企業は1000社以上。現在、500社ほどの企業を顧問先として抱え、社会保険に関する事務のアウトソーシング、企業防衛型就業規則の作成と社内規則の整備、助成金申請などを受託。
A:近年、うつ病などの精神疾患に陥る人が増加しています。
介護事業所を対象とした調査では85%以上の介護労働者が
ストレスを抱えており、介護業界においても従業員の
メンタルヘルス上の問題が目立つようになりました。
通常、従業員が病気やケガで長期間の休養が必要となる場合、
所定の休職期間が満了した際に、病気等が治癒していれば
元の職場に復帰させ、復帰できない状態の場合は
自然退職となるという「休職制度」を設けている会社は
多くあります。休職は、労働基準法等の法律で
定められている制度ではないため、「休職制度」を
設けるかどうかは会社の判断に委ねられています。
しかし、就業規則などで「休職制度」を設けた場合、
病気等の際に休職することは労働者の権利となりますので、
しっかりとした運用をしていなければ、労使間の
トラブルを引き起こす可能性が高くなります。
職場復帰の判断基準について、一般的には休職している
従業員が休職前に担当していた業務を支障なくこなせる
健康状態まで回復しているかどうかで判断されますが、
うつ病などのメンタルヘルスの場合、職場復帰の
判断基準を一律に定めることは困難であり、
各々の状況に応じて総合的な判断を行う必要があります。
厚生労働省が発行した「心の健康問題により休業した
労働者の職場復帰支援の手引き」では、
職場復帰判断基準の例として次の事項を挙げています。
◆職場復帰の判断基準の例◆
(1)労働者が職場復帰に対して、十分な意欲を示していること
(2)通勤時間帯に、一人で安全に通勤ができること
(3)会社が設定している勤務日に、勤務時間の就労が継続して可能であること
(4)業務に必要な作業(読書、PC作業、軽度の運動等)をこなすことができること
(5)作業等による疲労が、翌日までに十分回復していること
(6)適切な睡眠覚醒リズムが、整っていること
(7)昼間の眠気がないこと
(8)業務遂行に必要な注意力・集中力が回復していること 等
これは職場復帰の最低条件であり、業務遂行能力の回復程度についての
判断ではありませんので、主治医とよく相談した上で労働者が
就業可能な状態に回復していることを確認する事が必要です。
[プロフィール]
田中 靖浩(たなか・やすひろ)
牧江・田中社会保険労務士法人所長・特定社会保険労務士。
創業から35年以上の歴史を誇る牧江・田中社会保険労務士法人、所長。これまで労務管理を支援してきた企業は1000社以上。現在、500社ほどの企業を顧問先として抱え、社会保険に関する事務のアウトソーシング、企業防衛型就業規則の作成と社内規則の整備、助成金申請などを受託。