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サッカー界を例に考える 組織運営に欠かせない説明責任とは?

18.05.30
ビジネス【人的資源】
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このところ、政界やスポーツ界などのニュースで“説明責任”というワードがクローズアップされている。

“説明責任は不祥事を起こした際に求められるもの”と思われがちだが、問題が生じたときだけに必要となるものではない。
結果やその過程の善し悪しに関係なく、組織運営には欠かせないものの一つなのだ。

今回も引き続き“サッカー日本代表の監督交代”を例に挙げ、企業における説明責任について考えてみようと思う。
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説明を求めるファンの声が多数

2018FIFAワールドカップ・ロシア大会(以下、W杯)の開幕を今年6月に控えて、日本サッカー協会は4月に日本代表監督の交代に踏み切った。

この決定について、日本のサッカーファンの反応は厳しいものだった。

日本サッカー協会の田嶋幸三(たしま こうぞう)会長は、監督交代の理由を“選手とのコミュニケーションや信頼関係の薄れ”と説明したものの、
「W杯開幕が2カ月後に迫ったこの時期に監督を代える理由がはっきりしない」
といった意見が、突然の解任劇から2カ月が経過した今も続いている。

“なぜこの時期に”ということと、“なぜハリルホジッチ監督ではダメだったのか”について、具体的な説明がなされていないことが要因だろう。

日本代表を支えているのは、サポーターと呼ばれる熱心な支持者はもちろん、ライト層も含めたファンだ。
決して安くない試合のチケットを買ってくれる彼らは、日本サッカー界にとって大切な消費者である。

そのため、彼らのようなファン(消費者)の信頼をなくすことは、サッカー界にとって大きなダメージだといえるだろう。

では、一般的に、消費者などの利害関係者が納得するような説明”は、どのように行うべきなのだろうか? 


結果や過程を
説明するだけでは不十分!?

説明責任(アカウンタビリティ/accountability)とは、『企業などの組織で権限を行使している者が自らの役割を果たした結果、またはそれを怠った結果について、株主や従業員、取引先、消費者などへその理由や経緯を踏まえて合理的に説明する責務』のことをいう。

対外的な説明を怠れば、組織の信用やブランドイメージの低下は免れない。
また、対内的な説明を怠れば、組織運営や人員確保という点で組織内部に影響を及ぼすだろう。

そのため、“説明責任を果たす”ということは、単なる結果やその過程の報告・説明だけにとどまらず、『組織内外からの評価を得ること』そして『将来のビジョンを示すこと』も必要だといわれている。


会長に求められる説明責任とは?

今回のサッカー日本代表の監督交代においては、

(1)“なぜ監督を変更したのか”という経緯
(2)監督を変更したことによる具体的な将来のビジョン
(3)組織内外からの評価

の3点が不足している可能性が高いといえる。

もちろん、“将来のビジョン=W杯での勝利”ではあるだろう。
しかし、『そのビジョンを達成させる具体的な手段は何か』、『新しく決めたビジョンは組織内で評価されているのか』といったことをしっかり伝えることが、組織のトップである会長の“説明責任”ではないだろうか。



企業成長のための人的資源熟考

●プロフィール●
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。