強みや弱みを分析する“SWOT(スウォット)分析”とは? ③
SWOT(スウォット)分析とは、強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4つの要素を把握し、そのうえで戦略を組み立てていくフレームワークです。
前回は、SWOT分析を個人のキャリアアップに用いるための“強み(S)と弱み(W)”についてご説明しました。
今回は、その続きとなる“外部環境を対象とする機会(O)と脅威(T)”について考えていきましょう。
前回は、SWOT分析を個人のキャリアアップに用いるための“強み(S)と弱み(W)”についてご説明しました。
今回は、その続きとなる“外部環境を対象とする機会(O)と脅威(T)”について考えていきましょう。
外部環境がどう影響する?
機会(O)と脅威(T)が対象とするのは、外部環境=社会や市場、顧客です。
もう少し分かりやすくいえば、“世の中の動向”や“客の好み”、“仕事の発注先”といえるでしょう。
では、機会(O)と脅威(T)はどのような違いがあるのでしょうか。
まず、機会(O)は世の中に存在するプラスの要素です。
たとえば“中国語が話せる”という強みがある人にとって、中国経済の発展はプラス要素と考えることができます。
また、“英語を使える店員がいる”という強みがあるお店にとって、世の中のグローバル化はプラス要素となり得るでしょう。
一方、脅威(T)は世の中に存在するマイナスの要素です。
たとえば、リーマンショックの時のような不景気は、仕事の発注やお客様の使用可能金額が減るという意味でマイナス要素と考えられます。
機会(O)と脅威(T)を
個人にも当てはめてみる
かつて私も、広告代理店から大学教授へ転職する際にSWOT分析を行っていました。
まずは、その際に挙げた機会(O)と脅威(T)をそれぞれ見てみましょう。
<機会(O)>
・広告業界は激動の時代で、多くの企業が新しい知見を求めている
・日本企業は海外に出て行くことが普通で、広くグローバル化が叫ばれている
・大手広告代理店が細かく対応しきれていない、小規模広告主が多数存在している
・大学教員として“実務を経験した研究者のニーズ”が存在している
<脅威(T)>
・日本経済がデフレ、不景気から抜け出していない
・企業は“若返り”が課題のひとつで、高齢者の転職は難しい
・“若返り”は、大学教員の採用に当たっても考慮される
・大学教員の採用に当たって、博士号の有無や学術論文の数が厳しく問われる傾向が強くなっている
では、これらを参考に、個人や飲食店で考えられる機会(O)と脅威(T)を考えてみると……
たとえば、“データを重視する企業が増えている”という外部環境があるなら、数字に強い個人にとっては機会(O)になるでしょう。
また、“景気が上向いて外食にお金を使う人が増えている”という世の中の傾向があるなら、単価が高めの飲食店にとっては機会(O)になり得ます。
一方、転職に当たって“即戦力の人材を求める企業が多い”ことは、ハッキリした専門性がない人には脅威(T)です。
また、もし“店の雰囲気よりもメニューの特徴で飲食店を選ぶ人が増えている”という世の中の傾向があるとすれば、オーソドックスなメニューしかない飲食店にとっては、脅威(T)だと考えられます。
このように、機会(O)と脅威(T)については、外部環境が強く影響してくるのです。
次回も引き続き、SWOT分析について考えていきましょう。
次回:強みや弱みを分析する“SWOT(スウォット)分析”とは? ④
佐藤達郎のマーケティング論
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。
著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。
機会(O)と脅威(T)が対象とするのは、外部環境=社会や市場、顧客です。
もう少し分かりやすくいえば、“世の中の動向”や“客の好み”、“仕事の発注先”といえるでしょう。
では、機会(O)と脅威(T)はどのような違いがあるのでしょうか。
まず、機会(O)は世の中に存在するプラスの要素です。
たとえば“中国語が話せる”という強みがある人にとって、中国経済の発展はプラス要素と考えることができます。
また、“英語を使える店員がいる”という強みがあるお店にとって、世の中のグローバル化はプラス要素となり得るでしょう。
一方、脅威(T)は世の中に存在するマイナスの要素です。
たとえば、リーマンショックの時のような不景気は、仕事の発注やお客様の使用可能金額が減るという意味でマイナス要素と考えられます。
機会(O)と脅威(T)を
個人にも当てはめてみる
かつて私も、広告代理店から大学教授へ転職する際にSWOT分析を行っていました。
まずは、その際に挙げた機会(O)と脅威(T)をそれぞれ見てみましょう。
<機会(O)>
・広告業界は激動の時代で、多くの企業が新しい知見を求めている
・日本企業は海外に出て行くことが普通で、広くグローバル化が叫ばれている
・大手広告代理店が細かく対応しきれていない、小規模広告主が多数存在している
・大学教員として“実務を経験した研究者のニーズ”が存在している
<脅威(T)>
・日本経済がデフレ、不景気から抜け出していない
・企業は“若返り”が課題のひとつで、高齢者の転職は難しい
・“若返り”は、大学教員の採用に当たっても考慮される
・大学教員の採用に当たって、博士号の有無や学術論文の数が厳しく問われる傾向が強くなっている
では、これらを参考に、個人や飲食店で考えられる機会(O)と脅威(T)を考えてみると……
たとえば、“データを重視する企業が増えている”という外部環境があるなら、数字に強い個人にとっては機会(O)になるでしょう。
また、“景気が上向いて外食にお金を使う人が増えている”という世の中の傾向があるなら、単価が高めの飲食店にとっては機会(O)になり得ます。
一方、転職に当たって“即戦力の人材を求める企業が多い”ことは、ハッキリした専門性がない人には脅威(T)です。
また、もし“店の雰囲気よりもメニューの特徴で飲食店を選ぶ人が増えている”という世の中の傾向があるとすれば、オーソドックスなメニューしかない飲食店にとっては、脅威(T)だと考えられます。
このように、機会(O)と脅威(T)については、外部環境が強く影響してくるのです。
次回も引き続き、SWOT分析について考えていきましょう。
次回:強みや弱みを分析する“SWOT(スウォット)分析”とは? ④
佐藤達郎のマーケティング論
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。
著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。