商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その4
全4回にわたって解説している“ネーミングの秘訣”。
これまで、ネーミングを考えるには『What to say(何を言うか)を考え、そこからHow to say(どう言うか)のキーワード検索を行う』とお話してきました。
最終回となる今回は、“キーワードをネーミングに仕上げる方法”についてご説明します。
これまで、ネーミングを考えるには『What to say(何を言うか)を考え、そこからHow to say(どう言うか)のキーワード検索を行う』とお話してきました。
最終回となる今回は、“キーワードをネーミングに仕上げる方法”についてご説明します。
ネーミングを仕上げる
4つの基本パターン
キーワードをネーミングに仕上げるには、以下の4つの基本パターンに基づいて行います。
(1)素ネーミング(キーワードがそのままネーミングになるもの)
(2)足し算ネーミング(キーワードA + キーワードB = ネーミングとなるもの)
(3)引き算ネーミング(キーワード - キーワードの一部 = ネーミングとなるもの)
(4)掛け算ネーミング(キーワードA × キーワードB = ネーミングとなるもの)
これらの基本パターンについて、『ネーミング全史』(岩永嘉弘著)という本を参考にしながら、考えていきましょう。
(1)素ネーミング
このタイプは、キーワードがそのままネーミングとなります。
たとえば、『MIRAI』(燃料電池自動車)、『HAKU』(化粧品)、『STORY』(雑誌)、『UR・OS(ウル・オス)』(男性化粧品/潤すから)などが挙げられるでしょう。
What to say(何を言うか)がハッキリしていて、さらにキーワードが魅力的であれば、それをそのまま“素”でネーミングにすることができるのです。
(2)足し算ネーミング
2つのキーワードを足すことによって、ネーミングが完成します。
キーワードとなる“カロリー”と“メイト(仲間)”を足し算した『カロリーメイト』がこの部類です。
また、コンピュータ用語の“ソフトウエア”と、多くの資産を保有するといった意味合いでの“バンク”を足した『ソフトバンク』もこのパターンといえるでしょう。
このほかにも、『おいしい牛乳』や『トマト銀行』などがこのパターンと考えられます。
(3)引き算ネーミング
このパターンは略称に多く、キーワードから一部分を除くことでネーミングが完成します。
具体的には、以下の例が挙げられるでしょう。
・ファミマ = ファミリーマート -(『リー』+『ート』)
・スタバ = スターバックス -(『-』+『ックス』)
・ケンタ = ケンタッキーフライドチキン -『ッキーフライドチキン』
おなじみのものばかりですね。
さらに『ガンバ大阪』は“ガンバレ大阪-『レ』”と考えることができます。
ガンバには、イタリア語で“脚”の意味もあるようですが、多くの人は“ガンバレ大阪”をイメージしているのではないでしょうか。
また、僕自身がネーミングに関わったものとしては、ケーブルテレビの『J:COM』があります。
オーストラリアから日本に進出したJUPITER TELECOMが元の会社名だったのですが、“JUPITER TELECOM-(『UPITER』+『TELE』)”でJ:COMと名付けました。
(4)掛け算ネーミング
最後は、複数のキーワードを組み合わせてネーミングを完成させるタイプです。
たとえば、以下の例が挙げられます。
・警備会社の『SECOM(セコム)』 ⇒ SECURITY × COMMUNICATION
・『ウメッシュ』 ⇒ 梅酒 × フレッシュ
・ガムの『キシリッシュ』 ⇒ キシリトール × フレッシュ
・インターネット関連の『SONET』 ⇒ SONY × NETWORK
What to say(何を言うか)に2つの要素があり、キーワードを複数考えられる場合は、それらを掛け合わせて響きの良いネーミングを検討してみてはいかがでしょうか?
次回からは、昨年12月に刊行した共著書『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』を参考にしながら、クチコミマーケティングについて考えていきます。
次回: 新刊『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』を解説! その1
佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。
4つの基本パターン
キーワードをネーミングに仕上げるには、以下の4つの基本パターンに基づいて行います。
(1)素ネーミング(キーワードがそのままネーミングになるもの)
(2)足し算ネーミング(キーワードA + キーワードB = ネーミングとなるもの)
(3)引き算ネーミング(キーワード - キーワードの一部 = ネーミングとなるもの)
(4)掛け算ネーミング(キーワードA × キーワードB = ネーミングとなるもの)
これらの基本パターンについて、『ネーミング全史』(岩永嘉弘著)という本を参考にしながら、考えていきましょう。
(1)素ネーミング
このタイプは、キーワードがそのままネーミングとなります。
たとえば、『MIRAI』(燃料電池自動車)、『HAKU』(化粧品)、『STORY』(雑誌)、『UR・OS(ウル・オス)』(男性化粧品/潤すから)などが挙げられるでしょう。
What to say(何を言うか)がハッキリしていて、さらにキーワードが魅力的であれば、それをそのまま“素”でネーミングにすることができるのです。
(2)足し算ネーミング
2つのキーワードを足すことによって、ネーミングが完成します。
キーワードとなる“カロリー”と“メイト(仲間)”を足し算した『カロリーメイト』がこの部類です。
また、コンピュータ用語の“ソフトウエア”と、多くの資産を保有するといった意味合いでの“バンク”を足した『ソフトバンク』もこのパターンといえるでしょう。
このほかにも、『おいしい牛乳』や『トマト銀行』などがこのパターンと考えられます。
(3)引き算ネーミング
このパターンは略称に多く、キーワードから一部分を除くことでネーミングが完成します。
具体的には、以下の例が挙げられるでしょう。
・ファミマ = ファミリーマート -(『リー』+『ート』)
・スタバ = スターバックス -(『-』+『ックス』)
・ケンタ = ケンタッキーフライドチキン -『ッキーフライドチキン』
おなじみのものばかりですね。
さらに『ガンバ大阪』は“ガンバレ大阪-『レ』”と考えることができます。
ガンバには、イタリア語で“脚”の意味もあるようですが、多くの人は“ガンバレ大阪”をイメージしているのではないでしょうか。
また、僕自身がネーミングに関わったものとしては、ケーブルテレビの『J:COM』があります。
オーストラリアから日本に進出したJUPITER TELECOMが元の会社名だったのですが、“JUPITER TELECOM-(『UPITER』+『TELE』)”でJ:COMと名付けました。
(4)掛け算ネーミング
最後は、複数のキーワードを組み合わせてネーミングを完成させるタイプです。
たとえば、以下の例が挙げられます。
・警備会社の『SECOM(セコム)』 ⇒ SECURITY × COMMUNICATION
・『ウメッシュ』 ⇒ 梅酒 × フレッシュ
・ガムの『キシリッシュ』 ⇒ キシリトール × フレッシュ
・インターネット関連の『SONET』 ⇒ SONY × NETWORK
What to say(何を言うか)に2つの要素があり、キーワードを複数考えられる場合は、それらを掛け合わせて響きの良いネーミングを検討してみてはいかがでしょうか?
次回からは、昨年12月に刊行した共著書『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』を参考にしながら、クチコミマーケティングについて考えていきます。
次回: 新刊『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』を解説! その1
佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。