商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その3
前々回から、効果的なネーミングの秘訣について、ご紹介しています。
これまで、ネーミングを考える際は“まずWhat to say(何を言うか)を考え、その後How to say(どう言うか)を数多く挙げる”とお伝えしてきました。
さて今回は、“What to sayから魅力的なHow to sayを考え出す方法”について、考えていきましょう。
これまで、ネーミングを考える際は“まずWhat to say(何を言うか)を考え、その後How to say(どう言うか)を数多く挙げる”とお伝えしてきました。
さて今回は、“What to sayから魅力的なHow to sayを考え出す方法”について、考えていきましょう。
魅力的なHow to sayとは?
まずは、街で見かけるようなキャッチフレーズを例に、What to sayからHow to sayに言い換える方法を見ていきましょう。
<例1>
「自民党を解党するくらいの覚悟で臨みます!」というWhat to sayがあったとします。
しかしそれではインパクトがなく、魅力も感じられません。
そこで、小泉元首相が用いたHow to sayは、“自民党をぶっ壊す”でした。
<例2>
次は、『この商品を買った多くの方が“役に立った”と言っています』というWhat to sayについて考えてみましょう。
この表現では、あまりにも普通すぎてインパクトに欠けます。
そのため、『この商品を買った91.3%の人が“役に立った”と言っています』など、具体的な数字を入れるとよいでしょう。
<例3>
では、『本気でやせたい人は、ぜひお申込みを!』というWhat to sayは、どうでしょうか?
『本気でやせたい方以外は、申し込まないでください!』といったHow to sayにすると、目を惹きますね。
<例4>
『お仕事ご苦労さまです。ちょっとした休憩にこのコーヒーを!』というWhat to sayは、『世界は、誰かの仕事で出来ている』というHow to sayを使えば、より共感が得られるようになるでしょう。
<例5>
What to sayが『味はイマイチだけど、実感できるほど身体にいい飲み物です』であれば、『うーんマズい。もう一杯!』というHow to sayにすることで、インパクトが出ますよね。
このように、“インパクト・共感・覚えやすさ”といった、何らかの“魅力”を持つHow to sayの探求が必要になるのです。
ジャンルごとに
キーワード検索をする
では、より具体的なHow to say考案のヒントについて、『ネーミング全史』(岩永嘉弘著)という本を参考にしながら、考えていきましょう。
前回、How to say考案には、まず“キーワード検索”を行うとお伝えしました。
キーワード検索とは、 What to sayが意味するキーワードをできるだけ多く考えるというものです。
たとえば 、What to sayが“明るい”なら、光・キラキラ・ニコニコなどと挙げていきます。
このキーワード検索を行うコツは、以下のように“ジャンルごとに探してみること”です。
・人名や地名なら → JAL悟空、渋谷スペイン坂
・動物や植物なら → トンボ鉛筆、西武ライオンズ
・形容詞・副詞なら → キレイキレイ、DAKARA
・感嘆詞なら → WOWOW
・会話語なら → おーい、お茶
・料理用語なら → トマト銀行
・音楽用語なら → 掃除機のルンバ、自動車のプレリュード など
さらに、天文用語、自然現象、スポーツ用語、IT用語、医学用語、科学・化学・数学用語、というように広げていけば、多様なキーワードを挙げることができます。
キーワードをネーミングに仕上げる
4つの基本パターン
キーワードを数多く挙げた後は、以下の“4つの基本パターン”にそって、ネーミング案を仕上げていきます。
(1)素ネーミング(キーワードがそのままネーミングになるもの)
(2)足し算ネーミング(キーワードA + キーワードB = ネーミングとなるもの)
(3)引き算ネーミング(キーワード - キーワードの一部 = ネーミングとなるもの)
(4)掛け算ネーミング(キーワードA × キーワードB = ネーミングとなるもの)
さて、次回はいよいよ『ネーミングの秘訣・最終回』です。
この4つの基本パターンについても、次回、具体例とともにご紹介します。
次回:商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その4
佐藤達郎のマーケティング論
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。
著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。
まずは、街で見かけるようなキャッチフレーズを例に、What to sayからHow to sayに言い換える方法を見ていきましょう。
<例1>
「自民党を解党するくらいの覚悟で臨みます!」というWhat to sayがあったとします。
しかしそれではインパクトがなく、魅力も感じられません。
そこで、小泉元首相が用いたHow to sayは、“自民党をぶっ壊す”でした。
<例2>
次は、『この商品を買った多くの方が“役に立った”と言っています』というWhat to sayについて考えてみましょう。
この表現では、あまりにも普通すぎてインパクトに欠けます。
そのため、『この商品を買った91.3%の人が“役に立った”と言っています』など、具体的な数字を入れるとよいでしょう。
<例3>
では、『本気でやせたい人は、ぜひお申込みを!』というWhat to sayは、どうでしょうか?
『本気でやせたい方以外は、申し込まないでください!』といったHow to sayにすると、目を惹きますね。
<例4>
『お仕事ご苦労さまです。ちょっとした休憩にこのコーヒーを!』というWhat to sayは、『世界は、誰かの仕事で出来ている』というHow to sayを使えば、より共感が得られるようになるでしょう。
<例5>
What to sayが『味はイマイチだけど、実感できるほど身体にいい飲み物です』であれば、『うーんマズい。もう一杯!』というHow to sayにすることで、インパクトが出ますよね。
このように、“インパクト・共感・覚えやすさ”といった、何らかの“魅力”を持つHow to sayの探求が必要になるのです。
ジャンルごとに
キーワード検索をする
では、より具体的なHow to say考案のヒントについて、『ネーミング全史』(岩永嘉弘著)という本を参考にしながら、考えていきましょう。
前回、How to say考案には、まず“キーワード検索”を行うとお伝えしました。
キーワード検索とは、 What to sayが意味するキーワードをできるだけ多く考えるというものです。
たとえば 、What to sayが“明るい”なら、光・キラキラ・ニコニコなどと挙げていきます。
このキーワード検索を行うコツは、以下のように“ジャンルごとに探してみること”です。
・人名や地名なら → JAL悟空、渋谷スペイン坂
・動物や植物なら → トンボ鉛筆、西武ライオンズ
・形容詞・副詞なら → キレイキレイ、DAKARA
・感嘆詞なら → WOWOW
・会話語なら → おーい、お茶
・料理用語なら → トマト銀行
・音楽用語なら → 掃除機のルンバ、自動車のプレリュード など
さらに、天文用語、自然現象、スポーツ用語、IT用語、医学用語、科学・化学・数学用語、というように広げていけば、多様なキーワードを挙げることができます。
キーワードをネーミングに仕上げる
4つの基本パターン
キーワードを数多く挙げた後は、以下の“4つの基本パターン”にそって、ネーミング案を仕上げていきます。
(1)素ネーミング(キーワードがそのままネーミングになるもの)
(2)足し算ネーミング(キーワードA + キーワードB = ネーミングとなるもの)
(3)引き算ネーミング(キーワード - キーワードの一部 = ネーミングとなるもの)
(4)掛け算ネーミング(キーワードA × キーワードB = ネーミングとなるもの)
さて、次回はいよいよ『ネーミングの秘訣・最終回』です。
この4つの基本パターンについても、次回、具体例とともにご紹介します。
次回:商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その4
佐藤達郎のマーケティング論
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK(アサツー ディ・ケイ)→(青学MBA)→博報堂DY→2011年4月より現職。
著書に、『「これからの広告」の教科書』、『教えて!カンヌ国際広告祭』、『自分を広告する技術』、『人前であがらない37の話し方』等がある。