商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その1
新商品や新サービスの名前など、ビジネスを行なう上でネーミングを考えるシーンは多いと思います。
ビジネスの世界では、“ネーミング次第で売上が変わる”ともいわれているため、納得いく名前をつけるまでには苦労することも多いでしょう。
効果的でキャッチーなネーミングのコツについて、これから数回にわたってお伝えしていきます。
第1回となる今回は“アイディアの出し方”についてのご紹介です。
ビジネスの世界では、“ネーミング次第で売上が変わる”ともいわれているため、納得いく名前をつけるまでには苦労することも多いでしょう。
効果的でキャッチーなネーミングのコツについて、これから数回にわたってお伝えしていきます。
第1回となる今回は“アイディアの出し方”についてのご紹介です。
学問の世界でも ネーミングは重要!
私は7年前に広告代理店から大学教授に転身したのですが、学問の世界でも“覚えやすいようにネーミングされた理論の方が、世の中に広まりやすい”と実感しています。
たとえば、マーケティング論の基本といえる『4P理論』。
これは、4つの要素である“Product”、“Place”、“Price”、“Promotion”の頭文字がすべてPであることから名づけられています。
しかし、“Promotion”については“Advertising”や“Communication”と名づけた方がよさそうなところを、あえて“P”でまとめるために“Promotion”と名づけたように感じます。
『3つのPと1つのA』ではなく、『4P』と呼ばれたからこそ、より世の中に広まったといえるでしょう。
まずは“What to say”を考える
では、広告代理店時代の僕自身の経験に加え、『ネーミング全史』(岩永嘉弘著)を参考にしながら、“ネーミングの秘訣”についてご紹介していきます。
ネーミングを考えるには、まず“What to say(何をいうか)”を考え、次に“How to say(どういうか)”を考えます。
つまり、商品やサービスについて“伝えたいことは何か”を最初に考えるのです。
もちろん、訴えたい特長はたくさんあると思います。
その中から、より伝えたい特長を5点ほど挙げ、そこからイメージを膨らませていきます。
伝えたい特長から、 イメージを膨らませていく
たとえば、飲料品の“What to say”について、①原料、②味、③場所、④時間、⑤栄養価を挙げたとします。
このWhat to sayからアイディアを膨らませていくのです。
では、どうやってアイディアを導き出していくのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
たとえば、
①の原料が『上質の麦』だとしたら、“むぎむぎ”や“上麦”、
②『コクのある味』に特長があるのであれば、“コク味(こくみ)”や“コクコク”など、
“音”からアイディアを膨らませ、造語を作るのもよいでしょう。
ほかにも、
③『場所』をフィーチャーするのであれば、“ソファ味”や“家飲み”。
④『時間』を特定するのであれば、“夜の友”や“朝味”。
⑤『栄養価』にフォーカスするのであれば“元気茶”や“バリバリ飲料”など。
What to say から“言葉”を連想し、イメージを発展させていってもいいのです。
また、仮にFCV(燃料電池自動車)のネーミングを考えるとしたら、What to sayは以下の5つが挙げられるでしょう。
①電気
②排気ガスがゼロ
③排出は水だけ
④究極のエコロジー
⑤未来の主役
実際に、トヨタ自動車で販売されているFCVは『MIRAI』と名づけられています。
これは、上記のWhat to sayでも挙げた“未来の主役”をもとに考えられたネーミングかもしれません。
次回も引き続き、ネーミングの秘訣についてご紹介していきます。
次回: 商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その2
佐藤達郎のマーケティング論
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
私は7年前に広告代理店から大学教授に転身したのですが、学問の世界でも“覚えやすいようにネーミングされた理論の方が、世の中に広まりやすい”と実感しています。
たとえば、マーケティング論の基本といえる『4P理論』。
これは、4つの要素である“Product”、“Place”、“Price”、“Promotion”の頭文字がすべてPであることから名づけられています。
しかし、“Promotion”については“Advertising”や“Communication”と名づけた方がよさそうなところを、あえて“P”でまとめるために“Promotion”と名づけたように感じます。
『3つのPと1つのA』ではなく、『4P』と呼ばれたからこそ、より世の中に広まったといえるでしょう。
まずは“What to say”を考える
では、広告代理店時代の僕自身の経験に加え、『ネーミング全史』(岩永嘉弘著)を参考にしながら、“ネーミングの秘訣”についてご紹介していきます。
ネーミングを考えるには、まず“What to say(何をいうか)”を考え、次に“How to say(どういうか)”を考えます。
つまり、商品やサービスについて“伝えたいことは何か”を最初に考えるのです。
もちろん、訴えたい特長はたくさんあると思います。
その中から、より伝えたい特長を5点ほど挙げ、そこからイメージを膨らませていきます。
伝えたい特長から、 イメージを膨らませていく
たとえば、飲料品の“What to say”について、①原料、②味、③場所、④時間、⑤栄養価を挙げたとします。
このWhat to sayからアイディアを膨らませていくのです。
では、どうやってアイディアを導き出していくのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
たとえば、
①の原料が『上質の麦』だとしたら、“むぎむぎ”や“上麦”、
②『コクのある味』に特長があるのであれば、“コク味(こくみ)”や“コクコク”など、
“音”からアイディアを膨らませ、造語を作るのもよいでしょう。
ほかにも、
③『場所』をフィーチャーするのであれば、“ソファ味”や“家飲み”。
④『時間』を特定するのであれば、“夜の友”や“朝味”。
⑤『栄養価』にフォーカスするのであれば“元気茶”や“バリバリ飲料”など。
What to say から“言葉”を連想し、イメージを発展させていってもいいのです。
また、仮にFCV(燃料電池自動車)のネーミングを考えるとしたら、What to sayは以下の5つが挙げられるでしょう。
①電気
②排気ガスがゼロ
③排出は水だけ
④究極のエコロジー
⑤未来の主役
実際に、トヨタ自動車で販売されているFCVは『MIRAI』と名づけられています。
これは、上記のWhat to sayでも挙げた“未来の主役”をもとに考えられたネーミングかもしれません。
次回も引き続き、ネーミングの秘訣についてご紹介していきます。
次回: 商品やサービスに名前をつける“ネーミング”の秘訣とは? その2
佐藤達郎のマーケティング論
●プロフィール●
佐藤達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。