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「主治医」になるための診療体制とは?

17.06.09
業種別【医業】
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いくつかの生活習慣病や認知症を有する患者さんに対して、「主治医」として同意を得たうえで継続的かつ全人的にかかわっていく―。

その主治医機能を評価するために2014年度の診療報酬改定で設けられたのが、「地域包括診療料」です。

他の医療機関の受診状況を把握するとともに、すべての処方薬を管理し、健康相談から在宅医療の提供および24時間対応も義務付けられています。

患者さんにとっては大変心強い存在といえるでしょう。
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しかし、この地域包括診療料の届出状況が芳しくないようです。

5月末に公表された中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬改定結果検証部会の調査結果によると、同診療料を届け出ている診療所は、有床診療所で23.5%、無床診療所で13.4%にとどまっていました。

同調査が無作為抽出で任意回答であることを踏まえると、実際の届出割合はさらに少ないとも言われています。

対象患者の「主治医」となれば、経営的には患者さんの継続的な受診が見込めるだけでなく、患者さんとの信頼関係も築くやすく、ひいては地域における診療所の信用も高める効果も期待できると思います。

にもかかわず、なぜ同診療料の届出数は伸びないのでしょうか。

同調査で届出をしない理由として最も挙げられているのは、「施設基準の要件を満たせないから」。なかでも有床、無床を問わず「常勤医師の2名以上の配置」が最大のネックとなっていました。

多くの診療所が1人の医師による開業からスタートしていることを考えれば、確かに同要件が大きな障害となるのは当然といえば当然です。

しかし、病院を含めた医療機関の機能分化、役割明確化の波が押し寄せるなか、診療所医師も「かかりつけ医」「在宅医療」「24時間対応」「多職種連携」など、一昔前に比べるとより地域と密着した活動が求められてきています。

診察室の椅子に1人座って患者さんを待つ従来型の診療では、競合から遅れをとるばかりです。

首都圏にあるAクリニックでは、在宅医療の拡大を図るために、同医療を志す若いドクターを雇い入れ、院長は専ら外来診療、そしてそのドクターが通院困難になってきた高齢者を中心に訪問診療を行うという診療体制を構築。

医師が複数体制となったことで地域包括診療料も算定できるようになりました。

さらに、在宅医が集合住宅等に出向くなかで通院可能な生活習慣病や軽度の認知症の患者さんを見つけ、送迎バスを用意して定期的に同クリニックの外来を受診してもらうという活動にもつなげています。

“待つ医療”から“出る医療”へ転換を図ることで、同診療料の対象となりうる患者群を積極的に掘り起こし、早め早めの対応で生活習慣病の重症化予防等に取り組んでいるのです。

もちろん、1人体制でもかかりつけ医としての役割を全うしている診療所は数多くあります。

しかし今後さらに多様化する地域ニーズに応えていくためには、これまでの診療所経営の固定観念を見直していく必要もあると思います。

その1つとして「主治医」機能を最大限発揮するための診療体制を検討してみてはいかがでしょうか。


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