キャリア論の有名理論「プランド・ハップンスタンス(計画された偶然性)」って、何でし ょうか?
米国スタンフォード大学のクランボルツ教授により「プランド・ハップンスタンス(計画された偶然性)理論」が提唱されたのは、1999年のこと。発表されるやいなや、一躍脚光を浴びることになりました。
ハップンスタンス(happenstance)とは、偶然の出来事や偶然性のこと。クランボルツ教授らが数百人のビジネスパーソンのキャリアを分析したところ、キャリアの80%は偶然の出来事によって形成されるという結果を得たというのです。
教授は以下のような趣旨のことを述べます。「予期しない偶然の出来事によって大きく影響される以上、計画論的にキャリアを作り込んでいくのは現実的ではない。しかし、自分にとって好ましい偶然の出来事がより起こるように、日ごろから能動的な行動パターンをとっている人には、より好ましい偶然が起こる。つまり、偶発的に見えても、結果的には計画的に起きたように必然化できる」。これが、「ブランド・ハップンスタンス(計画された偶然性)理論」の概要です。
これは、「将来の目標を決めてそこに向けて計画的にキャリアを積み上げて行くべきだ」という、それまで一般的だったキャリアの考え方を真っ向から否定するもので、大きな話題を呼びました。さまざまな友人、知人を見て来ましたが、キャリアの多くが予期しない偶然の出来事で形成されることは、感覚的にも納得できます。かと言って、ただ漫然と生きてもうまく行かないというのも、また事実でしょう。
私自身のキャリアを振り返ってみても、このことは当てはまります。「そのうちに大学教授に転身したいな」という希望(計画)を持つようになったのは40代のこと。それでも広告代理店勤務は忙しく、「大学教授への転身計画」にすぐに邁進したわけではありません。
最初の偶然は、40代半ばに訪れました。クリエイティブの現場から、当時200人いたクリエイティブ部門の人事・総務・経営企画等を担当する部署の長に、自分から望んだわけでもなく“偶然”任命されたのです。今から考えると、僕はその偶然を活かしました。働きながら青山学院大学に通ってMBA(経営管理修士)を取得。大学教授になるための学位としての最低条件みたいなものをクリアしました。
さらに、広告学会に入会して、さして意気込んだわけでもなく全国大会で発表。その過程で旧知の著名な大学教授から“偶然”声をかけていただき、多摩美術大学の非常勤講師に。そのことが今のポジションへとつながって行きます。緻密な計画など何もなく、だけれども大まかな計画を持ってそれなりに活発に活動し、都度都度の “偶然”を活かす形で進んで来た、というのが実際に近いと思います。
さて、この理論は、皆さん自身のキャリア設計はもちろん、例えばお店の展開や会社の運営にも援用できるのではないでしょうか。つまり、計画を持つことはもちろん重要なのです が、そのうえで「偶然の出来事を大切にするべきだ」という考え方です。元々の計画とは少し異なるビジネスの話が持ち込まれることがあります。
そんな時、それに可能性が感じられるのであれば、「元々の計画にないから」という理由でやらないでいると、その後につながるチャンスを逃してしまうかもしれません。カフェを始めてしばらくした時に偶然知り合いから勧められた新しい品目が、お客さんに評判を呼ぶことだって大いにあり得ます。その新しいアイテムに可能性があるかどうかはしっかりと吟味すべきですが、「当初の予定にないから」という理由だけで排除すべきではないという教えです。
「計画された偶然性」、あなたとあなたのビジネスの今後のヒントとして、ぜひ活用いただければ、と思います。
次回:マーケティング論の基本中の基本「4P理論」を、ここで改めて勉強しましょう。①
教授は以下のような趣旨のことを述べます。「予期しない偶然の出来事によって大きく影響される以上、計画論的にキャリアを作り込んでいくのは現実的ではない。しかし、自分にとって好ましい偶然の出来事がより起こるように、日ごろから能動的な行動パターンをとっている人には、より好ましい偶然が起こる。つまり、偶発的に見えても、結果的には計画的に起きたように必然化できる」。これが、「ブランド・ハップンスタンス(計画された偶然性)理論」の概要です。
これは、「将来の目標を決めてそこに向けて計画的にキャリアを積み上げて行くべきだ」という、それまで一般的だったキャリアの考え方を真っ向から否定するもので、大きな話題を呼びました。さまざまな友人、知人を見て来ましたが、キャリアの多くが予期しない偶然の出来事で形成されることは、感覚的にも納得できます。かと言って、ただ漫然と生きてもうまく行かないというのも、また事実でしょう。
私自身のキャリアを振り返ってみても、このことは当てはまります。「そのうちに大学教授に転身したいな」という希望(計画)を持つようになったのは40代のこと。それでも広告代理店勤務は忙しく、「大学教授への転身計画」にすぐに邁進したわけではありません。
最初の偶然は、40代半ばに訪れました。クリエイティブの現場から、当時200人いたクリエイティブ部門の人事・総務・経営企画等を担当する部署の長に、自分から望んだわけでもなく“偶然”任命されたのです。今から考えると、僕はその偶然を活かしました。働きながら青山学院大学に通ってMBA(経営管理修士)を取得。大学教授になるための学位としての最低条件みたいなものをクリアしました。
さらに、広告学会に入会して、さして意気込んだわけでもなく全国大会で発表。その過程で旧知の著名な大学教授から“偶然”声をかけていただき、多摩美術大学の非常勤講師に。そのことが今のポジションへとつながって行きます。緻密な計画など何もなく、だけれども大まかな計画を持ってそれなりに活発に活動し、都度都度の “偶然”を活かす形で進んで来た、というのが実際に近いと思います。
さて、この理論は、皆さん自身のキャリア設計はもちろん、例えばお店の展開や会社の運営にも援用できるのではないでしょうか。つまり、計画を持つことはもちろん重要なのです が、そのうえで「偶然の出来事を大切にするべきだ」という考え方です。元々の計画とは少し異なるビジネスの話が持ち込まれることがあります。
そんな時、それに可能性が感じられるのであれば、「元々の計画にないから」という理由でやらないでいると、その後につながるチャンスを逃してしまうかもしれません。カフェを始めてしばらくした時に偶然知り合いから勧められた新しい品目が、お客さんに評判を呼ぶことだって大いにあり得ます。その新しいアイテムに可能性があるかどうかはしっかりと吟味すべきですが、「当初の予定にないから」という理由だけで排除すべきではないという教えです。
「計画された偶然性」、あなたとあなたのビジネスの今後のヒントとして、ぜひ活用いただければ、と思います。
次回:マーケティング論の基本中の基本「4P理論」を、ここで改めて勉強しましょう。①