広告のよしあしを決めるのは「コンセプト」!そのワケは…? その2
「コンセプト」とは、広告ビジネスになくてはならないもので、その広告で「何をどう伝えるか」の核心をなす考え方のことだと、前回ご紹介しました。
コンセプトは言い方を変えると、いわば「大方針」のようなもので、広告以外にも、いろいろと役に立つ考え方です。
コンセプトは言い方を変えると、いわば「大方針」のようなもので、広告以外にも、いろいろと役に立つ考え方です。
■コンセプトを明確につくった旅行は充実したものになる
身近なところから考えてみると、旅行に行くときも、コンセプトを設定することができます。コンセプトをつくることは、充実した旅行の実現に大変に役立ちます。
例えば、「とにかくゆっくりする」というコンセプトをつくって「大きなリゾートホテルから出ずに数日過ごす」という旅行にすることもできます。
そうではなく「アクティブにいろいろと経験する」というコンセプトをつくって「さまざまな観光スポットを、時間の許す限り見て回る」こともできます。
あるいは「カルチャーを味わい尽くす」というコンセプトをつくり、「美術館や博物館を可能な限り訪れる」旅行を組むこともできるわけです。
どの旅行の仕方がいいかどうかは、コンセプトのつくり方によって、まったく違ってきます。
コンセプトがはっきりしていれば、具体的な訪問先や時間の過ごし方に迷うこともなく、充実した旅行にすることができるでしょう。
■スターバックス・コーヒーに学ぶ「コンセプト」の大切さ
コンセプトの大切さは、もちろんビジネスにも言えることです。有名な好例では、スターバックス・コーヒーです。
スターバックス・コーヒーの「コンセプト」は、“サードプレイス(第三の場所)”というキーワードで語られます。
それまでのチェーンのコーヒーショップは、“美味いコーヒーをどれだけ安く出せるか”にこだわっていました。そのため、店内は狭苦しく、椅子も座り心地の悪いものでした。
“コーヒーの味と値段”にこだわれば、経営上当然ですが、椅子の座り心地など、二の次、三の次になるし、椅子の座り心地の悪さはむしろ“回転率を上げるための良策”として位置付けることも可能なわけです。
それに対してスターバックスは、自分たちの店舗を、家と職場以外の“第三の場所”と位置付けました。
コーヒーの味はもちろんですが、良い椅子やお洒落な雰囲気といった、居心地の良さこそが大事なんだ、と考えました。そしてそのためには“安さ”を捨てようと決めたのです。
少しくらいコーヒーの値段が高くても、そういった“第三の場所”を人々は求めていると考え、実際に多くの人が賛同しました。
■コンセプトは経営者の“想い”でつくられる
気をつけたいことは、こうしたコンセプトが、ある種の“想い”によって策定されている、ということです。
ビジネスに関して、詳細な調査と分析で方針を導き出すべきだと考えている方も多いようです。
しかし、“居心地は悪いが安くて美味いコーヒーを出す店”と“居心地の良い空間で高くて美味いコーヒーを飲める店”のどちらが成功するかなんて、事前調査と分析だけでは判明しません。どちらにも、良いところと悪いところがあり、なかなか決められないものです。
そうではなく、経営者や経営陣の“想い”や“誇り”がまずは先に存在して、そこから始まっているビジネスが多いように思えます。
例えば、あなたがお店を経営しているとして、「味で勝負するのか」「居心地の良さをアピールするのか」「コストパフォーマンスの高さで競うのか」あるいは「何か新しい価値を売りにするのか」といった「コンセプト」を考えて言語化していくことは、具体的な施策を工夫したり導入する際の指針となり、大いに役に立つのではないでしょうか。
次回も引き続き、コンセプトについて考えていきましょう。
佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法
●プロフィール●
佐藤達郎(さとうたつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
身近なところから考えてみると、旅行に行くときも、コンセプトを設定することができます。コンセプトをつくることは、充実した旅行の実現に大変に役立ちます。
例えば、「とにかくゆっくりする」というコンセプトをつくって「大きなリゾートホテルから出ずに数日過ごす」という旅行にすることもできます。
そうではなく「アクティブにいろいろと経験する」というコンセプトをつくって「さまざまな観光スポットを、時間の許す限り見て回る」こともできます。
あるいは「カルチャーを味わい尽くす」というコンセプトをつくり、「美術館や博物館を可能な限り訪れる」旅行を組むこともできるわけです。
どの旅行の仕方がいいかどうかは、コンセプトのつくり方によって、まったく違ってきます。
コンセプトがはっきりしていれば、具体的な訪問先や時間の過ごし方に迷うこともなく、充実した旅行にすることができるでしょう。
■スターバックス・コーヒーに学ぶ「コンセプト」の大切さ
コンセプトの大切さは、もちろんビジネスにも言えることです。有名な好例では、スターバックス・コーヒーです。
スターバックス・コーヒーの「コンセプト」は、“サードプレイス(第三の場所)”というキーワードで語られます。
それまでのチェーンのコーヒーショップは、“美味いコーヒーをどれだけ安く出せるか”にこだわっていました。そのため、店内は狭苦しく、椅子も座り心地の悪いものでした。
“コーヒーの味と値段”にこだわれば、経営上当然ですが、椅子の座り心地など、二の次、三の次になるし、椅子の座り心地の悪さはむしろ“回転率を上げるための良策”として位置付けることも可能なわけです。
それに対してスターバックスは、自分たちの店舗を、家と職場以外の“第三の場所”と位置付けました。
コーヒーの味はもちろんですが、良い椅子やお洒落な雰囲気といった、居心地の良さこそが大事なんだ、と考えました。そしてそのためには“安さ”を捨てようと決めたのです。
少しくらいコーヒーの値段が高くても、そういった“第三の場所”を人々は求めていると考え、実際に多くの人が賛同しました。
■コンセプトは経営者の“想い”でつくられる
気をつけたいことは、こうしたコンセプトが、ある種の“想い”によって策定されている、ということです。
ビジネスに関して、詳細な調査と分析で方針を導き出すべきだと考えている方も多いようです。
しかし、“居心地は悪いが安くて美味いコーヒーを出す店”と“居心地の良い空間で高くて美味いコーヒーを飲める店”のどちらが成功するかなんて、事前調査と分析だけでは判明しません。どちらにも、良いところと悪いところがあり、なかなか決められないものです。
そうではなく、経営者や経営陣の“想い”や“誇り”がまずは先に存在して、そこから始まっているビジネスが多いように思えます。
例えば、あなたがお店を経営しているとして、「味で勝負するのか」「居心地の良さをアピールするのか」「コストパフォーマンスの高さで競うのか」あるいは「何か新しい価値を売りにするのか」といった「コンセプト」を考えて言語化していくことは、具体的な施策を工夫したり導入する際の指針となり、大いに役に立つのではないでしょうか。
次回も引き続き、コンセプトについて考えていきましょう。
佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法
●プロフィール●
佐藤達郎(さとうたつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。