従業員の入社時に就業規則を交付すべきか?
<ご質問>
ある従業員が入社するときに「労働条件を明示するときに、就業規則を交付してください」と言われました。これまで当社では事業場で閲覧できる状態にしていただけだったので、困惑しています。従業員の入社時には、就業規則を交付しないといけないのでしょうか?
【茨城・N社】
ある従業員が入社するときに「労働条件を明示するときに、就業規則を交付してください」と言われました。これまで当社では事業場で閲覧できる状態にしていただけだったので、困惑しています。従業員の入社時には、就業規則を交付しないといけないのでしょうか?
【茨城・N社】
<回答>
就業規則の交付義務はありません。ただし、労働条件明示時に、労働条件通知書と就業規則を併用することはあり得ます。
就業規則は労働基準法106条で、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付すること、その他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない、としています。
一般的には、例えば各人のパソコンからアクセスできる場所への「備え付け」等で対応していることが少なくないでしょう。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法15条)。
厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならないとしています。
(1)労働契約の期間、(2)有期の場合には、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準、(3)就業の場所および従事すべき業務、(4)始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、(5)賃金(退職手当等を除く)、(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む)など、労働基準法施行規則5条の1~4号に関する事項については、書面の交付が求められます(労働基準法施行規則5条2、3項)。
パートについては、上記に加えて昇給、退職手当、賞与の有無、相談窓口について文書の交付等による明示が求められています(パートタイム労働法6条、パートタイム労働法施行規則2条)。
労働条件の書面の明示に関しては、通達(平成11・1・29基発45号)で、書面の形式は自由であり、労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない、としています。
厚生労働省によるモデル労働条件通知書においても、各事項について、就業規則を示し労働者に適用される部分を明確にしたうえで就業規則を交付する方法によることとした場合、具体的に記入することを要しない、としています。両者を併用する形は考えられます。
就業規則の絶対的必要記載事項は、上記のうちおよそ(4)労働時間関係、(5)賃金関係、(6)退職関係とされています。労働基準法89条の1から3号です。
4号以下では、「定めをする場合においては」としています。例えば(1)労働契約の期間、(3)就業の場所、従事すべき業務、(4)のうち所定労働時間を超える労働の有無などは、就業規則の記載が義務付けられていません。
従業員の入社時に、必ず就業規則の交付義務があるというわけではありません。ただし、労働条件通知書と就業規則を併用するケースはあるでしょう。
※基発=厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛ての通達
現場で気になる労働法Q&A
【記事提供元】
「安全スタッフ」2017年2月15日号
就業規則の交付義務はありません。ただし、労働条件明示時に、労働条件通知書と就業規則を併用することはあり得ます。
就業規則は労働基準法106条で、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付すること、その他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない、としています。
一般的には、例えば各人のパソコンからアクセスできる場所への「備え付け」等で対応していることが少なくないでしょう。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません(労働基準法15条)。
厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならないとしています。
(1)労働契約の期間、(2)有期の場合には、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準、(3)就業の場所および従事すべき業務、(4)始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、(5)賃金(退職手当等を除く)、(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む)など、労働基準法施行規則5条の1~4号に関する事項については、書面の交付が求められます(労働基準法施行規則5条2、3項)。
パートについては、上記に加えて昇給、退職手当、賞与の有無、相談窓口について文書の交付等による明示が求められています(パートタイム労働法6条、パートタイム労働法施行規則2条)。
労働条件の書面の明示に関しては、通達(平成11・1・29基発45号)で、書面の形式は自由であり、労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない、としています。
厚生労働省によるモデル労働条件通知書においても、各事項について、就業規則を示し労働者に適用される部分を明確にしたうえで就業規則を交付する方法によることとした場合、具体的に記入することを要しない、としています。両者を併用する形は考えられます。
就業規則の絶対的必要記載事項は、上記のうちおよそ(4)労働時間関係、(5)賃金関係、(6)退職関係とされています。労働基準法89条の1から3号です。
4号以下では、「定めをする場合においては」としています。例えば(1)労働契約の期間、(3)就業の場所、従事すべき業務、(4)のうち所定労働時間を超える労働の有無などは、就業規則の記載が義務付けられていません。
従業員の入社時に、必ず就業規則の交付義務があるというわけではありません。ただし、労働条件通知書と就業規則を併用するケースはあるでしょう。
※基発=厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛ての通達
現場で気になる労働法Q&A
【記事提供元】
「安全スタッフ」2017年2月15日号