「登録ヘルパー」に有給休暇は必要か?
有給休暇は一定期間勤務した従業員に対する恩恵として、労働基準法で定められた制度で、原則として労働者が自分の意思により自由に取得できる休暇制度です。
近ごろではネット等で情報を集めやすくなり、正社員だけではなくパートタイマーにも、有給休暇の付与が必要であると言う認識が広がりました。
では、出勤日が不規則な「登録ヘルパー」については、有給休暇を与える必要があるのでしょうか?
近ごろではネット等で情報を集めやすくなり、正社員だけではなくパートタイマーにも、有給休暇の付与が必要であると言う認識が広がりました。
では、出勤日が不規則な「登録ヘルパー」については、有給休暇を与える必要があるのでしょうか?
介護業界でもトラブルになりやすいのが、登録ヘルパーの有給休暇問題です。
「登録ヘルパーは『1回につきいくら』の業務委託契約だから、有給休暇を与える必要はない」と思われがちです。
業務委託の場合、労働契約ではありませんので、労働基準法は適用されないことになります。
しかし、勤務実態が「業務委託」「請負契約」として機能していない場合には、雇用契約と同じく、労働基準法上の「労働者」に該当すると判断される場合があります。
当該契約が「業務委託契約」であるには、次のような条件を総合的に満たしている必要があります。
◇「業務委託」としての性質を強くする要件
・事業所から業務に関する指揮命令を受けていない
・時給ではなく出来高で賃金が計算されている
・勤務の時間や場所が拘束されていない
・仕事を受けるか断るかを自由に決められる
など
しかし、多くの登録ヘルパーは、介護事業所の指揮命令を受けて利用者宅を訪問し、身体介護や生活援助に応じて1時間の時間単価で働いており、自身の裁量で訪問先やケアの内容などを決めることができません。
このような訪問介護に関わる方の労働者性の判断を明確にするために、労働局から次のような通達が出されています。
◇訪問介護労働者の法定労働条件の確保について(基発※第0827001号)
「介護保険法に基づく訪問介護の業務に従事する訪問介護員等については、一般的には使用者の指揮監督の下にあること等から、労働基準法第9条の労働者に該当するものと考えられる」
この通達では、一般的な登録ヘルパーは労働者として取り扱うべきであるという見解が示されています。そのため、労働基準法が適用され、有給休暇の付与が必要になります。
では、実際に登録ヘルパーに対して、どのくらいの日数の有給休暇を与える必要があるのでしょうか。
登録ヘルパーは、必ずしも毎月の勤務日や回数が決まっているわけではありません。
パートタイマーのように、1週間の労働日数や1年間の所定労働日数を勘案して、有給休暇の付与日数を決めるのは困難です。
そのため、通達では次のように示されています。
「有給休暇が付与される基準日において予定している労働日数を算出しがたい場合には、過去6ヵ月の労働日数の実績を2倍したものを1年間の所定労働日数とみなして判断することで差し支えない」
つまり、過去6ヵ月の勤務実績が60日の登録ヘルパーの場合、1年間の所定労働日数はその2倍の120日とみなされます。
これを、有給休暇の比例付与表にあてはめると「週所定労働日数2日、1年間の所定労働日数73~120日」の欄における勤続年数に対応する日数の有給休暇を与える必要があるということになります。
よって、6ヵ月在籍している方には3日間の有給休暇が付与されます。
労使トラブルを避けるためにも、介護事業者は有給休暇の正しいルールを理解した上で運用することが必要です。
※基発=厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛ての通達
介護事業最前線
「登録ヘルパーは『1回につきいくら』の業務委託契約だから、有給休暇を与える必要はない」と思われがちです。
業務委託の場合、労働契約ではありませんので、労働基準法は適用されないことになります。
しかし、勤務実態が「業務委託」「請負契約」として機能していない場合には、雇用契約と同じく、労働基準法上の「労働者」に該当すると判断される場合があります。
当該契約が「業務委託契約」であるには、次のような条件を総合的に満たしている必要があります。
◇「業務委託」としての性質を強くする要件
・事業所から業務に関する指揮命令を受けていない
・時給ではなく出来高で賃金が計算されている
・勤務の時間や場所が拘束されていない
・仕事を受けるか断るかを自由に決められる
など
しかし、多くの登録ヘルパーは、介護事業所の指揮命令を受けて利用者宅を訪問し、身体介護や生活援助に応じて1時間の時間単価で働いており、自身の裁量で訪問先やケアの内容などを決めることができません。
このような訪問介護に関わる方の労働者性の判断を明確にするために、労働局から次のような通達が出されています。
◇訪問介護労働者の法定労働条件の確保について(基発※第0827001号)
「介護保険法に基づく訪問介護の業務に従事する訪問介護員等については、一般的には使用者の指揮監督の下にあること等から、労働基準法第9条の労働者に該当するものと考えられる」
この通達では、一般的な登録ヘルパーは労働者として取り扱うべきであるという見解が示されています。そのため、労働基準法が適用され、有給休暇の付与が必要になります。
では、実際に登録ヘルパーに対して、どのくらいの日数の有給休暇を与える必要があるのでしょうか。
登録ヘルパーは、必ずしも毎月の勤務日や回数が決まっているわけではありません。
パートタイマーのように、1週間の労働日数や1年間の所定労働日数を勘案して、有給休暇の付与日数を決めるのは困難です。
そのため、通達では次のように示されています。
「有給休暇が付与される基準日において予定している労働日数を算出しがたい場合には、過去6ヵ月の労働日数の実績を2倍したものを1年間の所定労働日数とみなして判断することで差し支えない」
つまり、過去6ヵ月の勤務実績が60日の登録ヘルパーの場合、1年間の所定労働日数はその2倍の120日とみなされます。
これを、有給休暇の比例付与表にあてはめると「週所定労働日数2日、1年間の所定労働日数73~120日」の欄における勤続年数に対応する日数の有給休暇を与える必要があるということになります。
よって、6ヵ月在籍している方には3日間の有給休暇が付与されます。
労使トラブルを避けるためにも、介護事業者は有給休暇の正しいルールを理解した上で運用することが必要です。
※基発=厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛ての通達
介護事業最前線